15 / 29
伴奏曲15
しおりを挟む
旅行客になんらかを売ることができれば外貨を手にすることができるが老夫婦ですら、外貨を稼いでいるとは言い難い。
思案する安藤にスイカが差し出された。
「どうぞ」
安藤は「ありがとうございます」と言って頬張った。
なかなかここでは甘いお菓子を食べることができない。
バナナやヤシの実のジュース。
美味しいのだが、この照りつける太陽の下、贅沢にビールとは言わないが冷えたコーラーを飲むのは格別だ。
安藤は腕を組む。
少しでも老夫婦の助けがしたい。
農場で働けば卵が安く手に入るかもしれないが求められる労働が果たしてできるのだろうか。
安藤は唸り続ける。
*
メイドを押しやりあずさはサンドイッチを作る。
ハムに卵にシーチキンとはいかない。
シーチキンはないがハムはある。
ただマヨネーズがない。
あずさはたっぷりバターをぬると具を挟み込む。
いつもはガイドに言い作ってもらっていたが、あずさはジョンにいろいろなものを食べて貰いたい。
ジョンともっと仲良くなりたいとあずさは願う。
母国語がこんなに胸躍らせるとは。
鼻歌まじりにサンドイッチを作るとバケットに入れる。
水筒があればもっと便利なのに。
日本での生活がどれだけ豊かであったのか、あずさは思い知らされる。
日本ではなかなか売っていない形の悪いキュウリに「味は同じなのにな」
見栄えのいいキュウリをスーパーで買っていたが、豊だから形にこだわれるのだろう。
スラム街のひとたちは残飯を漁りゴミのなかから売れそうなものを分別する。
あずさは貧困格差に胸を痛める。
いつ殺されるのかわからないのなら、毎日を後悔なく生きたい。
いまの自分になにができるのだろうか。
食料を分け与えたいが島民全員には行きわたらないだろう。
バケットを手にしたあずさはいつものように麦わら帽子をかぶった。
「さてと」
あずさは急ぎ足でジョンがいる農場にむかう。
その後ろ姿を部屋のなかから窓越しに見つめる海原がいる。
なにも変わらない。
変えようがないのだ。
ゆっくりと動きだした歯車はタロットカード13を指す。
審判があるとしたら、
あずさ。
それはお前が持つカードだ。
思案する安藤にスイカが差し出された。
「どうぞ」
安藤は「ありがとうございます」と言って頬張った。
なかなかここでは甘いお菓子を食べることができない。
バナナやヤシの実のジュース。
美味しいのだが、この照りつける太陽の下、贅沢にビールとは言わないが冷えたコーラーを飲むのは格別だ。
安藤は腕を組む。
少しでも老夫婦の助けがしたい。
農場で働けば卵が安く手に入るかもしれないが求められる労働が果たしてできるのだろうか。
安藤は唸り続ける。
*
メイドを押しやりあずさはサンドイッチを作る。
ハムに卵にシーチキンとはいかない。
シーチキンはないがハムはある。
ただマヨネーズがない。
あずさはたっぷりバターをぬると具を挟み込む。
いつもはガイドに言い作ってもらっていたが、あずさはジョンにいろいろなものを食べて貰いたい。
ジョンともっと仲良くなりたいとあずさは願う。
母国語がこんなに胸躍らせるとは。
鼻歌まじりにサンドイッチを作るとバケットに入れる。
水筒があればもっと便利なのに。
日本での生活がどれだけ豊かであったのか、あずさは思い知らされる。
日本ではなかなか売っていない形の悪いキュウリに「味は同じなのにな」
見栄えのいいキュウリをスーパーで買っていたが、豊だから形にこだわれるのだろう。
スラム街のひとたちは残飯を漁りゴミのなかから売れそうなものを分別する。
あずさは貧困格差に胸を痛める。
いつ殺されるのかわからないのなら、毎日を後悔なく生きたい。
いまの自分になにができるのだろうか。
食料を分け与えたいが島民全員には行きわたらないだろう。
バケットを手にしたあずさはいつものように麦わら帽子をかぶった。
「さてと」
あずさは急ぎ足でジョンがいる農場にむかう。
その後ろ姿を部屋のなかから窓越しに見つめる海原がいる。
なにも変わらない。
変えようがないのだ。
ゆっくりと動きだした歯車はタロットカード13を指す。
審判があるとしたら、
あずさ。
それはお前が持つカードだ。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる