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第71話~え?なにするんですか!?~

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「お前の住む街カルムの冒険者ギルドに決まってるだろ!後この国の王にも文句を言ってやらねばならん!」

何言ってるの?!この人!とんでもないこと言ってるよ!

話ぶっとびすぎでしょ!

「し、師匠?何言ってるんですか!そんな事したらまたレナール王国みたいな事になっちゃうじゃないですか!」
「ふん!そんな事知るか!貴族の奴らは一度痛い目に合わなければ恐ろしさを知らんのだ、だから二度と馬鹿な考えが起きぬようにするだけだ」
「待ってください、師匠!一体何をしようとしてるんですか!?マジで止めてくださいよ!」
「何だ!お前は私に異議をたてるつもりか?随分と立派になったではないか?」

ヤバイよこの人、イライラしすぎてパワハラ度が上がってきてるよ…
何とか別の話題で話を逸らさないと…

「いや、師匠がもし暴れてしまうと俺だけでなく彼らも行き場を失うかもしれないんですよ?だから早まったマネをしないで欲しいんです…」
「彼ら?」

俺がそう言うと師匠は目線をつばさ達にやったが全員完全に目を合わせないように逸らしている。

「彼らが一体なんだというんだ?」
「全員ではなくて、この2人イメラとミナスって言うんですが、2人は今整体師として修行中なんです。」
「修行中…?」

俺は師匠に2人の経緯を説明した。
何でカルムに来たのか、そして目的の話をした。
すると師匠の目が一段と鋭くなってきた!

「ほほう?つまりお前はこの2人が同族の為に学びたいと聞いて弟子入りさせたという訳か?」
「は、はい…そうです。」

しばらくの沈黙後

「フン!相変わらず甘ちゃんだな、だがお前らしい」

ほっ、良かったとりあえずあんし…

ドン!

その瞬間俺の頭に衝撃が走った
一瞬何が起こったのか分からなかったがどうやら俺は師匠に頭を殴られたらしい…
そして殴られた俺の頭はそこままテーブルに突っ込み一部を破壊しながら床に倒れた一瞬にして意識が飛んだがすぐに取り戻し、同時に師匠に対して怒りを覚えた。

「い、いったぁー!!何するんですかいきなり!」
「やかましいわ!少しは成長しているかと思ったらその程度の腕で弟子をとるなど言語道断だ!恥を知れ!」
「だからって殴ることはないでしょ!!死んだらどうするんですか?」
「心配するな!手加減はしてやった!」
「手加減でテーブルが壊れるぐらい殴るやつなんかいないでしょ!」

そもそも外にいる魔物を殴り倒す人間の手加減なんてたかがしれてるだろ!
ホントに死んだらどうすんだよ!?

「大体師匠は昔から力加減が出来ないんですから!店の扉を引く扉なのに無理矢理押して壊したりしたでしょ!」
「何を言う!あれは建付けが悪かっただけだろうが!私は悪くないだろ!」
「何言ってるんですか!その時俺や周りのスタッフや患者さん達もドン引きしてたでしょ!」
「な!それは確かにそうだがちゃんと謝って扉は直しただろ!」
「何が直したですか!発注しただけでやったのは俺でしょ!勝手に真実をねじ曲げないでください!」

「う…」

「全く下手したら死んでるかもしれないんですよ?分かってますか?魔物を殴って倒す力なんか普通ないんですからね!」

俺と師匠が言い合ってる時につばさが横から「いや、お前も魔物殴って倒してるやろ」
と言ってきたが「軽く」頭を叩いて黙らせた。
その後も色々一悶着あったがお互いに怒鳴りちらしたので一旦落ち着いた

「まあいい、とりあえずお前が弟子を取ったことは一先ず置いておこう。それで他の3人は誰なんだ?」

「ハァハァ…はい、えーっとこっちがつばさです。俺達と似た状態と言えば分かりますか?」
「似た状態?…ああ、なるほどなそういうことか」

俺の一言で師匠は気づいたようだそういうのはすぐわかってくれるから有難い。
つばさも普段とは違いちゃんと礼儀正しく挨拶している。

次にリノンを紹介したがよく考えたらリノンも弟子だよなと思ったが整体師ではないし冒険者仲間として紹介した。
立ち上がり挨拶をしてたが恐らくさっきまでの雰囲気を恐れてちゃんとしようと思ったんだろうな、

そして最後にネフリティスさんを紹介したが、そこで事件は起きた。

俺が紹介した瞬間立ち上がって
「初めまして!私、竜人族のネフリティスと申します。夫がいつもお世話になってます!」
と言ってきやがった!!

「夫だと…?」

おいぃ!!竜人族!!何さらっととんでもない言葉を出してるんだよ!
夫ってなんだよ夫って!
ほら見ろ!師匠の後ろからまた阿修羅が出てきたじゃないか!いや、阿修羅の後ろに夜叉まで出てきてるよ、どうしてくれるんだよ!?

この後また俺と師匠が言い合いになったのは言うまでもない…
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