伴奏曲

necropsy

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伴奏曲15

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 旅行客になんらかを売ることができれば外貨を手にすることができるが老夫婦ですら、外貨を稼いでいるとは言い難い。
 思案する安藤にスイカが差し出された。
「どうぞ」
 安藤は「ありがとうございます」と言って頬張った。
 なかなかここでは甘いお菓子を食べることができない。
 バナナやヤシの実のジュース。
 美味しいのだが、この照りつける太陽の下、贅沢にビールとは言わないが冷えたコーラーを飲むのは格別だ。
 安藤は腕を組む。
 少しでも老夫婦の助けがしたい。
 農場で働けば卵が安く手に入るかもしれないが求められる労働が果たしてできるのだろうか。
 安藤は唸り続ける。



     *



 メイドを押しやりあずさはサンドイッチを作る。
 ハムに卵にシーチキンとはいかない。
 シーチキンはないがハムはある。
 ただマヨネーズがない。
 あずさはたっぷりバターをぬると具を挟み込む。
 いつもはガイドに言い作ってもらっていたが、あずさはジョンにいろいろなものを食べて貰いたい。
 ジョンともっと仲良くなりたいとあずさは願う。
 母国語がこんなに胸躍らせるとは。
 鼻歌まじりにサンドイッチを作るとバケットに入れる。
 水筒があればもっと便利なのに。
 日本での生活がどれだけ豊かであったのか、あずさは思い知らされる。
 日本ではなかなか売っていない形の悪いキュウリに「味は同じなのにな」
 見栄えのいいキュウリをスーパーで買っていたが、豊だから形にこだわれるのだろう。
 スラム街のひとたちは残飯を漁りゴミのなかから売れそうなものを分別する。
 あずさは貧困格差に胸を痛める。
 いつ殺されるのかわからないのなら、毎日を後悔なく生きたい。
 いまの自分になにができるのだろうか。
 食料を分け与えたいが島民全員には行きわたらないだろう。
 バケットを手にしたあずさはいつものように麦わら帽子をかぶった。
「さてと」
 あずさは急ぎ足でジョンがいる農場にむかう。
 その後ろ姿を部屋のなかから窓越しに見つめる海原がいる。


 なにも変わらない。
 変えようがないのだ。
 ゆっくりと動きだした歯車はタロットカード13を指す。
 審判があるとしたら、
 あずさ。
 それはお前が持つカードだ。
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