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5.君はヒーロー
君はヒーロー(悠人視点)
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それから数日後のことだ。
いつもは不機嫌そうな永久くんが、この日は机に突っ伏していた。今朝教室に入ってきた時も顔が真っ青だったし、体調が悪いのだろう。
(永久くん、朝から具合悪そうだな…。保健室で休んだ方がいいんじゃ…。)
僕は永久くんに声をかけたかったが、彼が僕を避けていることは分かっていたため、声をかけることができなかった。
そして二時限目が始まってすぐ、がたーん!と大きな音がした。僕がびっくりして後ろを振り返ると、永久くんが倒れていた。
先生「永久、大丈夫か!誰か保健室に運んでいってやってくれ!」
翔「永久と仲のいい、悠人が運んでいってあげればいいと思います。」
大地「…!ああ、そうだな、それがいいと思う。」
恭也「なんならしばらく、付き添っていてあげたらいいんじゃないかな?」
先生「じゃあ悠人、しばらく永久に付き添っていてくれるか?お前も身体が弱いが、一人で保健室まで運べそうか?」
悠人「…大丈夫です、僕が運んでいきます!」
(永久くん、今日は僕が守るからね。絶対大丈夫だから。)
そして僕は、どうして翔くんたちは僕達が仲良かったことを知っているんだろう…?という疑問を抱きながら、永久くんを保健室へと運んでいった。
しばらく永久くんに付き添っていてあげると、永久くんが目を覚ました。
永久「…あれ、ここは?」
悠人「よかった…。心配したんだからね!」
僕はそう言って永久くんに抱きついた。自分が避けられていることなんて、忘れていた。永久くんは少し驚いたような顔をしていたが、ぎゅっと抱き締め返してくれた。
永久「…ごめんな、悠人。心配をかけた。でも、もう俺は平気だ。だから泣かないでくれ。」
永久くんにそう言われて、初めて僕は自分が泣いていることに気づいた。
僕はずっと気になっていたことを聞いた。
悠人「どうしていつも僕の事を避けるの?僕が弱虫で、泣き虫のままだから?」
永久「そんなわけないだろう、悠人は弱虫なんかじゃない。今泣いているのも、俺を心配してくれていたからだろう。」
悠人「じゃあどうして?」
永久「…俺は悠人を守れなかったからな。悠人が池に飛び込んだあの日、俺は自分がヒーロー失格だってことに気づいたんだ。そんな俺が悠人の傍にいていいわけがない。だから、俺は決めたんだ。ヒーローになる夢も悠人の傍にいることも諦めるかわりに、何をしてでも悠人を守るって。」
今日は俺が守られちゃったけどな、と永久くんは情けなさそうに笑った。
永久「心配するな、これからはちゃんと悠人を守る。こんな俺じゃ頼りないだろうけど。」
悠人「…ヒーロー失格なんかじゃない!」
永久「…え?」
悠人「あの日だって、一番最初に僕のところに駆けつけてくれた。今だって、翔くんたちから僕を守ってくれてる。永久くんはずっと僕のヒーローなんだ!」
僕のせいで永久くんが夢を諦めてしまった。僕は涙が止まらなかった。
それでも、なんとか伝えたかった。今でも君は僕のヒーローなのだということを。
悠人「昔から優しくてかっこいい、ヒーローの永久くんにずっと憧れてた。今でももちろん、永久くんは僕のヒーローなんだ。だから、ヒーロー失格だなんて言わないで…。」
永久「悠人、分かったから。もう泣かないでくれ…。」
そう言う永久くんも、泣いていた。
悠人「僕、強くなる。永久くんに守られなくても平気なくらい、強くなるから。ヒーローになる夢も、僕の傍にいることも諦めないで。」
永久「悠人…それ、告白みたいだな。」
永久くんは涙を流したまま、笑った。
悠人「うん、告白だよ。僕は昔から、永久くんのことが大好きだったんだ。」
永久くんは一瞬驚いたような顔をした後、真面目な顔をして言った。
永久「…そっか、俺達、おんなじ気持ちだったんだな。」
そして、永久くんはポケットから四つ葉のクローバーの栞を取り出した。
永久「悠人を避けていたから渡す機会がなくてな。これ、ずっと渡そうと思ってたんだ。卒園式の時にあげたやつはボロボロになっちゃっただろ?」
永久「四つ葉のクローバーにも花言葉があるんだ。幼稚園の頃の俺は、悠人に『幸運』が来ればいいと思ってこれを渡したけど、今日は違う。」
永久「悠人、『俺のものになって』ください。」
やっぱり、永久くんも同じ気持ちでいてくれたんだ。夢の中で聞いたあの告白は、本当だったんだ。僕は心の中があたたかい気持ちでいっぱいになるのを感じた。
悠人「ふふ、永久くんのはプロポーズみたい。」
僕は笑顔で栞を受け取った。
永久「ゆ、悠人さえ良ければ、俺は結婚したっていいと思って…。」
悠人「…!?い、いや、そんなつもりじゃ…。でも、僕もいつかは永久くんと…。」
これまでの人生で一番幸せな、気まずい沈黙が流れた。
永久・悠人「…ふふ、あはは!」
堪えきれなくなった僕たちは二人で笑いあった。
永久「悠人、これからはきちんと、俺が守るからな。」
悠人「僕も、これからは永久くんを守れるようになるからね。」
そして、僕たちはそっと唇を重ねた。
いつもは不機嫌そうな永久くんが、この日は机に突っ伏していた。今朝教室に入ってきた時も顔が真っ青だったし、体調が悪いのだろう。
(永久くん、朝から具合悪そうだな…。保健室で休んだ方がいいんじゃ…。)
僕は永久くんに声をかけたかったが、彼が僕を避けていることは分かっていたため、声をかけることができなかった。
そして二時限目が始まってすぐ、がたーん!と大きな音がした。僕がびっくりして後ろを振り返ると、永久くんが倒れていた。
先生「永久、大丈夫か!誰か保健室に運んでいってやってくれ!」
翔「永久と仲のいい、悠人が運んでいってあげればいいと思います。」
大地「…!ああ、そうだな、それがいいと思う。」
恭也「なんならしばらく、付き添っていてあげたらいいんじゃないかな?」
先生「じゃあ悠人、しばらく永久に付き添っていてくれるか?お前も身体が弱いが、一人で保健室まで運べそうか?」
悠人「…大丈夫です、僕が運んでいきます!」
(永久くん、今日は僕が守るからね。絶対大丈夫だから。)
そして僕は、どうして翔くんたちは僕達が仲良かったことを知っているんだろう…?という疑問を抱きながら、永久くんを保健室へと運んでいった。
しばらく永久くんに付き添っていてあげると、永久くんが目を覚ました。
永久「…あれ、ここは?」
悠人「よかった…。心配したんだからね!」
僕はそう言って永久くんに抱きついた。自分が避けられていることなんて、忘れていた。永久くんは少し驚いたような顔をしていたが、ぎゅっと抱き締め返してくれた。
永久「…ごめんな、悠人。心配をかけた。でも、もう俺は平気だ。だから泣かないでくれ。」
永久くんにそう言われて、初めて僕は自分が泣いていることに気づいた。
僕はずっと気になっていたことを聞いた。
悠人「どうしていつも僕の事を避けるの?僕が弱虫で、泣き虫のままだから?」
永久「そんなわけないだろう、悠人は弱虫なんかじゃない。今泣いているのも、俺を心配してくれていたからだろう。」
悠人「じゃあどうして?」
永久「…俺は悠人を守れなかったからな。悠人が池に飛び込んだあの日、俺は自分がヒーロー失格だってことに気づいたんだ。そんな俺が悠人の傍にいていいわけがない。だから、俺は決めたんだ。ヒーローになる夢も悠人の傍にいることも諦めるかわりに、何をしてでも悠人を守るって。」
今日は俺が守られちゃったけどな、と永久くんは情けなさそうに笑った。
永久「心配するな、これからはちゃんと悠人を守る。こんな俺じゃ頼りないだろうけど。」
悠人「…ヒーロー失格なんかじゃない!」
永久「…え?」
悠人「あの日だって、一番最初に僕のところに駆けつけてくれた。今だって、翔くんたちから僕を守ってくれてる。永久くんはずっと僕のヒーローなんだ!」
僕のせいで永久くんが夢を諦めてしまった。僕は涙が止まらなかった。
それでも、なんとか伝えたかった。今でも君は僕のヒーローなのだということを。
悠人「昔から優しくてかっこいい、ヒーローの永久くんにずっと憧れてた。今でももちろん、永久くんは僕のヒーローなんだ。だから、ヒーロー失格だなんて言わないで…。」
永久「悠人、分かったから。もう泣かないでくれ…。」
そう言う永久くんも、泣いていた。
悠人「僕、強くなる。永久くんに守られなくても平気なくらい、強くなるから。ヒーローになる夢も、僕の傍にいることも諦めないで。」
永久「悠人…それ、告白みたいだな。」
永久くんは涙を流したまま、笑った。
悠人「うん、告白だよ。僕は昔から、永久くんのことが大好きだったんだ。」
永久くんは一瞬驚いたような顔をした後、真面目な顔をして言った。
永久「…そっか、俺達、おんなじ気持ちだったんだな。」
そして、永久くんはポケットから四つ葉のクローバーの栞を取り出した。
永久「悠人を避けていたから渡す機会がなくてな。これ、ずっと渡そうと思ってたんだ。卒園式の時にあげたやつはボロボロになっちゃっただろ?」
永久「四つ葉のクローバーにも花言葉があるんだ。幼稚園の頃の俺は、悠人に『幸運』が来ればいいと思ってこれを渡したけど、今日は違う。」
永久「悠人、『俺のものになって』ください。」
やっぱり、永久くんも同じ気持ちでいてくれたんだ。夢の中で聞いたあの告白は、本当だったんだ。僕は心の中があたたかい気持ちでいっぱいになるのを感じた。
悠人「ふふ、永久くんのはプロポーズみたい。」
僕は笑顔で栞を受け取った。
永久「ゆ、悠人さえ良ければ、俺は結婚したっていいと思って…。」
悠人「…!?い、いや、そんなつもりじゃ…。でも、僕もいつかは永久くんと…。」
これまでの人生で一番幸せな、気まずい沈黙が流れた。
永久・悠人「…ふふ、あはは!」
堪えきれなくなった僕たちは二人で笑いあった。
永久「悠人、これからはきちんと、俺が守るからな。」
悠人「僕も、これからは永久くんを守れるようになるからね。」
そして、僕たちはそっと唇を重ねた。
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