天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第八章 TV出演編

第23話-2 初のTV出演

「ああ、あいつ、自意識過剰なとこあるからな。でも大丈夫だよ！あいつだっていずれ変わるって！」
アドニスは元気づけるようにそう言った。

それが伝わったのかエコーは元気になったようだった。それからいつものように、喋り続けていた。


「私、実は声優になるのが夢なの」

彼女は地球のアニメが好きでダウンロードされたのをよく見ているらしい。アニメは地球由来の文化なので、天界ではまだ新しい分野だった。


天界でも独自のアニメが作られていて、声優を志望する者も天界に増えてきているそうだ。


「まだ天界ではアニメは新しい文化だから不安だったけど…でもあなた達が、まだ天界にない『アイドル』って文化を広めようとしてるのを見てて、私も勇気が出たの！」

エコーは笑顔でそう言った。


(勇気…か…。俺たちがしてることで、誰かに力を与えられるんだな…）
アドニスは、そんなことを思っていた・・・。


***

控室に戻ったアドニスに、ガニュメデスは話しかけた。
「おや？時化た顔してたのが少しマシになったね」


少し馬鹿にするようにそう言われたのだが・・・いつもなら怒るアドニスだが、今日は反応が薄かった。


(やっぱり、様子が変だな…)

ガニュメデスだけはそのことに気付いていた。
そこで彼は挑発するかのようなことを言い出したのだ。



「ねえ、アドニス。今日の僕の見せ場の所、君に譲ってあげるよ」


それを聞いてアドニスは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにいつもの調子に戻ってこう言った。

しかし・・・その目は笑っていなかった・・・。

そして彼はこう続けた。
「断る。情けはいらねぇよ。俺は俺のやり方でやらせてもらうぜ・・・！」


ガニュメデスは不敵な笑みを浮かべた。2人は見つめ合っていた。 


どうやらこれは・・・！ 2人のプライドをかけた戦いになりそうだ・・・！