天界アイドル~ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら~

B-pro@神話創作してます

文字の大きさ
156 / 295
第十八章 プロジェクトの真相編

【番外編】恋人になったアポロンとヒュアキントスの短編「ヒヤシンスの花言葉」

しおりを挟む
おまけページです。

今回は番外編で、アポロンとヒュアキントスが恋人になった後の短編小説です。
こちらは非公開で書いていた小説から抜粋して修正しました。

なので本来は「天界アイドル」と繋がってるわけではないですが、番外編にしても良さそうだなと思い、加筆修正して載せることにしました。

アポロンとヒュアキントスのラブラブを見たいというお声をいただいたので、本編は恋愛禁止令のため、番外編にしてみました♪

※「天界アイドル」においては、地球のギリシャ神話の伝承にヒュアキントスの話はない設定です。なのでヒヤシンスの由来の話はこの小説においては別になります。


◇◆◇◆◇◆

アポロンとヒュアキントスが話をしながら歩いていると、広場に着いたので休憩する事にした。
ベンチに腰掛けて一息つくと空を見上げながらヒュアキントスはそっと呟いた。

「……空ってこんなに綺麗だったんですね……」

今までは見上げる余裕なんてなかったですから……と、しみじみとした様子で言った。


その言葉に頷くと、そっと手を重ねて握った。すると彼も握り返してきた。
2人でしばらく無言でいると彼が口を開いた。そういえば、と前置きしてから言った。


「最近、新しい趣味ができたんですよ」
「そうなのか?」
「はい、絵を描くことなんですがなかなか良い出来なんですよ。よかったら今度見てください」
「そうか、楽しみにしておこう」

そう言うと彼は嬉しそうに笑った。そして何かを思い出したかのように言った。


「あ、あともうひとつありましたね」
「なんだ?」
「自分の好きな花について調べたりすることですかね」
「ほう、それはどうしてだ?」

そう聞くと恥ずかしそうにしながら答えた。


「その花の花言葉を調べるのが好きなんです。花言葉は花の種類によって意味が異なるので面白いですよ」


そう言いながら携帯端末を操作し始めた。画面を覗き込むと花の写真がたくさんあった。それぞれの名前の下に説明文のようなものがあって、それを見ながら見ているようだ。


「ヒヤシンスの花言葉は知ってますか?」

そう言われて首を横に振った。それを見た彼は丁寧に教えてくれた。花言葉が記された部分をタップして見せてくれた。そこにはこう記されていた。


"悲しみを超えた愛" その文字を見た瞬間、胸が熱くなった気がした。
同時に目頭が熱くなるのを感じた。


「この花言葉は、相思相愛の2人が死別してしまった話が由来だそうです」

その言葉を聞いた瞬間、ハッとした。
この花は彼と同じ名前の花なのだ。そう思うと余計に切なくなった。


気がつくと彼の手を握っていた。その手は温かく、生きているという実感を与えてくれるものだった。
そんなことを考えていると突然彼に抱きしめられた。


驚いて顔を上げると優しい表情で見つめられた。

彼の瞳に吸い込まれそうになるほど美しかった。思わず見惚れていると顔が近づいてきた。キスをされると思い、目を閉じると唇が重なった。

触れるだけの軽いキスだったがとても幸せな気持ちになったのだった。


「変わらない愛、というのもヒヤシンスの花言葉だそうですよ」

そう言われた瞬間、涙が溢れた。止めようと思っても止められなくてポロポロと流れ落ちていく。
そんな自分を心配そうに見つめる彼に大丈夫だと言って笑いかけると再び話し始めた。


以前、あなたは言いましたよね。自分のことを幸せにできるのは自分だけだって……でもそれは間違っています。

あなたが幸せになる為には僕の存在が必要なんです。たとえどんな事があってもあなたを絶対に離しませんから覚悟してくださいね、と……。

それを聞いたアポロンは涙を流しながらも頷いた。そして微笑みながら言った。ありがとう、嬉しいよ、と……


そしてもう一度キスをした後、2人は手を繋いで歩き出した。
これから先、何があっても2人なら乗り越えられるだろう……何故なら2人には強い絆があるから……
2人は今日も一緒にいる、永遠に……



***

ヒヤシンスの花言葉には恋愛の言葉がいくつもある。
それをヒュアキントスは教えてくれた。


"あなたとなら幸せ" 


その言葉を見た途端、胸が熱くなった。

嬉しさのあまり抱きしめたくなる衝動に駆られたが何とか抑えた。その代わり、感謝の気持ちを込めて彼の額に軽く口付けをした。

不意打ちだったので驚いたようだったがすぐに受け入れてくれた。


そのことに安堵しつつ心の中で思うのだった。この幸せな時間がずっと続けばいい、と……


END
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...