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第十八章 プロジェクトの真相編
第52話‐2 大人の恋の攻め方
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「つまり2人組のユニットだよ。君が今してるアイドル活動としてね。地球のアイドル文化は私も調べてみたが、歌唱力はさほど重視されない。むしろコンセプトが重視される」
「コンセプト……」
「もう1人の候補は目星はついている。また紹介するよ」
ヘルメスの提案は予想外のものだった。
(2人…そういう方法があるのか。だが、あいつらを裏切るわけには……)
「この話はここでお終い。ところで君が相談してきた件についてだけど。『精霊からの呪いが自然に解除されるのか』だったね」
「あ、はい」
「そういうこともあるだろうね。確かに精霊の祟りは怖いが、自力で解けることは珍しくない話だ」
「そ、そうなんですか…」
(ということは…やはり僕が僕しか愛せない呪いは、解除されつつある可能性が高いのか……)
「いやー、嬉しいなぁ」
「?」
「君が私に相談してくれるなんて。指導役のアポロンじゃなくて、私にね♪」
「……っ、別に。僕はアポロン様は苦手なので。それにあの方は僕のことは嫌いだと思います」
その言葉を聞いたヘルメスは、ツボに入ったらしく肩を震わせて笑っていた。
(何だ?笑うようなことは言ってないのに…)
「ふ、はははは!『僕のこと嫌いだと思います』だって!傑作だなぁ、君ホント面白いな~」
「別に。それに嫌われるのは慣れてるので」
「あははは!君みたいな面白い子、私は好きだけどな」
「そうですか。貴方は変わった方ですね。僕みたいな奴、普通は嫌うか苦手になるんじゃないですか」
「ぷふふ!やっぱり面白いな~、君といると飽きなくていいよ。けど、君って意外と自分のこと好きじゃないんだね?」
ナルキッソスは一瞬ドキっとした。自分がずっと隠し続けてきた劣等感を見抜かれた気がして。
「私は君のこと好きだよ。例え君が、君のことを好きじゃないとしてもね」
急に真剣な顔をされてそう言われたので、ナルキッソスは少し面食らってしまった。
「貴方はやはり変わった方ですね……」
照れ隠しにそう突っぱねて言ったが、ヘルメスはそれでも嬉しそうだった。
「変わってるって言葉は私にとって褒め言葉だよ。ふふ、君は本当に面白い子だね」
「……」
ナルキッソスは顔が赤くなりそうなのを、下を向いて誤魔化した。
ヘルメスはそれに気付いていたが、敢えて何も言わなかった。
***
その頃、エロスやマスターとの会議を終えたガニュメデスは街を歩きながら、頭を整理させようとしていた。
(まさかこんな展開になるなんて…。アポロン様もエロス様も、けっこう負けず嫌いなところがあるからなぁ……)
ヒュアキントスとアドニスがかつて犯した大罪の処刑を消すために、エロスに自分達を認めさせないといけなくなったのである。
(もしも、そちらに賭ければ…。僕はグループを辞めずに済む?)
そんな考えが頭をもたげてきた。
しかし、すぐに思い直す。
(ダメだ。僕達のパフォーマンスでエロス様の心を動かすなんて、口でいうほど簡単な話ではない。アポロン様を疑うわけじゃないけど、やはりゼウス様の力を借りる方が確実だ)
そう自分に言い聞かせると、再び思考を巡らせる。
(地球由来のアイドル文化でエロス様を感動させられるとは思えない。確実な方を取るべきだ)
ガニュメデスは自分の本心に蓋をしてそう結論づけた。
(僕が本当は運営者だったと打ち明けてグループを脱退する。それがゼウス様が提示した条件なんだから。記者会見を開く日程も決めないとな…)
ガニュメデスのグループ脱退宣言は、記者会見の場で公にすると、会議で決まっていたのだった。
4人で活動できる期間は刻一刻と迫ってきていたのだったーーー
第53話に続く・・・
「コンセプト……」
「もう1人の候補は目星はついている。また紹介するよ」
ヘルメスの提案は予想外のものだった。
(2人…そういう方法があるのか。だが、あいつらを裏切るわけには……)
「この話はここでお終い。ところで君が相談してきた件についてだけど。『精霊からの呪いが自然に解除されるのか』だったね」
「あ、はい」
「そういうこともあるだろうね。確かに精霊の祟りは怖いが、自力で解けることは珍しくない話だ」
「そ、そうなんですか…」
(ということは…やはり僕が僕しか愛せない呪いは、解除されつつある可能性が高いのか……)
「いやー、嬉しいなぁ」
「?」
「君が私に相談してくれるなんて。指導役のアポロンじゃなくて、私にね♪」
「……っ、別に。僕はアポロン様は苦手なので。それにあの方は僕のことは嫌いだと思います」
その言葉を聞いたヘルメスは、ツボに入ったらしく肩を震わせて笑っていた。
(何だ?笑うようなことは言ってないのに…)
「ふ、はははは!『僕のこと嫌いだと思います』だって!傑作だなぁ、君ホント面白いな~」
「別に。それに嫌われるのは慣れてるので」
「あははは!君みたいな面白い子、私は好きだけどな」
「そうですか。貴方は変わった方ですね。僕みたいな奴、普通は嫌うか苦手になるんじゃないですか」
「ぷふふ!やっぱり面白いな~、君といると飽きなくていいよ。けど、君って意外と自分のこと好きじゃないんだね?」
ナルキッソスは一瞬ドキっとした。自分がずっと隠し続けてきた劣等感を見抜かれた気がして。
「私は君のこと好きだよ。例え君が、君のことを好きじゃないとしてもね」
急に真剣な顔をされてそう言われたので、ナルキッソスは少し面食らってしまった。
「貴方はやはり変わった方ですね……」
照れ隠しにそう突っぱねて言ったが、ヘルメスはそれでも嬉しそうだった。
「変わってるって言葉は私にとって褒め言葉だよ。ふふ、君は本当に面白い子だね」
「……」
ナルキッソスは顔が赤くなりそうなのを、下を向いて誤魔化した。
ヘルメスはそれに気付いていたが、敢えて何も言わなかった。
***
その頃、エロスやマスターとの会議を終えたガニュメデスは街を歩きながら、頭を整理させようとしていた。
(まさかこんな展開になるなんて…。アポロン様もエロス様も、けっこう負けず嫌いなところがあるからなぁ……)
ヒュアキントスとアドニスがかつて犯した大罪の処刑を消すために、エロスに自分達を認めさせないといけなくなったのである。
(もしも、そちらに賭ければ…。僕はグループを辞めずに済む?)
そんな考えが頭をもたげてきた。
しかし、すぐに思い直す。
(ダメだ。僕達のパフォーマンスでエロス様の心を動かすなんて、口でいうほど簡単な話ではない。アポロン様を疑うわけじゃないけど、やはりゼウス様の力を借りる方が確実だ)
そう自分に言い聞かせると、再び思考を巡らせる。
(地球由来のアイドル文化でエロス様を感動させられるとは思えない。確実な方を取るべきだ)
ガニュメデスは自分の本心に蓋をしてそう結論づけた。
(僕が本当は運営者だったと打ち明けてグループを脱退する。それがゼウス様が提示した条件なんだから。記者会見を開く日程も決めないとな…)
ガニュメデスのグループ脱退宣言は、記者会見の場で公にすると、会議で決まっていたのだった。
4人で活動できる期間は刻一刻と迫ってきていたのだったーーー
第53話に続く・・・
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