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「俺、いいえ、わたくしでした?」
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「な、なんだと!?」
朝起きたら、俺はやったことのあるゲームの世界に居た。
その世界の名はエルグラ。
中世ヨーロッパ風な世界観をイメージして作られた乙女ゲーム『エンジェルズストーリー』の舞台だ。
普通はMMOとかそう言うゲーム世界に飛ばされるんだろうが、残念なことに俺が一度だけオタク女子から強引にやらされた乙女ゲームの世界に紛れ込むとは思っても居なかった。
なんで、分かるかって?
いや、俺の顔が乙女ゲームに出て来る登場キャラそのものなんだぞ?
「不味い。不味いぞ」
そして、俺が乗り移ったキャラは主人公でも無ければヒロインでもない。
だからと言って、モブキャラではなく……
「悪役令嬢の僕だ……」
そう、悪役令嬢へ恋した哀れな者。
利用されるだけ利用され、ほとんどのルートで首ちょんぱされる悪役令嬢の傀儡。
ミハエル・エレッサなのである。
ただ幸いなことにスタートはどうやら相当はじめらしい。
乙女ゲームでは幼少期の描写もあり、俺が乗り移ったミハエルはその幼少期姿で少年のままだ。
この年齢の時、悪役令嬢はまだ取り返しのつかない事はしていない。
という事はこのまま悪役令嬢に関わらなければ、俺は哀れな男にはならないんじゃないか?
「そうとなれば、この世界は悪くない」
乙女ゲーム。
中世ヨーロッパ風な時代背景で描かれ、そこには魔法も存在している。
誰しもが一度は夢見たことがあるはずだ。
魔法を使ってみたいと。
乗り移る前はどうしたって?
……残念なことに社畜だ。
会社と自宅を行き来するだけの毎日。両親もすでに他界してしまった。
やり残した未練などこれっぽちも残していない。
だからこそ、すっきりとした気分で俺はミハエルとして生きて行くことにしよう。
「ただ問題は……」
ミハエルになり替わったのは良い。
だがしかし、ミハエルの記憶など引き継いでないのだ。
ただ単に俺の意識がミハエルの体を乗っ取った形に違いないだろう。
じゃあ、本当のミハエルの意志はどうなったんだ? とか思うと色々と面倒なので知ったことじゃない。
そう割り切った時であった。
こんこんとノックされた俺の部屋。
「ミハエル様。お召し物をお着替えする時間です」
「あ、え、ああ。頼む」
ミハエルの記憶なんて引き継いでない俺はさも常識があり、まるでミハエルかのように振る舞った。
やって来たメイドに服を着替えさせて貰い始める。
上着を脱がせて貰い、下着も脱いだ時だ。
「ん?」
「ミハエル様。どうかなさいましたか?」
「えっと、股間に何にもついてないんですけど?」
「冗談はよしてくださいな。ミハエル様は女の子ですからそれで当たり前なのです」
「……」
え、あ、え?
なんでミハエル女なの?
あ、待った。
乙女ゲームの中でミハエルだけ水着の立ち絵がなかった気がするし、服装も厚着ばっかだった。
俺は腐女子に脅され、ゲームの内容をしゃぶりつくしたんだぞ? 記憶が間違っているわけがない。
というか、待った。ゲーム内では、ミハエルが女だって一言も言ってないが、男だとも明言されてねえ……。
つ、つまり、制作陣は何らかの理由でミハエルが女であるという内容を削除。
結果、プレイヤーには知られていなかっただけ。
何が言いたいかは簡単だ。
「ミハエルは俺じゃなくて、わたくしでした?」
そう、ミハエルはプレイヤーからは男だと思われていたが、実は女でした。
「こ、こうなったら、俺、いいえ、わたくしとして幸せを勝ち取って見せます!!!!!」
朝起きたら、俺はやったことのあるゲームの世界に居た。
その世界の名はエルグラ。
中世ヨーロッパ風な世界観をイメージして作られた乙女ゲーム『エンジェルズストーリー』の舞台だ。
普通はMMOとかそう言うゲーム世界に飛ばされるんだろうが、残念なことに俺が一度だけオタク女子から強引にやらされた乙女ゲームの世界に紛れ込むとは思っても居なかった。
なんで、分かるかって?
いや、俺の顔が乙女ゲームに出て来る登場キャラそのものなんだぞ?
「不味い。不味いぞ」
そして、俺が乗り移ったキャラは主人公でも無ければヒロインでもない。
だからと言って、モブキャラではなく……
「悪役令嬢の僕だ……」
そう、悪役令嬢へ恋した哀れな者。
利用されるだけ利用され、ほとんどのルートで首ちょんぱされる悪役令嬢の傀儡。
ミハエル・エレッサなのである。
ただ幸いなことにスタートはどうやら相当はじめらしい。
乙女ゲームでは幼少期の描写もあり、俺が乗り移ったミハエルはその幼少期姿で少年のままだ。
この年齢の時、悪役令嬢はまだ取り返しのつかない事はしていない。
という事はこのまま悪役令嬢に関わらなければ、俺は哀れな男にはならないんじゃないか?
「そうとなれば、この世界は悪くない」
乙女ゲーム。
中世ヨーロッパ風な時代背景で描かれ、そこには魔法も存在している。
誰しもが一度は夢見たことがあるはずだ。
魔法を使ってみたいと。
乗り移る前はどうしたって?
……残念なことに社畜だ。
会社と自宅を行き来するだけの毎日。両親もすでに他界してしまった。
やり残した未練などこれっぽちも残していない。
だからこそ、すっきりとした気分で俺はミハエルとして生きて行くことにしよう。
「ただ問題は……」
ミハエルになり替わったのは良い。
だがしかし、ミハエルの記憶など引き継いでないのだ。
ただ単に俺の意識がミハエルの体を乗っ取った形に違いないだろう。
じゃあ、本当のミハエルの意志はどうなったんだ? とか思うと色々と面倒なので知ったことじゃない。
そう割り切った時であった。
こんこんとノックされた俺の部屋。
「ミハエル様。お召し物をお着替えする時間です」
「あ、え、ああ。頼む」
ミハエルの記憶なんて引き継いでない俺はさも常識があり、まるでミハエルかのように振る舞った。
やって来たメイドに服を着替えさせて貰い始める。
上着を脱がせて貰い、下着も脱いだ時だ。
「ん?」
「ミハエル様。どうかなさいましたか?」
「えっと、股間に何にもついてないんですけど?」
「冗談はよしてくださいな。ミハエル様は女の子ですからそれで当たり前なのです」
「……」
え、あ、え?
なんでミハエル女なの?
あ、待った。
乙女ゲームの中でミハエルだけ水着の立ち絵がなかった気がするし、服装も厚着ばっかだった。
俺は腐女子に脅され、ゲームの内容をしゃぶりつくしたんだぞ? 記憶が間違っているわけがない。
というか、待った。ゲーム内では、ミハエルが女だって一言も言ってないが、男だとも明言されてねえ……。
つ、つまり、制作陣は何らかの理由でミハエルが女であるという内容を削除。
結果、プレイヤーには知られていなかっただけ。
何が言いたいかは簡単だ。
「ミハエルは俺じゃなくて、わたくしでした?」
そう、ミハエルはプレイヤーからは男だと思われていたが、実は女でした。
「こ、こうなったら、俺、いいえ、わたくしとして幸せを勝ち取って見せます!!!!!」
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