天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第十八章 プロジェクトの真相編

第51話-1 天界アイドルプロジェクトの真相

第51話「天界アイドルプロジェクトの真相」


美少年達にいつも指令を与えていた謎の男「マスター」
そのマスターの正体とは・・・あの狡知の神ロキだった。

「ふっ、バレてしまったようだね。まあ仕方ない。いずれはこうなると思っていたからね」
ロキは開き直り、悪びれずに言い放った。


「どういうつもりだ？なぜ彼らにこんな過酷なことをさせる？そして…ヒュアキントスとアドニスをどうするつもりだ？」

アポロンの問いかけに対し、ロキは鼻で笑った。


「ふん。なぜだろうね？」
「お前は敵ではないのだろう？むしろ、彼らの味方なのではないか？」
「さあ、それはどうかな？」

「お前が彼らに音楽活動を命じたのは、彼らに居場所を作るためだった。そしてここまで知名度が上がった彼らであれば、処分することも難しくなると判断したからではないのか？」

アポロンの推理に、ロキは不敵に笑った。


「ふふ……なかなか鋭いね」
「！？やはり……そうなのか」
「でも勘違いしないでくれよ？別に僕が彼らを助けたかったわけではない。僕が興味を持ったのは、彼らが僕にとって面白い存在だったからだ。それに、彼らは僕がプロデュースするに相応しい逸材だったからね」

ロキは自信満々で答えた。


「僕は地球由来の文化に興味があり、造詣が深くてね。天界で流行りそうなネタを調べてたけど、地球の『アイドル文化』は実に興味深かったんだ。だから彼らに目をつけたのだよ。あの2人は、揃いも揃って類まれな美貌を持つ少年神だったからね」
「……つまり、彼らを実験台にしたということか？」

アポロンの問いかけに、ロキはフッと笑って肯定した。


「ああ、そうだよ。地球人の感性を理解し、地球人の美的感覚に合わせたパフォーマンスができるかどうか、それを確かめたかったのさ」
「……」

「あの2人は1万3千年前に大罪を犯し、処分が保留になったまま眠らされていた。あの2人の処遇に困っていたエロスに提案し、彼らを目覚めさせたのはこの僕だ。僕はプロジェクトを成功させたかった。エロスは処遇を決めたかった。互いの利益が一致した結果、あの2人を有効活用することになったのさ」


ロキの話を聞き、アポロンは眉をひそめ、不快そうに顔を歪ませた。

「彼らはお前の玩具ではないぞ！」
「そうかい？だけど、彼らにとっては良い結果を生んだだろう？彼らが必死に頑張ってきたおかげで、彼らの認知度は上がり、1万人収容のライブ会場も満員にできるほどの人気も得た。お互いの利害も一致してWIN-WINの関係じゃないか」

ロキは勝ち誇ったような顔で、そう言い切った。


「結果的には上手くいったかもしれんが、彼らの意思を無視したやり方は間違っている」
「彼らは大罪を犯して処刑を保留されていた。いわば不良品扱いで使い物にならないと判断されたゴミみたいなものじゃないか？そんなものを再利用してやっただけでも感謝してほしいくらいだが？」

ロキの言葉を聞いてもなお、アポロンは毅然とした態度で反論する。


「それでも！彼らを弄ぶ権利は誰にもないはずだ！」
そこでエロスが口を挟んだ。