カントな男娼は4人の主人に愛される

白亜依炉

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序章

これが日常② ~序章~

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 俺には生まれた時から性器が無かった。正しく言えば男性器が無い。代わりに、そこにはしっかりと子宮や卵巣が収まっていた。卵管も膣もなんの問題もなく備わっているらしい。……つまり、いわゆるカントボーイというやつだ。男であるのに男であらず、女でないのに女である。……そんな、存在。

 ――「お前も姐さんたちみてぇに足広げンだよ」
 ――「ほらほら、きもちぃかあ? それがイくってことだよ」

 そりゃあ、そんな奴が近くに居れば下郎どもも処女を散らしたくなるってもんなんだろう。俺にはまったく理解出来ないけど。
 でも、奴らが俺の処女を喰うことはついぞ出来なかった。せいぜい口淫を教え、手淫を仕込み、穴を解し、女としての快楽を体に刻むだけ。そのせいで、奴らのせいで処女を散らすよりも先にイくことを覚えた。

 俺の処女を散らしたのはこの娼館の主人だった。年頃の娘もいる世帯持ちのくせに、「最後の仕上げだ」とかなんとか言って、俺のナカをぐちゃぐちゃに突いてイキ狂わせた。あの日のことは忘れたくても忘れられない。妊娠してしまいそうなほどに生で中出しされた腹の重さを覚えている。孕む恐怖と「この人から逃げることはできない」という屈辱と精神的屈服を嫌というほどに身体に刻み込まれた。

 俺は別に望んで男娼になった訳じゃない。ただ、生きるにはそうするしか無かっただけだ。娼館での生き方しか知らない俺には、どこかに働きに出てその後すこやかに暮らせるビジョンというものがまったく見えなかった。美人な母さんに似て、顔だけは良かったのが救いだった。
 生前の母さんは「やってみりゃなんとかなる」とかよく言ってたけど、とりあえずやってみるという勇気が恐怖でしか無かった俺は素直に足を開くことを選んだ。母さんは俺が水揚げされる日になっても何も言わなかった。アンタが決めたならと柔らかく笑んでくれた顔が、どこか悲しげだったのは……きっと、気のせいじゃない。

「あぅ、うぅぅ~~っ、だ、んな、さまぁ……あああっ」
「ん、……ほう。愛液がどんどんと……性に素直な良い子だね。それに、胸もこんなふっくらと主張して」
「ひぁ…っ、は、い、……きもちいい、の、すきでぇ…」

 男を誘う甘い声の出し方なんて子どもの頃には学んでた。それでも、気を良くしたらしい客の男は尚も俺の股間に顔を寄せて愛撫を続ける。それと一緒に胸もいじめられて喘ぎが止まらなかった。とろとろこぽこぽ蜜が溢れてシーツを濡らす。演技でもなく本当に、……とても……気持ちよかった。
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