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第70話~え?行くってどこへ?~

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師匠を探しに来た俺達だが途中でとんでもなく強い魔物に遭遇し、絶体絶命だと思った時更なるとんでもない化物に助けられた。

そう俺の師匠「池村理代」ことランクS冒険者ミチ

別名「歩くパワハラ」「破壊神」だ

たった今俺達が命の危機に陥っていた元凶の魔物をこの人は拳一発で倒してしまった。
本当にこの人は人間なのだろうか?
いや、そもそも人間という枠に納めてはいけない人だと思う

だってリノンは怯えてガタガタ震えてるし、
つばさとネフリティスさんはリノン程ではないけどドン引きしてるし

イメラとミナスに関しては顔面蒼白だ
ただでさえ色白なエルフがより色白になってるよ

仕方ない…イヤだけど、俺が話しかけるか

「あぁ~あの…」
「ん?怪我はないか?悪かったな驚かせてしまって」
「あ、いえ大丈夫です。それよりし…」
「全くこいつは大人しくなったと思ったら急に暴れよって!ほらさっさと起きんか!」

ズボッ!

ついさっき自分で殴り地面にめり込ませた魔物をさっさと起きろと言って、無理矢理引きずり上げる
理不尽にも程があるだろ…
見てよ、全員なにも言えず棒立ちだよ

「すまんな、こいつは一度殴り飛ばしてからは大人しく従っていたのだが見知らぬ者がいたから襲ってきたのだろう。仕方のないやつだ!」

そういうことか、だとしたらこの魔物自分達のテリトリーに入った俺達に気づいて襲ってきたのか、なら余計に理不尽だわ
侵入者だから襲ったのに後ろから殴られたんだから

でもそれだと俺達確実にやられてたし
危なかったんだよな、
ってかいい加減師匠俺に気づいてくれないかな?

「全くむやみやたらに襲うなと何度言えば…」

ここでようやく俺と目が合う

「お前は…!」

何か前にもこんな事があったな

「あ~お久しぶりです師匠、元気でしたか?」
「アオイではないか!!何故ここにいるんだ?」
「あぁ~実はギルドの依頼でここへ来て師匠に会いに来たんですけど」
「なら早く言わんか!!」

いや言おうとしてたらあんたがずっと喋ってたから言うタイミングが失われたんでしょ!
相変わらずだなと思いつつ少し安心した

「まぁいい立ち話もなんだ、家に移動して聞こうついてこい!」

そう言うと師匠は俺の首根っこを掴んで歩き出した
いや、なんでまたこれなんだよ!
普通に歩けるから!

「いや、あの師匠?何してるんですか?普通に歩けるんですけど」
「何を言ってるお前の歩く速度に合わせてたら日が暮れるだろ!だから親切に引っ張ってあげてるんだ」

いや何言ってんのあんた!?
むしろ逆の事をやってますよ!?
ほら、変なことしてるから皆引いてるじゃないですか!
本当にやめて!と言ってもやめるわけがない…だって師匠だもん!
結局引きずられたまま俺(達)は師匠の住む家に案内されたのだが、これは果たして家なのか?というかちょっとした城じゃないか?と思わせるような巨大な家がそこにあった…

全員ポカーンと見上げていたがとりあえず聞いてみた

「し、師匠?この家?城は?」
「見事だろ?実はな…」

何でも俺と別れた後師匠はこことは違う森を住みかにしようとしてたが、そこには50人くらいの盗賊団がいてこの建物を根城にしていたのだが、
その時たまたま帰ってきた盗賊の頭が師匠を見つけて良からぬ事を考えてたみたいだが案の定師匠に返り討ちにあい、その部下達も全員倒し、命を助ける代わりに「ご好意」で貰ったらしい。
元々どこかの貴族の別邸だったが盗賊達がほぼ略奪して奪ったらしい
だがここだとまた奴らが戻ってきたりまた別の盗賊が来るかもしれないと思いこの建物をアイテムボックスにしまい(入ったのが凄いんだが…)この森に移動したらしい。
師匠曰く

「私のようなか弱い乙女1人ではいつ襲われてもおかしくないからな!」と言ってきたが

何度でも俺は言ってやる。
一度辞書を開いて調べてほしい、貴女とは真逆の事が書いてあるはずだから
俺だけでなく皆が思い、挙げ句いつの間にか復活し後をついてきたあの魔物オピオスでさえ俺達と同じような顔をしている。
だがその事を誰も言わない辺り、師匠の恐ろしさを身をもって感じてるようだ。

因みにこのオピオスは元はこの辺りの森の主みたいな感じだったらしいが、師匠がボコボコに殴り倒したらしくそれ以降は従順になっているらしい。
恐ろしい力を持った魔物を更に恐ろしい力で屈服させたのか、
やっぱり師匠だ。

そんなやり取りのがあった後俺達は中に案内され広いリビングの所にある椅子へと促された。
座って一息ついたところで

「それで?ギルドが一体何の用だ?私にはないぞ?」

うん、ですよね!そうだと思いますよ
俺だって本当は行きたくなかったのに、ギルド職員にやらせればいいのに自分達に飛び火するのを恐れて今俺はここにいるんですから…

そんな俺の気持ちは遠くに追いやって俺達がここに来た理由と師匠の知らない間に何があったのかという詳細を伝えた。
話を聞いているうちに師匠の雰囲気がみるみるうちに変わっていくのがわかった。
あ、これは怒ってるな、静かに怒ってるやつだこれは…

「ほぅ…貴族というのはどの国も変わらないようだな…」

あぁヤバいな師匠の後ろから阿修羅の幻影が出てきてるよ…
これ確実にキレてるな
つばさ達なんか師匠のオーラに圧倒されてるし、あのネフリティスさんも怯えてしまってるし、

後なんで俺はこんなに冷静かと言うと、この状況を何度も経験しているからだ。
最初はあるスタッフが予約のダブルブッキングをして、さらに対応が悪かった事で結果クレームになってしまい、連帯責任として全員が師匠に物凄く怒られた。
結果そのスタッフは逃げるように辞めていったのは言うまでもない。

とにかくそんな経験を何度もしているとあまり怖くない、いやむしろこの世界に来て暫くたつし、俺も鍛えられてるのかもしれない。

だがそんな俺の気持ちを他所に師匠が予想外の事を言い出した!

「これは一度文句を言わないといかんな、おい!行くぞ」
「え、師匠?行くってどこへ?」
「何を言ってる?お前の住む街カルムの冒険者ギルドに決まってるだろ!後この国の王にも文句を言ってやらねばならん!」

いやいや何言ってるのこの人、本当に何言ってるの?!
そんな事したらまたレナール王国みたいな事になるでしょ!
話がぶっ飛びすぎでしょ!!
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