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4.回想(翔編)
罪を重ねて、罪を滅ぼす(翔視点)
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大地「…あいつら、今日こそ仲直りできたかな?」
恭也「どうだろう、はっきりと原因がわからないからなぁ。」
下校しながら、俺達は永久と悠人について話していた。
翔「あいつらが仲直りしてくれれば、俺の役目も終わるんだけどな。…二人とも、いつも付き合ってくれてありがとな。」
大地「…気にすんなって。俺らも同罪だからな。」
恭也「ああ、最後まで付き合うさ。」
俺のわがままに付き合い、罪を重ねてくれる彼らには感謝しかなかった。俺はいい友達に恵まれたのだろう。
事の発端は小学生の頃だ。
今思えば、完全に一目惚れだった。教室ではいつも無口で本ばかり読んでいる悠人が、他のクラスの永久の前でだけは笑顔を見せているのを偶然見かけた。
(あいつ…あんなふうに笑えるんだな。)
それ以来、悠人の笑顔が頭から離れなくなった。あいつの笑顔を見たかった俺は、あいつと仲良くなればいいんじゃないかと考えた。
翔「…何の本読んでるんだ?」
本をたくさん読んでいる悠人なら本の話題に食いついてくると思い、ある日そう聞いてみた。すると、あいつは怯えているような表情をみせた。
(いきなり1対1で話すのは気まずいのか…?)
そう思った俺は、次の日は俺と仲のいい大地、恭也もつれて三人で悠人に声をかけた。しかし、悠人の表情は相変わらずだった。
(…なんでうまくいかないんだよ!)
しびれを切らした俺は、次第に悠人に冷たい言葉をかけるようになっていった。大地、恭也も同調するように、あいつに冷たい言葉をかけるようになってしまった。それでも、あいつは変わらず怯えたような表情でただ黙っていた。
しばらくして、俺は悠人がいつも大事そうにしている栞を取り上げてみた。
悠人「…!返して!!」
いつも何も言わない悠人が初めて反応してくれた。そのことが嬉しかった俺は、調子に乗ってその栞を学校の池に捨てた。その栞を取ろうと悠人は池に飛び込み、池から這い出たあとは動かなくなってしまった。
(こんなはずじゃなかったのに…!)
そう思ったときには、もう遅かった。悠人の笑顔を見たかっただけなのに、俺はただあいつを傷つけただけだった。
それから数日後、永久が俺らのところにやってきた。
永久が俺らに殴りかかってきたとき、当然だろうなと思った。大地と恭也もそう思ったのか、俺達は完全に手を抜いてケンカしていた。
(永久の気が済むまで、殴らせてやろう。俺にはそれしかできることがない。)
そう思ったが、ケンカはすぐに先生たちに止められてしまった。そして数日後、俺達は学校に呼び出されることになった。
先生たちにケンカの理由について聞かれたが、俺達は完全に俺達が悪いと分かっていた。だから余計な言い訳はせず、ただ「ごめんなさい」とだけ言った。
それから、俺達は悠人に関わることをやめた。
そして数年後、俺達は中学生になった。俺達三人と悠人、永久は偶然同じクラスになったが、なぜかいつでも不機嫌な永久は悠人を避けるようにしていた。
永久が俺達とケンカしてまで守ろうとした悠人と距離を取っていることを、俺は不思議に思った。しかし、悠人が不安そうにしている時、永久はいつでも悠人を見守っているように見えた。
何かあると思った俺は、悠人をいじめるような素振りを見せてみた。すると案の定、永久が悠人を守りに来た。そして永久が来たとき、悠人は安心したような表情を見せた。
二人の間に何があったのかは分からなかったが、二人を仲直りさせるのが俺にできる唯一の罪滅ぼしだと思った。そして、仲直りさせるために二人の距離を近づけるには、悠人をいじめることしか俺には選択肢がなかった。
俺が再び悠人をいじめ始めたのを見て、大地と恭也は俺を責めた。
大地「お前さ、いい加減悠人をいじめるのやめろよ。」
恭也「俺達が言えたことじゃないとは思うけど…。さすがにもう、やっていいことと悪いことくらいは分かるだろ?」
俺は二人にすべてを打ち明けた。
小学生の頃、悠人に一目惚れをしたことがきっかけでいじめ始めてしまったことを。
悠人を避けている永久と、悠人を仲直りさせたいこと、そのためには悠人をいじめるという選択肢しか俺にはないことを。
それを聞いた二人は、協力を申し出てくれた。
悠人を傷つけないよう、最大限の注意は払っているつもりだった。それでも、無理だった。どんなに気を付けても俺達の言葉が悠人を傷つけているのは明らかだった。
(永久…はやく仲直りしてくれ。俺達をとめてくれ…。)
そう願いながら、俺達は悠人をいじめ続けるのだった。
大地・恭也「…おーい、翔?」
二人に呼び掛けられて、俺ははっとした。
大地「…あんまり思い詰めすぎるなよ。」
恭也「俺達もいるんだ、お前は一人じゃない。」
(やっぱり、いい友達に恵まれたな。)
翔「…ああ、ありがとう。さあ、早く帰ろう。」
そう言って、俺達は再び歩き始めた。
恭也「どうだろう、はっきりと原因がわからないからなぁ。」
下校しながら、俺達は永久と悠人について話していた。
翔「あいつらが仲直りしてくれれば、俺の役目も終わるんだけどな。…二人とも、いつも付き合ってくれてありがとな。」
大地「…気にすんなって。俺らも同罪だからな。」
恭也「ああ、最後まで付き合うさ。」
俺のわがままに付き合い、罪を重ねてくれる彼らには感謝しかなかった。俺はいい友達に恵まれたのだろう。
事の発端は小学生の頃だ。
今思えば、完全に一目惚れだった。教室ではいつも無口で本ばかり読んでいる悠人が、他のクラスの永久の前でだけは笑顔を見せているのを偶然見かけた。
(あいつ…あんなふうに笑えるんだな。)
それ以来、悠人の笑顔が頭から離れなくなった。あいつの笑顔を見たかった俺は、あいつと仲良くなればいいんじゃないかと考えた。
翔「…何の本読んでるんだ?」
本をたくさん読んでいる悠人なら本の話題に食いついてくると思い、ある日そう聞いてみた。すると、あいつは怯えているような表情をみせた。
(いきなり1対1で話すのは気まずいのか…?)
そう思った俺は、次の日は俺と仲のいい大地、恭也もつれて三人で悠人に声をかけた。しかし、悠人の表情は相変わらずだった。
(…なんでうまくいかないんだよ!)
しびれを切らした俺は、次第に悠人に冷たい言葉をかけるようになっていった。大地、恭也も同調するように、あいつに冷たい言葉をかけるようになってしまった。それでも、あいつは変わらず怯えたような表情でただ黙っていた。
しばらくして、俺は悠人がいつも大事そうにしている栞を取り上げてみた。
悠人「…!返して!!」
いつも何も言わない悠人が初めて反応してくれた。そのことが嬉しかった俺は、調子に乗ってその栞を学校の池に捨てた。その栞を取ろうと悠人は池に飛び込み、池から這い出たあとは動かなくなってしまった。
(こんなはずじゃなかったのに…!)
そう思ったときには、もう遅かった。悠人の笑顔を見たかっただけなのに、俺はただあいつを傷つけただけだった。
それから数日後、永久が俺らのところにやってきた。
永久が俺らに殴りかかってきたとき、当然だろうなと思った。大地と恭也もそう思ったのか、俺達は完全に手を抜いてケンカしていた。
(永久の気が済むまで、殴らせてやろう。俺にはそれしかできることがない。)
そう思ったが、ケンカはすぐに先生たちに止められてしまった。そして数日後、俺達は学校に呼び出されることになった。
先生たちにケンカの理由について聞かれたが、俺達は完全に俺達が悪いと分かっていた。だから余計な言い訳はせず、ただ「ごめんなさい」とだけ言った。
それから、俺達は悠人に関わることをやめた。
そして数年後、俺達は中学生になった。俺達三人と悠人、永久は偶然同じクラスになったが、なぜかいつでも不機嫌な永久は悠人を避けるようにしていた。
永久が俺達とケンカしてまで守ろうとした悠人と距離を取っていることを、俺は不思議に思った。しかし、悠人が不安そうにしている時、永久はいつでも悠人を見守っているように見えた。
何かあると思った俺は、悠人をいじめるような素振りを見せてみた。すると案の定、永久が悠人を守りに来た。そして永久が来たとき、悠人は安心したような表情を見せた。
二人の間に何があったのかは分からなかったが、二人を仲直りさせるのが俺にできる唯一の罪滅ぼしだと思った。そして、仲直りさせるために二人の距離を近づけるには、悠人をいじめることしか俺には選択肢がなかった。
俺が再び悠人をいじめ始めたのを見て、大地と恭也は俺を責めた。
大地「お前さ、いい加減悠人をいじめるのやめろよ。」
恭也「俺達が言えたことじゃないとは思うけど…。さすがにもう、やっていいことと悪いことくらいは分かるだろ?」
俺は二人にすべてを打ち明けた。
小学生の頃、悠人に一目惚れをしたことがきっかけでいじめ始めてしまったことを。
悠人を避けている永久と、悠人を仲直りさせたいこと、そのためには悠人をいじめるという選択肢しか俺にはないことを。
それを聞いた二人は、協力を申し出てくれた。
悠人を傷つけないよう、最大限の注意は払っているつもりだった。それでも、無理だった。どんなに気を付けても俺達の言葉が悠人を傷つけているのは明らかだった。
(永久…はやく仲直りしてくれ。俺達をとめてくれ…。)
そう願いながら、俺達は悠人をいじめ続けるのだった。
大地・恭也「…おーい、翔?」
二人に呼び掛けられて、俺ははっとした。
大地「…あんまり思い詰めすぎるなよ。」
恭也「俺達もいるんだ、お前は一人じゃない。」
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翔「…ああ、ありがとう。さあ、早く帰ろう。」
そう言って、俺達は再び歩き始めた。
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