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第十八章 プロジェクトの真相編
第52話-1 大人の恋の攻め方
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第52話「大人の恋の攻め方」
美少年たちにいつも指令を与えていた謎の男「マスター」の黒幕は狡知の神ロキだった。
ロキは地球の文化に造詣が深く、天界において地球の文化が注目され始めたことも一早く気付き、流行させる仕掛けを作った一人者でもあった。
ロキはある時、地球由来のアイドル文化に目をつけて、天界で広めようと画策する。
だが天界に概念がない文化を流行させることは困難が予想された。
何事においても一から作り上げることこそ難しい。
そこでロキは、地球に多い女性アイドルではなく、天界において希少な存在であり、特に価値が高い「美少年」アイドルを育成しようと計画したのだ。
そして、類まれな美貌を持つヒュアキントスとアドニスに白羽の矢を立てたのである。
この2人は1万3千年もの間、処分を保留され持て余された存在だった。
そんな2人の利用価値を試し、更生の機会を与える機会にも恵まれる、一石二鳥の計画を思いついたのだった。
そこで天界最高位の権限を持つエロスに話を持ち掛け、互いの利益が一致する形でヒュアキントスとアドニスを永き眠りから起こすことにしたのだった。
その計画に、彼らと同じく類まれな美貌を持つガニュメデスは巻き込まれることとなった。
そしてそれはナルキッソスも同様だったーーー
ところがロキの知らない所で予想外の出来事が起きようとしていた。
***
「ねえナルキッソス君。この服、どうかな?」
「いいと思います。ですが、インナーはこちらを合わせた方がいいですね」
ナルキッソスはヘルメスと一緒に服の買い物を楽しんでいた。
「ナルキッソス君って、ファッションセンスが良いねぇ!さすがモデルだね」
「ありがとうございます」
ヘルメスからソロデビューを打診されて以降、ナルキッソスは彼と頻繁に連絡を取り合うようになり、交流を深めていた。
彼はファッション業界にも詳しく互いに服が好きだったのだ。同じ趣味を持つ者同士ということもあり、意気投合し、プライベートでも遊ぶようになっていた。
買い物が終わり、2人はカフェで休憩していた。
「ねえナルキッソス君。ソロデビューの件、考えてくれた?」
ヘルメスは単刀直入に話題を切り出した。
「はい。そのことですが…申し訳ありません。お断りさせてもらいます」
「おやおや。理由を聞かせてくれるかい?」
「正直に言うと迷いました。ですが、僕は歌は苦手です。ソロでやる以上歌唱力は必要でしょうし、僕では力不足だと判断しました」
(へえ~……この子、自分を客観視できる子なのか。それにプロ意識も高い。いいなぁ、そういうの。やはりこの子はいいな)
「なるほど。断られることは想定していたよ。確かにソロなら歌唱力は必要かもしれない。だが…ソロではなく2人だったらどうだろう?」
「………え?」
全く予想しない返答にナルキッソスは戸惑った。
美少年たちにいつも指令を与えていた謎の男「マスター」の黒幕は狡知の神ロキだった。
ロキは地球の文化に造詣が深く、天界において地球の文化が注目され始めたことも一早く気付き、流行させる仕掛けを作った一人者でもあった。
ロキはある時、地球由来のアイドル文化に目をつけて、天界で広めようと画策する。
だが天界に概念がない文化を流行させることは困難が予想された。
何事においても一から作り上げることこそ難しい。
そこでロキは、地球に多い女性アイドルではなく、天界において希少な存在であり、特に価値が高い「美少年」アイドルを育成しようと計画したのだ。
そして、類まれな美貌を持つヒュアキントスとアドニスに白羽の矢を立てたのである。
この2人は1万3千年もの間、処分を保留され持て余された存在だった。
そんな2人の利用価値を試し、更生の機会を与える機会にも恵まれる、一石二鳥の計画を思いついたのだった。
そこで天界最高位の権限を持つエロスに話を持ち掛け、互いの利益が一致する形でヒュアキントスとアドニスを永き眠りから起こすことにしたのだった。
その計画に、彼らと同じく類まれな美貌を持つガニュメデスは巻き込まれることとなった。
そしてそれはナルキッソスも同様だったーーー
ところがロキの知らない所で予想外の出来事が起きようとしていた。
***
「ねえナルキッソス君。この服、どうかな?」
「いいと思います。ですが、インナーはこちらを合わせた方がいいですね」
ナルキッソスはヘルメスと一緒に服の買い物を楽しんでいた。
「ナルキッソス君って、ファッションセンスが良いねぇ!さすがモデルだね」
「ありがとうございます」
ヘルメスからソロデビューを打診されて以降、ナルキッソスは彼と頻繁に連絡を取り合うようになり、交流を深めていた。
彼はファッション業界にも詳しく互いに服が好きだったのだ。同じ趣味を持つ者同士ということもあり、意気投合し、プライベートでも遊ぶようになっていた。
買い物が終わり、2人はカフェで休憩していた。
「ねえナルキッソス君。ソロデビューの件、考えてくれた?」
ヘルメスは単刀直入に話題を切り出した。
「はい。そのことですが…申し訳ありません。お断りさせてもらいます」
「おやおや。理由を聞かせてくれるかい?」
「正直に言うと迷いました。ですが、僕は歌は苦手です。ソロでやる以上歌唱力は必要でしょうし、僕では力不足だと判断しました」
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「………え?」
全く予想しない返答にナルキッソスは戸惑った。
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