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第十九章 トリックスター編
第56話‐2 トリックスター同士の対決
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そんな事情を何も知らないヘルメスは意気揚々と進行していく。
「ほら。B‐PROJECTの美少年達も集まってくれてますよ」
記者達の目を美少年達の方に向けるように促し、さらに続ける。
そうすることで、観客たちの関心は完全に彼らに向いてしまった。
そしてまるでパフォーマンスのように、こう宣言したのだった。
「私が指名するメンバーは決まってます」
そう言うと、彼は美少年達の1人に向かって指を指した。
その相手はーー
***
話は数日前に遡る。
ロキがヘルメスに直談判しに行き、そして対決を提案した日のことだった。
(こいつと手を組めばメリットも大きい。だが、素直に乗っかるだけなのも、こいつの手の平の上で踊らされているようで癪だな……)
そう思ったロキは、彼に勝負を持ちかけたのだった。
自分の方が上だと証明するために。
それに、もし仮に負けたとしても、それはそれで良い経験になるのではないかとも思ったのだ。
それに対しヘルメスも快諾し、そして彼は驚くべき企画を持ち出して来たのである。
それは2つのユニットによる対決だ。
それも美少年達のグループ「B‐PROJECT」内で2組のユニットに分け、ライバルにして競わせようということである。
『私はまだアイドル事業には手を出してなく、これから勝負するとなると厳しい。こういうのはどうでしょう?貴方の所のグループ…美少年達を2人ずつのユニットにし、一時的に私と貴方で分けて対決するというのは』
確かにヘルメスの言う通り、まだ参入していない彼がいきなり争いに加わるのは難しい。
そしてグループ内でユニットを組むというのは、地球のアイドルにも多く、収益も上がることから理に適っている。
アイドル同士の競争というテーマで話題性も高く、売上も見込めるだろうというのが彼の言い分であった。
彼らはアルバム発売も間近に控えており、ユニット対決の話題性も高いことから一石二鳥にもなる。
確かに一理あるなと思い、ロキはその提案に乗ることにした。
しかし問題はメンバー分けだ。
「ロキさん。彼らは貴方の管轄なのですから、まず貴方に選択権を委ねます。ですが、1名ずつ指名するのはどうですか?後は彼らの意思でメンバー分けをしてもらいます」
ヘルメスの提案に対し、しばし考える素振りを見せたのち、ニヤリと口角を上げた。
「ほう、いいね。だったら、僕はガニュメデス君をもらう!」
自信満々に宣言すると、ヘルメスも納得したように頷いた。
メンバー内で一番人気であり彼が人気を支えていると言って過言でない。
ガニュメデスを選ぶのは妥当であろうと思われたからだ。
「わかりました。でしたら、私が指名するのはーーー」
***
ヘルメスが指を指した相手。
それはナルキッソスだった。
一瞬、場内が静まり返る。
誰もが彼の行動に驚き、呆気に取られていた。
だが、次の瞬間には歓声と拍手喝采が起こり、会場は大いに盛り上がりを見せるのだった。
当の本人であるナルキッソスはというと、突然のことに理解が追いつかず、混乱している様子だ。
美少年達は皆困惑していた。突然現れたヘルメスによって勝手に話が進んでしまい、何が何だか分からない状態だった。
第57話に続く・・・
「ほら。B‐PROJECTの美少年達も集まってくれてますよ」
記者達の目を美少年達の方に向けるように促し、さらに続ける。
そうすることで、観客たちの関心は完全に彼らに向いてしまった。
そしてまるでパフォーマンスのように、こう宣言したのだった。
「私が指名するメンバーは決まってます」
そう言うと、彼は美少年達の1人に向かって指を指した。
その相手はーー
***
話は数日前に遡る。
ロキがヘルメスに直談判しに行き、そして対決を提案した日のことだった。
(こいつと手を組めばメリットも大きい。だが、素直に乗っかるだけなのも、こいつの手の平の上で踊らされているようで癪だな……)
そう思ったロキは、彼に勝負を持ちかけたのだった。
自分の方が上だと証明するために。
それに、もし仮に負けたとしても、それはそれで良い経験になるのではないかとも思ったのだ。
それに対しヘルメスも快諾し、そして彼は驚くべき企画を持ち出して来たのである。
それは2つのユニットによる対決だ。
それも美少年達のグループ「B‐PROJECT」内で2組のユニットに分け、ライバルにして競わせようということである。
『私はまだアイドル事業には手を出してなく、これから勝負するとなると厳しい。こういうのはどうでしょう?貴方の所のグループ…美少年達を2人ずつのユニットにし、一時的に私と貴方で分けて対決するというのは』
確かにヘルメスの言う通り、まだ参入していない彼がいきなり争いに加わるのは難しい。
そしてグループ内でユニットを組むというのは、地球のアイドルにも多く、収益も上がることから理に適っている。
アイドル同士の競争というテーマで話題性も高く、売上も見込めるだろうというのが彼の言い分であった。
彼らはアルバム発売も間近に控えており、ユニット対決の話題性も高いことから一石二鳥にもなる。
確かに一理あるなと思い、ロキはその提案に乗ることにした。
しかし問題はメンバー分けだ。
「ロキさん。彼らは貴方の管轄なのですから、まず貴方に選択権を委ねます。ですが、1名ずつ指名するのはどうですか?後は彼らの意思でメンバー分けをしてもらいます」
ヘルメスの提案に対し、しばし考える素振りを見せたのち、ニヤリと口角を上げた。
「ほう、いいね。だったら、僕はガニュメデス君をもらう!」
自信満々に宣言すると、ヘルメスも納得したように頷いた。
メンバー内で一番人気であり彼が人気を支えていると言って過言でない。
ガニュメデスを選ぶのは妥当であろうと思われたからだ。
「わかりました。でしたら、私が指名するのはーーー」
***
ヘルメスが指を指した相手。
それはナルキッソスだった。
一瞬、場内が静まり返る。
誰もが彼の行動に驚き、呆気に取られていた。
だが、次の瞬間には歓声と拍手喝采が起こり、会場は大いに盛り上がりを見せるのだった。
当の本人であるナルキッソスはというと、突然のことに理解が追いつかず、混乱している様子だ。
美少年達は皆困惑していた。突然現れたヘルメスによって勝手に話が進んでしまい、何が何だか分からない状態だった。
第57話に続く・・・
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