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3.回想(悠人編)
3.夢の中で(悠人視点)
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気づくと、僕は真っ白な世界にいた。
(ここはどこだろう。僕はさっき、学校の池で…)
そう考えていると、誰かの泣き声が聞こえた。この声は…永久くんの声だ。
悠人「…とわくん?」
永久くんの姿は見えなかったが、僕は泣き声のする方へ声をかけてみた。
永久「ごめんな…。」
永久くんだと確信した。僕の助けを求める声を聞いて、駆けつけてくれたんだ。やっぱり永久くんは、僕のヒーローだ。
悠人「永久くん、約束を守ってくれてありがとう。」
永久「俺は守れなかったんだ…。」
(どうして?僕の声を聞いて、駆けつけてくれたのに?)
僕には永久くんが泣いている理由も、「守れなかった」と言った理由も分からなかった。
しかし、僕は泣いている永久くんをどうにかして安心させてあげたかった。だから、僕もヒーローを目指しているという話をした。永久くんのおかげで新しいお友だちができたことも。…いじめられても平気だということも。
悠人「…だから、心配しないで。」
永久「…頑張ったんだな。きっと、悠人は俺より立派なヒーローになれる。」
この言葉で、僕の努力が報われた気がした。永久くんに「ヒーローになれる」と言ってもらえた。それだけで僕は満足だった。その言葉を噛み締めていると、
永久「悠人、好きだ。」
不意に頬にキスされた気がした。優しいキスだった。
(永久くんが…好き?僕なんかのことを?)
あまりに突然のことで、僕は戸惑った。しかし、嫌な気持ちはしなかった。むしろ、今までの人生で味わったことのない幸福を感じた。
その瞬間、僕は気づいた。僕が永久くんへ抱いていた気持ちには憧れだけでなく、好意が含まれていたということに。
しかし、永久くんの声は好意を伝えるには相応しくない、あまりに悲しい声だった。
悠人「僕も…ずっと大好きだったよ、永久くん」
…返事はなかった。
目が覚めたとき、僕は病院のベッドの上にいた。永久くんの姿は、見当たらなかった。
悠人母「…よかった、気がついたのね。」
お母さんに抱き締められて、僕は学校でのことを思い出し、泣いた。
怖かったというのはもちろん、両親に心配をかけたことが情けなかった。
ひとしきり泣いた後、僕はお母さんに永久くんが来なかったか尋ねた。
悠人母「ええ、来てたわよ。少し前に帰ってしまったけれど。」
(やっぱり来てくれたんだ。)
しかし、お母さんたちは病室にいなかったらしく、僕と永久くんが何を話していたかまでは知らなかった。
僕は、退院したら永久くんに心配をかけたことを謝ろうと思った。
そして、あの会話が夢でないことを確かめようと思った。
しかし、それが叶うことはなかった。僕はその日から、永久くんに避けられるようになったからだ。
(きっとあの時、永久くんに助けを求めたからだ。弱虫の僕は愛想を尽かされたんだ。)
それからしばらくの間、僕は落ち込んでいた。僕の様子を心配してくれたお母さんに、僕は全てを話した。
あの時、ヒーローの永久くんが駆けつけてくれたことを。
永久くんが僕のことを好きでいてくれているかもしれないことを。
あの日から、僕は永久くんに避けられていることを。
悠人母(…私たちのせいね。)
お母さんは、僕の話を聞いて悲しそうに言った。
悠人母「永久君はきっと、ヒーローのお仕事に疲れちゃったのよ。だから悠人、あなたも永久君のように強くなりなさい。今度は悠人が永久君を助ける番よ。」
だから僕は、自分がヒーローになれれば永久くんと仲良しに戻れると思った。
その後しばらくの間、僕がいじめを受けることはなくなった。そして、僕をいじめていた三人が永久くんとケンカしたという話を聞いた。
僕は自分で乗り越えないといけないことを永久くんに任せてしまった。…早くヒーローにならなければ、きっと彼はこのまま離れていってしまう。
僕はヒーローになる決意をさらに固くしたのだった。
悠人母「悠人ー、夕飯にするわよー」
お母さんに声をかけられて、僕ははっとした。もう1時間近く永久くんのことを考えていた。
(待っててね、永久くん。僕、強くなる。僕が永久くんを守れるようになるから。)
今でも変わらず、彼は僕のヒーローなのだ。そして…大好きな人なのだ。
悠人「うん、今行くー!」
大切な栞を引き出しにしまい、僕は自分の部屋をあとにした。
(ここはどこだろう。僕はさっき、学校の池で…)
そう考えていると、誰かの泣き声が聞こえた。この声は…永久くんの声だ。
悠人「…とわくん?」
永久くんの姿は見えなかったが、僕は泣き声のする方へ声をかけてみた。
永久「ごめんな…。」
永久くんだと確信した。僕の助けを求める声を聞いて、駆けつけてくれたんだ。やっぱり永久くんは、僕のヒーローだ。
悠人「永久くん、約束を守ってくれてありがとう。」
永久「俺は守れなかったんだ…。」
(どうして?僕の声を聞いて、駆けつけてくれたのに?)
僕には永久くんが泣いている理由も、「守れなかった」と言った理由も分からなかった。
しかし、僕は泣いている永久くんをどうにかして安心させてあげたかった。だから、僕もヒーローを目指しているという話をした。永久くんのおかげで新しいお友だちができたことも。…いじめられても平気だということも。
悠人「…だから、心配しないで。」
永久「…頑張ったんだな。きっと、悠人は俺より立派なヒーローになれる。」
この言葉で、僕の努力が報われた気がした。永久くんに「ヒーローになれる」と言ってもらえた。それだけで僕は満足だった。その言葉を噛み締めていると、
永久「悠人、好きだ。」
不意に頬にキスされた気がした。優しいキスだった。
(永久くんが…好き?僕なんかのことを?)
あまりに突然のことで、僕は戸惑った。しかし、嫌な気持ちはしなかった。むしろ、今までの人生で味わったことのない幸福を感じた。
その瞬間、僕は気づいた。僕が永久くんへ抱いていた気持ちには憧れだけでなく、好意が含まれていたということに。
しかし、永久くんの声は好意を伝えるには相応しくない、あまりに悲しい声だった。
悠人「僕も…ずっと大好きだったよ、永久くん」
…返事はなかった。
目が覚めたとき、僕は病院のベッドの上にいた。永久くんの姿は、見当たらなかった。
悠人母「…よかった、気がついたのね。」
お母さんに抱き締められて、僕は学校でのことを思い出し、泣いた。
怖かったというのはもちろん、両親に心配をかけたことが情けなかった。
ひとしきり泣いた後、僕はお母さんに永久くんが来なかったか尋ねた。
悠人母「ええ、来てたわよ。少し前に帰ってしまったけれど。」
(やっぱり来てくれたんだ。)
しかし、お母さんたちは病室にいなかったらしく、僕と永久くんが何を話していたかまでは知らなかった。
僕は、退院したら永久くんに心配をかけたことを謝ろうと思った。
そして、あの会話が夢でないことを確かめようと思った。
しかし、それが叶うことはなかった。僕はその日から、永久くんに避けられるようになったからだ。
(きっとあの時、永久くんに助けを求めたからだ。弱虫の僕は愛想を尽かされたんだ。)
それからしばらくの間、僕は落ち込んでいた。僕の様子を心配してくれたお母さんに、僕は全てを話した。
あの時、ヒーローの永久くんが駆けつけてくれたことを。
永久くんが僕のことを好きでいてくれているかもしれないことを。
あの日から、僕は永久くんに避けられていることを。
悠人母(…私たちのせいね。)
お母さんは、僕の話を聞いて悲しそうに言った。
悠人母「永久君はきっと、ヒーローのお仕事に疲れちゃったのよ。だから悠人、あなたも永久君のように強くなりなさい。今度は悠人が永久君を助ける番よ。」
だから僕は、自分がヒーローになれれば永久くんと仲良しに戻れると思った。
その後しばらくの間、僕がいじめを受けることはなくなった。そして、僕をいじめていた三人が永久くんとケンカしたという話を聞いた。
僕は自分で乗り越えないといけないことを永久くんに任せてしまった。…早くヒーローにならなければ、きっと彼はこのまま離れていってしまう。
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(待っててね、永久くん。僕、強くなる。僕が永久くんを守れるようになるから。)
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悠人「うん、今行くー!」
大切な栞を引き出しにしまい、僕は自分の部屋をあとにした。
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