儚く堕ちる白椿かな

椿木ガラシャ

文字の大きさ
10 / 22

玖・終

「おじいさまっ」





 思いもしない祖父の行動に雪人は驚くが、七種家の例に漏れず立派な体格の継一郎に叶うべくもなく、腕を後ろ手にひとつに掴まれてしまう。

 雪人は下着をはいていない。

 長襦袢の下は、常に何もまとっては居らず、着物の裾を捲り上げれば直ぐに、白い内股が覗けるのだった。

 継一郎によって、雪人の太股から尻が暴き出される。

 その白さに思わず息を飲み込んだのは、間直に雪人の肌を晒されている清一だけではなかったであろう。

 継一郎は、着物の裾を帯にたくし上げて止めると、白い尻の谷間に指を滑らせ、深く探った。





「おじいさま、やめてっ」



 雪人から悲鳴が上がる。

 指は蕾付近を彷徨い、割り入ったのだ。





「ヒ、あっ!」





 一ヶ月ぶりの異物の侵入に、雪人の掠れた声が漏れる。

 継一郎は、清一の目の前に、雪人の秘した部分を晒す。





「そなたが欲しかったのは、雪人であろう。雪人の『ここ』であろう?」





 男の指に開かれ、雪人の未だ淡い色は、外気に晒された為かヒクリと蠢いた。



「そなたは知らぬであろう。名器と呼ばれるまでに狂おしい雪人のこの部分を」



「否!」





 継一郎はそのヒクリと震えた内壁を撫でた。

 祖父の指で弄られ、雪人は胸を張り仰け反った。



 止まらない指に頭を振り、肩を揺らしたせいで、前が肌蹴る。

 白い肌が、徐々に露わになるさまは、麗しい雪人に相応しい風情だった。



 清一は乱れる雪人に、ごくりと唾を飲み込む。

 継一郎の言うとおりだ。雪人には幼い頃から淡い戀心を抱いていた。



 しかしその雪人が、屋敷の同じ血を持つ男たちに抱かれていると知って…先日、偶然なも襖の隙間から継保に抱かれている雪人を見て、衝撃で暫く呆然としていたものだ。

 片子の店に下宿している2週間の間にも、何度、隣で寝ている雪人を襲おうとしたか解からない。

 しかし、夢の中でも男たちに抱かれているのか、苦悶の声を上げる雪人に、自分は他の男たちとは違うのだと、解かって欲しかった。





 今となっては、それも、愚かな自制心だと笑うしかないが。





「雪人のこの部分を一度ならば、やっても良いぞ。ただし、そなたの死と引き換えにな」





 悪魔の囁きが、清一の耳元で響く。

 どうせ、このまま解放されても、おめおめと生き恥を晒す事になる。

 父や家族に責められ、世間からは馬鹿なことをしたと蔑みの目で見られ、愛しい雪人とは会うことさえ叶わないだろう。

 雪人と逢えないなど、地獄を歩くのと同じだ。



 何よりも、雪人を寵愛している男たちが、清一を許すとは思えない。

 間違いなく、『死』は間近に訪れているのだ。





 ならば一度だけ。

 死が訪れる前に、最上の至福を味わっても良いのではないか?



 清一は真っ直ぐに雪人を見据えた。その黒い眦には、迷いも戸惑いもない。

 あるのは、明確な雪人への情欲だった。



 継一郎は、滑稽だと言わんばかりに笑うと、雪人を片手で、清一の前に突き飛ばしたのだ。

 清一は転んだ雪人の足首を掴むと、己の体の下に引き摺り倒す。



 どこにそんな力が、残っていたのかと思うほどの機敏さで、雪人を包み、首筋の顔を埋めた。





「いやぁ…!」



「雪人!」





 雪人の悲鳴に思わず、傍観者であった一番年下の継保が清一を剥がそうとする。

 しかし、それを留めたのは、雪人を最も長く所有してきた継直の鋭い声であった。





「継保、やめなさい。雪人には、我々から逃げ出そうとした罰を与えなくてはいけない」





 雪人はもがく。

 清一の腕に爪を立てるが、返ってそれは、清一を喜ばせるだけだった。

 太い指が、雪人の尻の穴を弄くり、躊躇いもなく侵入する。

 どこか手馴れた継一郎の指とは違い、無骨に割り開かれ、雪人は苦悶の声を漏らす。



 吐息を漏らし咽を反らすが、視線の先に映った祖父が面白そうな顔をしているのを見、目尻に涙が溜まる。

 なぜ祖父が、清一を嗾けたのか理解ができない。

 雪人が悪いのならば、叱責してくれればいいのだ。

 なのに、なぜ、こんな…。

 清一は雪人の白い左足を持ち上げると、膝に抱え、足の指に舌を這わせた。

 指の間を擽られ、雪人はびくびくと震える。

 舌は甲から脹脛、膝へと流れ、太股にたどり着く。



 美しい雪人の全てを見たいと、欲望に支配された双眸は、言っていた。

 清一は、雪人の蕾へと目を落とす。

 男の視線に晒され、息をした蕾をさも愛しげにみやると、躊躇いもなく口付けた。





「はっ、いや…」





 舌に内壁を探られ、訪れる快感に胸が高鳴る。慣れた行為に、一ヶ月間、感じる事のなかった疼きが内から蘇ってくる。

 雪人は、疼きと滑る舌が否で、腰を振るが、それは自分から愛撫を強請っているようにしか見えなかった。

 太い指が舌と共に雪人の中を解す。





「うぁ…いやぁ、だめ…ぁあ…ああ!」





 清一は前を寛げると、己の怒張を取り出し雪人の蕾へと宛がった。

 怒張の先を宛てられただけで、その先っぽを飲み込もうと、蕾が独りでに開いた。



 清一はそれがまるで、雪人が誘っているかのように見得、腰を推し進めた。

 雪人は甲高い悲鳴を上げる。





 雪人を腕に抱きかかえ、一気に奥まで貫いた。

 体は揺さ振られ、かくかくと震える。しかししがみ付いて離れないのは、他ならぬ雪人の方であった。

 蕾は、清一の怒張に絡みついて、強く締め付ける。



 獣のように、雪人を喰らった。

 一瞬の隙間もないほどに、身体を絡ませると、雪人の赤い唇を吸い上げ、腰を抱きながら激しく突き上げた。



 雪人の嬌声が、引切り無しにあたりに響く。





「やぁ…!あ、つい…ふといっ…せー、いちっ。せいいち!…もっ、とぉ!」





 悩ましく、美しく響く声に、耐え切れなくなったのは誰であろう。





 男の中のひとりが、手に何かを持ってふたりに近づいた。



 清一と雪人は気付かない。

 狂乱に耽っているふたりは、お互いの存在にしか、感じる事ができなかった。



 大きく突き上げられ、雪人は一瞬息が止まる。

 無意識の内にきつく男の物を締め付けてしまうと、清一がうめき声を漏らす。



 ――そして。









パーン――









「あぁぁぁ!」





 鼓膜を破りそうなほど大きな音が響く。

 と同時に、雪人は、中に吐き出される清一の精液に慄き、嬌声を上げた。



 内壁を浸食する欲望の残滓を感じながら、雪人は硬く眼を閉じた。

 胸元に覆い被さってくる清一を雪人は薄っすらと薄い瞼を開け、見詰めるが、なぜか赤いものに覆われている。





「清、いち?」





 自分の胸元を覆うように顔を伏せているのは清一であるが、頭の半分がない。

 大量の血で埋め尽くされているそれが何か理解したとき、傍らに父の継直がいることに気付いた。





「…父さん?」





 父がピストルを持っていた。

 それが、清一の頭を打ち砕いたのだと、雪人でも解る。



 雪人が呆然としている間に、直倫が清一に近付き、雪人から引き剥がした。





「さっさと雪人からどけ。この、庶民風情が!」





 繋がっていた部分から、異物が引き出され、排泄感に思わず雪人は甘い吐息を上げる。

 清一が抜けた後、雪人の蕾からは残滓が溢れ出た。





「こんな男でも感じていたのか、お前はっ」





 それと直倫は、嘲るように見遣る。

 だが、投げられる言葉とは裏腹に、直倫は雪人を起こすと、その赤い唇を奪った。





「けど、俺もお前を見て、感じちまった」





 そういって未だ呆けている雪人の白い手を取ると、自分の下肢へと持っていく。

 雪人の手が触れたそこは、布越しでも解るほど確かに硬く膨らんでいた。





「来い、雪人。久しぶりに抱いてやるよ」





 直倫はそういうと、雪人を抱き上げようとする。

 雪人と触れ合えぬ一ヶ月は、辛いものだったのだ。



 しかしそれを、留めたのはまたもや、継一郎だった。





「またんか、直倫。後からお前にも好きなだけ抱かせてやる。だが先に、仕置きをせねばならん」





 そういうと、継一郎は孫たちを見た。





「継晴、継貴、継保。先に、お前たちが、雪人を抱いてやりなさい。雪人の躰に、七種家の男たちがどれだけ嫉妬深いか、教えてやれ」





 再び座敷牢の畳に寝かされた雪人は、躰に覆い被さってくる兄弟たちに、自由になり損ねた鳥の無残な末路を見たような気がした。





 ――着物を剥がされ纏うものがなくなったその姿は、羽根をもぎ取られた鳥と同じだった。



 縛られた腕は、掴まれた足は、折られ使い物にならない翼と同じだった。





 自由を掴み損ねた鳥は、一生籠の中で生きるしかないのだろう。

 羽根をもがれ、翼を折られ、飼い主の庇護の下でしか、生きる術は無い。





 ――雪人は、終わらない凌辱に嬌声を上げながら、七種家から逃げられない己の運命を、どこか遠くに感じていた。









終焉



感想 0

あなたにおすすめの小説

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である