復讐と約束

アギト

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第3章 七魔将軍 アルキ編〜自身のカラを捨てて〜

第十四話 アルキからの挑戦!特訓の一週間

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 ショウは、アルキの言葉に疑問を抱いた。
「何故三対三なんですか?僕の力量はわかったんですよね?」
「あぁ、だが後ろの二人の力量を測ってない。それとついでに、タカムラの力量を測り直したい。という意味で三対三なのだ。」
「そうですか。ルールは?」
「至ってシンプルだ。一対一の試合を行う。武器の使用は不可。貴様らが見事3勝すれば、貴様らの仲間になってやろう。」
「分かりました。乗りましょう。それでは、一週間後」
「おう、楽しみにしておるぞ」
そう言い、アルキはショウ達が去るのを見送った。

 ショウ達は、道場を出てから、
「じゃあ、ザギル、オーツとタカムラさんは、どこかで訓練するか?」
「そうだな。でも、ショウはどうするんだ?」
「どっかでゆっくりしとくかな。」
「へっ、呑気なやつだな~」
と話していた。タカムラは、
「お久しぶりです。キモンさん」
「おう、タカムラも少しは強くなったな。昨日のことで再確認した。やっぱり、お前は強いよ。」
「自分なんてまだまだです。」
「少しは、自信を持てよ。」
とキモンと話した。ショウは、
「そうだ、キモンさん」
「何だ?」
「訓練できる場所って、この近くであります?」
と尋ねた。キモンは、
「そうだな~なら、ここを出て少し行くと滝があるんだ。そこに、訓練できるフィールドも道具もあったはずだ。そこに行ってみたらどうだ?」
と勧めた。ザギルは、
「取り敢えず、行ってみるか。一週間しかないし」
と言った。オーツも、
「どこでも良い、早く行こうぜ。」
と凄く動きたそうに、目を輝かせながら言った。タカムラは、
「では、自分が案内しますよ。行きましょう!」
と走り始めた。それにつられて、ザギルとオーツは走り出した。二人になったショウは、
「キモンさん」
「何だ?」
「僕を鍛えてくれませんか?」
とキモンに頭を下げて頼んだ。
「何故だ?お前はもう十分強いだろ?」
「いや、僕はまだまだです。『終の拳』の威力を、まだ最大限活かせていない。それに、最近造った『打雷花』の威力に耐えれていなかった。だから、僕を鍛えてください。」
「いいだろう。でも、俺にできることなんて限られているぞ。あまり期待するなよ。」
「ありがとうございます。」
とショウは、再度頭を下げ礼を言った。キモンは、
「ついて来い。」
と言われ、ザギル達とは別方向に行った。

 オーツ達はキモンに言われた滝に来た。
「おぉーすげぇ綺麗だな。」
「そうだな。それに、訓練に使えそうな道具も沢山あるしな。」
「はい、キモンとの鍛錬は、ここをよく使われていたんです。滝も流れが速く、量も多いから結構キツイんですよ。」
「そうか」
「そりゃ、訓練にはうってつけだな。」
と話しながら、準備運動をしていた。
 三人は、準備運動を終わらせ、
「さてと、まずは二対一の組手をするか。」
とザギルが提案をした。オーツが、
「ほぅ、なら俺が…」
と言いかけたところで、
「待て!」
とザギルが制した。
「何だよ。」
「どうせお前のことだ。『最初は、俺が一だ。』とでも言いたいんだろ?」
「げっ、バレたか…」
「だから、最初はタカムラに一をやってもらう。」
と言った。タカムラは、
「へぇ!?」
と凄く驚いた。
「無、無理ですよ。自分、あの道場じゃ最弱ですよ。」
「悪いが関係ない。それに殺し合いをするわけじゃない。それに、今回は武器の使用は不可だからな。1番慣れてるであろうタカムラの動きを知っておきたい。」
「な、なるほど」
「どちらでもいい、早くやろうぜ!」
「あぁ、じゃあ頼むぞ。」
と言うと、ザギルとオーツが距離を取って、
「この石が、滝に落ちるのを合図に始める。行くぞ…」
と言うと、ザギルが滝に向かって石を投げた。石が落ちる音を聞いて、3人が同時に動いた。
「なかなか早いじゃないか。」
「タカムラ、お前も俺を高ぶらせてくれるか!」
「やれるだけ、やってみます!」
とザギルとオーツの攻撃をいなしながら言った。そして、攻撃を躱し、
「八獄の型:焼煉燵」
と素早く展開した。ザギルが、
「月光の型:劉観月 朧」
と攻撃にうまく対応した。その隙をオーツが、
「オラァ!!」
と拳をくらわせた。タカムラは、態勢を崩したが、
「フンッ、ダァー!」
とカウンターをオーツにくらわせようとした。オーツは避けて、
「ハッハハ、いいねぇ~俺は二人みたいな型は持ってねぇからな。だが、無いなら見つけるし、作るだけだ!」
と高らかに言った。そして、体重を後ろにかけ重心を低くし、腕は上半身に収めた。タカムラが攻撃を仕掛けると、
「理抗の型:瘧終」
と拳を一瞬だけ早く動かし、すぐに収めた。すると、タカムラはその場で止まり、
「うぇ…」
と吐いた。ザギルは、驚きを隠せなかった。
『何ていう、戦闘センスだよ。その場で思いついた型を編み出した。更に、ここまで強力な技を思いつくなんて、オーツ、お前はどこまで強くなんだよ。』
そう思った。タカムラは、ふらつきながら立ち上がり、
「まだやれますよ。」
と「八獄の型」で構えた。オーツも嬉しそうに、
「そういうの嫌いじゃないぜ!」
と「理抗の型」で構えた。ザギルも、
「俺も負けてられない。」
と「月光の型」で構えた。そして、タカムラが、
「八獄の型:酷淨 絃烈斬」
と自身の氣を刀のようにし、ザギルとオーツに襲いかかった。オーツは、
「いい切れ味だ。…!」
と飛び散った小石にも氣が篭められていた。それに気づき、連撃しようとしたのを、
「理抗の型:革命」
「月光の型:劉観月 誘宵」
と2人同時に攻撃を発生させ、タカムラの攻撃を止めた。だがすぐさま、
「八獄の型:恐檻 足刳訝」
と足技にして対応した。二人は、何とか腕でガードし、
「乗ってきたな!タカムラ」
「あの対応の仕方は、君ならではの対応だな。」
タカムラを賞賛した。しかし、
「もっとギアを上げましょう!」
「そうだな!」
「ふんっ、訓練というのを忘れるなよ。」
と3人は、訓練をした。
 ザギル達は、それぞれの組手が終わり、横たわっていた。
「タカムラ、お前本当はもっと強いんじゃないか?」
とオーツが言った。ザギルも頷きながら、
「あれ程の対応力と応用力もある。それに、しっかりと基礎もできている。弱いはずがない。」
と言った。タカムラは、
「そう言ってもらえると嬉しいです。でも、なんか違う気がします。」
と真剣な表情で言った。
「どういう意味だ?」
「この型には、まだ『なにか』有りそうな気がするんです。」
「そうか。見つけれるといいな。」
「はい!」
とタカムラは、元気よく返事をした。

           2日目
 今日は、各々自身の型について意見を出し合っていた。
「『月光の型』は、応用がききやすい反面、威力がイマイチでした。」
「分かる。だから、技を繋げれると一番いいかもな。」
「なるほど、なら今度は何連続まで繋げれるか試してみよう。」
「オーツさんの型は、威力は十分だけど、まだ粗だらけですね。」
「まぁ、昨日思いついたばかりだからな。これは実践を積んでくしかねぇな。」
「タカムラの『八獄の型』は、文句のつけようはないが、本人が納得してない以上納得するまでやるしかないな。」
「よし、今日は各々の訓練にしようぜ。」
とオーツが提案した。タカムラとザギルは、
「そうだな」
「はい」
と了承した。
 ザギルは、先程言われた技との繋ぎを意識して、
「月光の型:劉観月 立待」
と滝に向かって放った。そこから、
「月光の型:劉観月 朧」
と技を繋ぎ合わせてみた。だが、
「チッ、威力が半減した。どうすればいい、どうすれば…」
一撃目から二撃目に繋げた際に、また構え直したが故に溜めの姿勢に入った。その結果、十分な溜めができず放たなければいけなかった。
 ザギルは一度、滝に打たれながら瞑想した。
『攻撃を繋げるのは、基本中の基本。それを技に置き換え、最適の発動順序を考える…』
そこから約3時間瞑想を続け、
「再開するか!」
とザギルは、「月光の型」に構えた。
「月光の型:隠月 朔」
と放ち、そこからすかさず、
「月光の型:劉観月 震閊」
と氣を纏わせた蹴りで、滝を反対方向に流した。そして、
「月光の型:劉観月 魅刈」
滝に自身の手を張り、滝に氣を走らせた。
「はぁ…はぁ…はぁ…何とか繋げれた。だが、まだ3連か…それに、一度でこれだけの負荷がかかる。」
ザギルは、技を繋げる際に最小限度の構えにし、溜めの時間を減らした。しかし、続け様に技を放つのは、身体への負荷が尋常ではなかった。ザギルは、
「なら今度は、魔眼を開放して使ってみるか。」
ともう一度、「月光の型」に構えた。

 オーツは、自身の型を正確なものにするために、
「よし!腕立て千回終わり!次は100キロダッシュだ!」
と基本(オーツ基準)トレーニングをしていた。その時にも、
『「理抗の型」を作ったは良いが、どうやったら粗が無くなるんだ?技の正確性が無かったからか?』
「う~ん、わかっねぇ!!」
と叫びながら、ダッシュしていた。すると、
「グァァァ!」
「よっと、またトロールか?いや、前の奴より活きが良いな。」
とトロールに襲われた。オーツは、軽々と躱して、
「丁度いい!俺の技の実験体になれ!」
と自身の型「理抗の型」に構えた。そして、
「グァァァ!」
とトロールが、攻撃を仕掛けた瞬間、
「理抗の型:瘧終」
「グッ、グヒヒ」
とトロールはニヤけると、受けた傷がすぐさま再生した。
「まぁ、そうだよな。それにこの野郎、氣をしっかりと操れていやがる。」
「グァァァ!」
とオーツを拳で突こうとした。オーツは、
「理抗の型:革命!」
周りの木を上手く利用し、攻撃をした。だがトロールは、攻撃をガードし、
「グッ!」
「な、何!?」
オーツが止まった瞬間に足を掴み、投げ飛ばした。オーツは、
「ふっふふ、こんなに強い魔物は、いつ振りかな~」
と楽しそうに言った。そして、
「テメェみたいなタフな奴でも、倒せなきゃいけねぇもんな。やってやるぜ!」
と「理抗の型」に構え直した。するとトロールが、オーツに襲いかかった。オーツは、避けようとせず、
「理抗の型:転伏」
とトロールの力を利用し、投げ飛ばした。そこから、
「理抗の型:轉變肖」
と氣を纏わせ、全身のツボを突いた。トロールは、ふらつきはしているが、倒れようとはしなかった。そこをオーツは、
「お前には、敬意を評するぜ。死なねぇ程度に、終わらせてやる。」
と「理抗の型」を構え、
「理抗の型」
「グァァァ!!」
とトロールがオーツに向かって来た。しかし焦らず、
「帝洸」
と氣を一点に集中し、トロールの心臓部を強く突いた。貫通する一歩手前で、攻撃をやめた。すると、トロールは気絶した。そのトロールに向かって、
「ありがとよ。いい練習になったぜ!お礼として、殺さないでやるよ。」
と手を振りながら、ダッシュの続きをした。

 タカムラは、自身の型に疑問を抱いた。
『こんな程度じゃ駄目だ。まだ有るはずだ。なにか…』
そう思いながら、型の反復練習をしていた。すると、ザギルが来て、
「明日は一対一の組手をする。だから、あまり無茶はするなよ。」
「は、はい…」
と釘を差して、自身の訓練に戻った。タカムラは、深呼吸をして、
「もう一本やってから、少し休むか。」
と呟き、もう一度1から型を練習した。
『見つけたい!この答えを!』
と強く思った。

          3日目
 ザギル達は、予定通り一対一の組手をした。
「まずは俺とオーツがやる。その後はオーツとタカムラがやって、最後は俺とタカムラがやる。」
「良いぜ!ザギルとは、コロッセオでのケリをつけたかったからな。」
と二人は相対した。二人が構えを取り、
「では、始め!」
とタカムラが合図した。それと同時に、二人が衝突した。ザギルとオーツは、異次元の速さで技を出し合った。
「ハッ!」
「理抗の型:革命」
「魔眼:能力補助」
そこから、オーツに動きを合わせ、
「月光の型:震閊」
「へっ、スピードを合わせただけじゃなく、技を出すか…」
「月光の型:劉観月 魅苅」
と容赦なく攻撃した。オーツは、ガードが遅れもろにくらってしまった。そこから、隙を見せることなく、
「月光の型:劉観月 煩霓」
と両手を合わせ、氣を纏いオーツの首を狙った。だがオーツは、
「理抗の型:転伏」
とザギルの技を利用し、地面にさした。それと同時に、
「理抗の型:帝洸」
と逆にザギルの首で手を止めた。
「俺の勝ちでいいな。」
「あぁ、俺の負けだ。」
とザギルは腕を引き抜き、オーツはその場で尻餅をついた。
「はぁ~危なかった~」
「あの場から持ち直して、負けるとはな。」
「いや、ギリギリだった。あと少し判断が遅かったら負けてた。」
と話していた。ザギルは、ここ数日から疑問に思っていたことを聞いた。
「そう言えば、『狂乱化』を何故使わなかったんだ?」
「『狂乱化』?ということは、オーツさんバーサーカーなんですか?」
「まぁな~でも、『狂乱化』は使わん。」
「何故だ?」
「あれ、お前らが思うほど良いもんじゃないぞ。『狂乱化』を使うと、身体への負荷が一気にくるんだ。筋肉痛や人によるが全身骨折してた奴も居るな。だから基本的に強いやつにしか使わん。」
「なるほどな~でもコロッセオでは、平気そうだったじゃないか。」
「あれは強制解除だったろ。だからあまり負担が来なかったんだよ。」
「そうだったのか。」
と話していた。タカムラは、
「あの、そろそろ自分と組み手してくれませんか?」
と言った。オーツは、
「そうだな。でも、少しだけ休ませてくれ。」
とオーツは、横たわり休んだ。
 1時間程休んでからタカムラとオーツが組み手を始めた。
「オーツさん、貴方に少しでも本気を出させます。」
「面白い!やってみろ!」
と言いながら、拳をまじえた。オーツが、
「理抗の…」
「はぁー!」
「出させる前に攻撃か…」
タカムラは、オーツが型を使う前に攻撃し、そこから、
「八獄の型:焼煉燵 流火」
と自身の型に繋げた。
『火が俺の体を纏わりつきやがる!』
「八獄の型:柔剛」
「理抗の型:轉變肖」
と技同士がぶつかり合った。すると周囲30mが吹っ飛んだ。そして、
「タカムラ、お前には少し本気を出すぜ!」
「僕も行きます!」
「固有スキル:狂乱化」
「特殊スキル:鬼人化」
と各々スキルを展開し、
「潰れんなよ!タカムラ!」
「着いてこれますかね?オーツさん!」
オーツは部分痕の狂乱で、鬼人化したタカムラと相対した。
「理抗の型:瘧終」
「八獄の型:砥憂苅突」
「やるな!」
「オーツさんこそ!」
と技のぶつかり合いがしばらく続いた。だが、タカムラが、
「八獄の型:奥義 阿炎 鬼火達磨」
を放った。それに対しオーツは、
「理抗の型:奥義 鳳華猗」
と氣を纏わせた拳で対抗した。そして技がぶつかり、周囲の木々がまた倒れ、土煙が舞った。土煙が晴れると、二人が倒れていた。
「はぁ…はぁ…やるな…タカムラ」
「オーツさんも…凄いですよ…」
とそれぞれスキルを解いて、互いを賞賛していた。ザギルは、
「お前ら二人ともが凄いんだよ。あと…これどうすんだ?」
とあたりを見渡させた。そこは、木々がなぎ倒れ、更地になっていた。
「「あ…全く考えてなかった。」」
と息ピッタリで言った。ザギルは、
「はぁ~俺との組み手は明日にして、一旦片付けるぞ。」
と溜め息をついて言った。タカムラは、
「まぁ、仕方ないですね。」
と立ち上がったが、オーツは、
「えぇ~面倒くせぇな~どうせザギルとタカムラが組み手したらまたこうなるだろ。なおす意味あるか?」
と屁理屈を言った。ザギルは、
「つべこべ言うな!とっとと片付けるぞ!」
と強めに言い放った。オーツは、
「へいへい」
と面倒臭そうに立ち上がり、片付けを始めた。

 一方、アルキの道場ではというと、不穏な空気が漂っていた。それは、
「アコ、ウンリュウ」
「「はい」」
「私の留守中に、道場では何やら面白いことになっていた。と聴いたが、それはお前らが呆気なく倒されたことではあるまいな?」
「「……!」」
とアコとウンリュウが、跪き一体のオーガに説教を受けていたからだ。そのオーガは、アコより体格も良くウンリュウより背が高かった。そして、左腕に鬼紋が描かれていた。
「このラセツが、『百鬼山』に行っていた時に、あの有様は何だ?」
「返す言葉もありません。」
「破られたことは事実。」
「フンッ、まぁいい。取り敢えずは、其奴の仲間とタカムラを亡き者にさせればよいのだな。」
とアルキに聴いた。アルキは、
「出来るのなら、しても良いぞ。」
と笑みを浮かべ言った。ラセツは、
「なら、アコ!ウンリュウ!」
「「はい!」」
「俺が今日から直々に稽古してやる。覚悟しておけよ!」
「「はい!」」
と二人の返事を聞いたラセツは、道場を出て行った。それを追うように、アコとウンリュウも出た。ラセツは、
『タカムラか…どうして奴を闘わせたいのだ?アルキ師匠の考えが分からん。まぁどうせ俺を楽しませられはしないか…』
と心では、少し落ち込んでいた。ラセツは、天才過ぎた故に「敗北」を一度しか経験したことがなかった。唯一「敗北」をしたのは、アルキと対峙した時だけであった。つまり、アルキの門下生でトップになる。

         試合当日
 ザギル達は、アルキの道場前に立っていた。そこでオーツは、
「来たぜ!さっさと開けろ!」
とイキイキとしていた。すると門が開き、
「待たせたな、命知らずども」
とラセツが言った。
「この前のカリは、お前らで返させてもらおう。」
「お前には無理だろ。俺には勝てねぇからな。」
「調子に乗るなよ、若造共が」
「その程度でキレるなんて、若造共よりガキですよ。」
「久し振りだな~タカムラ、元気してたか?」
「あなた程のオーガに、憶えて頂き光栄です。」
とそれぞれ言葉を交わした。そこに、
「試合はまだ始まっとらんぞ。」
「やる気十分で良かった。」
「全く血気盛んな奴らだ。」
とアルキ、ショウとキモンが頭に手を当てて言った。アルキは、
「久し振りだな、キモン。元気にしておったか?」
と嫌味を含めた言い方をした。キモンは、
「元気も元気さ、テメェの門下生の間抜け面を拝めてな。」
と言葉を返した。すると、
「お喋りはこの辺で終わりにしましょう。さぁ、試合を始めましょう。」
とショウが言い、アルキは、
「小僧が仕切るな。まぁいい、では始めよう。」
と姿勢を正して言った。
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