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第十八章 プロジェクトの真相編
第50話‐1 マスターの正体
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第50話「マスターの正体」
ガニュメデスがグループを脱退宣言し、寮から出て行ってから数日が経った。
アドニスは、別れ際にガニュメデスから言われた言葉がずっと頭から離れずにいた。
《僕は、君のこと好きだったよーー》
(いつも憎まれ口しか叩かないあいつが…。やっぱり納得いかねぇ。何か事情があるはずだ)
アドニスは何も知らなかった。
ガニュメデスが、自分とヒュアキントスが1万3千年前に犯した罪を免罪させるため、あえて悪者になろうとしていたことをーーー
仕事の休憩中に物思いに耽っていたアドニスだったが、ふと誰かから見られているような視線を感じた。
「何だ……?」
アドニスは辺りを見回すと、1人の女性が物陰からこちらを見ていることに気付いた。
(誰だ?)
ファンの女性だろうかと最初は思ったが、その女性はどこかで見たことがあるような気がした。
するとーーー
「あはは、ペルセポネ。そんな所から見てたら不審だよ」
笑いながら声をかけたのは、伝令の神ヘルメスだった。
「だって…。本物だから、どうしたらいいかわかんなくて」
「私に紹介してほしいって連絡してきたのはそっちでしょ?とりあえず挨拶だけでもすればいいんじゃないかな」
ヘルメスはそう言って、ペルセポネの腕を引いた。
「やあアドニス君。久しぶりだね」
「ヘルメス様。お久しぶりです。ライブも観に来てくださったようで、ありがとうございます」
アドニスは爽やかな笑顔で礼を言った。
その笑顔を見ただけでもペルセポネは顔を赤らめ、ヘルメスは満足げな笑みを浮かべた。
「……あの、そちらの女性は?」
「ああ、この子は私の知り合いでね。オリンポス12神のデメテルの娘で、ペルセポネっていうんだ」
(え……?デメテル様の…!?だからどこかで見たことある気がしたのか…)
ペルセポネのことはアドニスも知っていた。
1万3千年前まで上司だったデメテルの、最愛の娘なのだから。
「う…あ、あのぉ。は…はじめまして!」
緊張しているのか、彼女は恥ずかしそうにもじもじしながら挨拶した。
「初めまして。ペルセポネ様。以後、お見知り置きを」
アドニスから笑顔を向けられて、ペルセポネは内心失神しそうだった。
「はいぃ~!よろしくお願いしましゅ!」
噛みまくっているが、それもご愛敬だ。
するとヘルメスがコホンと咳払いをした。
「彼女、君の大ファンなんだそうだ。ねえサインでもしてあげてよ。ついでに握手もね」
「はい。それくらいなら喜んで」
「わぁ……!嬉しい♡」
アドニスは快く承諾したが、ヘルメスには何か考えがあるようだった。
しかし、2人はそれに気づくことはなかった。
ガニュメデスがグループを脱退宣言し、寮から出て行ってから数日が経った。
アドニスは、別れ際にガニュメデスから言われた言葉がずっと頭から離れずにいた。
《僕は、君のこと好きだったよーー》
(いつも憎まれ口しか叩かないあいつが…。やっぱり納得いかねぇ。何か事情があるはずだ)
アドニスは何も知らなかった。
ガニュメデスが、自分とヒュアキントスが1万3千年前に犯した罪を免罪させるため、あえて悪者になろうとしていたことをーーー
仕事の休憩中に物思いに耽っていたアドニスだったが、ふと誰かから見られているような視線を感じた。
「何だ……?」
アドニスは辺りを見回すと、1人の女性が物陰からこちらを見ていることに気付いた。
(誰だ?)
ファンの女性だろうかと最初は思ったが、その女性はどこかで見たことがあるような気がした。
するとーーー
「あはは、ペルセポネ。そんな所から見てたら不審だよ」
笑いながら声をかけたのは、伝令の神ヘルメスだった。
「だって…。本物だから、どうしたらいいかわかんなくて」
「私に紹介してほしいって連絡してきたのはそっちでしょ?とりあえず挨拶だけでもすればいいんじゃないかな」
ヘルメスはそう言って、ペルセポネの腕を引いた。
「やあアドニス君。久しぶりだね」
「ヘルメス様。お久しぶりです。ライブも観に来てくださったようで、ありがとうございます」
アドニスは爽やかな笑顔で礼を言った。
その笑顔を見ただけでもペルセポネは顔を赤らめ、ヘルメスは満足げな笑みを浮かべた。
「……あの、そちらの女性は?」
「ああ、この子は私の知り合いでね。オリンポス12神のデメテルの娘で、ペルセポネっていうんだ」
(え……?デメテル様の…!?だからどこかで見たことある気がしたのか…)
ペルセポネのことはアドニスも知っていた。
1万3千年前まで上司だったデメテルの、最愛の娘なのだから。
「う…あ、あのぉ。は…はじめまして!」
緊張しているのか、彼女は恥ずかしそうにもじもじしながら挨拶した。
「初めまして。ペルセポネ様。以後、お見知り置きを」
アドニスから笑顔を向けられて、ペルセポネは内心失神しそうだった。
「はいぃ~!よろしくお願いしましゅ!」
噛みまくっているが、それもご愛敬だ。
するとヘルメスがコホンと咳払いをした。
「彼女、君の大ファンなんだそうだ。ねえサインでもしてあげてよ。ついでに握手もね」
「はい。それくらいなら喜んで」
「わぁ……!嬉しい♡」
アドニスは快く承諾したが、ヘルメスには何か考えがあるようだった。
しかし、2人はそれに気づくことはなかった。
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