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ネコ科男子は彼に孕まされたい!⑤

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「…………」
「ごめん、俺の方が迷惑なこと言ってるな。これ…」

 片想いしてくれてた相手に対して「好きかどうか判断するからこの関係のまま時間をくれ」なんて流石に虫が良すぎる。

 どうフォローしたもんか、と頭を悩ませていると結良がふいに起き上がった。どろどろになった身体を真正面から晒して色っぽい目で見つめてくるもんだから、俺は心もアソコも馬鹿みたいに反応しそうになる。……嘘、自覚したくないだけで多分してる。

「……わかった、良い」
「良いの? マジで?」
「良いよ。てか、最初にむちゃくちゃなことシたの、……おれ…だし……」

 思いだしたら恥ずかしくなったのか、仄かに色付いていた頬を一層赤らめて視線を漂わせながら結良がもごもごと言葉を口の中で遊ばせている。……そんな照れてる姿を見て、素直に「可愛い」って口から出そうになった俺は早急に前言撤回して「好きです」って言ってやった方が良いのかもしれない。
 この感情の答えを『好き』にしても良いのなら。

「疑いもせずにナカに出したアホが言うのもなんだけど、自分から中出しさせようとしてくるのアホすぎるだろ」
「ぐ、……仕方ないだろ。そのくらいしか浮かばなかったんだよ」
「素直に告れよ……」
「その答えが『返答延期』なのに?」
「本当にすみませんでした」

 俺は躊躇うことなく全裸のまま土下座した。
 それはすまん。本当にすまん。

「それはそれとして……お前、確か前に『発情期用の緊急避妊薬も世の中にはある』って言ってたよな?」
「言った、けど……嫌だ」
「いや何でだよ。俺らまだ高校生だぞ」

 そうなんだよ。俺らまだ高校生なんだよ。高校3年生。子どもを作るのは早すぎるっていうか……流石に大人が許さないっていうか……でも、もうナカには出しちゃってるし……。
 責任を取るって言ったのは嘘じゃないけど、そもそも取ってやれるような立場になれていない。結良をどうにか納得させて薬を飲んでもらわないと、不幸な子どもを作ってしまいかねない。そうなったら誰が一番傷付くかって話だ。腹を痛めて、死にかけながら産んで、最終的に後悔する……そんな悲しい話があってたまるか。

「年末には受験が控えてる。トントン拍子に行くなら来年は大学生……そんな慌ただしい時期に妊娠しても、ストレスに身体が追い付かなくて流産しかねないぞ」

 うん、上手い俺。流石俺。嘘は言ってないし何なら俺が思ってる心配しか出てない。いや過保護か? やっぱり俺もう「好きです」って言ってしまうべきなのでは? 自分で自分が分からなくなってきた。
 でも、本当に子どもが欲しいのなら、この点はちゃんと押さえておかないといけないことなのは間違いない。本人がその気だって言うんなら尚のこと。それに……――

「……それに、俺との機会なら……これから先でもあるだろ」
「!! ……ほんと、に…?」
「言ったろ。感情の確認がしたいから『このままの関係で』時間をくれって」

 俺がどれだけ悩もうと、俺たちがどんな関係を選ぼうと結良の発情期は定期的にやってくる。その期間中、行為をしていないとこいつは気が狂うような情欲に内部を焼かれ続けるらしい。そんなの普通のヒト視点でも拷問だ。
 対処法は結良が恋人を見つけるか、誰かが相手をしてやること。前者は他に見つける気は無さそうだし、後者はその相手が俺だ。だから、俺たちの関係自体を変えてしまっては結良は一人で苦しむことになる。
 …………あと、俺としても他の奴に抱かれてるのは面白くない。

「だから、……そうだな。最長2年時間をくれ。俺たちの受験が終わって、その後の一年で生活を安定させたら……子どもだって、もっと前向きに考えれる」
「…………それって、つまり、」

 なにかを期待するように、しないように自分を律するように、真っすぐなキラキラした瞳が俺を見つめた。

「……『好き』に対する返事自体は……『俺も』だって、思っていいの?」
「そ、れは…………だから、言ったろ。答え合わせの時間が欲しいんだよ」

 多分『好き』なんだけど、どう考えても『好き』なんだけど。でも、それをこの性欲で溶けた脳みそで判断するのが嫌だった。もっとちゃんとした頭で考えてから、ちゃんとした言葉で伝えたかった。

 けれど、そんな俺の称賛されるべき清らかな思想にはまったく気付いていないのか。結良はきゅっと目を細めたかと思うと、狙いを定めた狩人のように笑う。

「じゃあ、つまり次からは積極的にアプローチしてナカに強請っていいってことだ」
「なんでそうなった????」
「当たり前だろ。おれは諦めないから」

 ゆっくりとした所作で結良が近付いてくる。そして、俺の首に腕を回すと至近距離で見つめてきた。正座したままだった俺の太ももには尻が座り、どろりと粘性の高いナニカがソコから伝い落ちてくる。
 揺らめいていた尻尾が意志を持って動き出したかと思うと、それは器用に俺のムスコを柔く握り込んで、それで……

「おい、結良…!!」
「お前の言い分はよく分かった。今回は諦める。おれが焦りすぎた。一方的だったし。確かにこのままデキたとしても一生の後悔はしてたと思う」

 言葉を紡ぎながら、そのくせ尻尾は肉棒に絡みついたまま上下する。手淫を思わせる動きで強弱を付けながら扱かれ、沸々とまた脳が煮え始める。

「だから、今回は後でちゃんと病院に行く。でも、これからは孕ませてもらう気でエッロいアピールする」

 死の宣告か。

 ずきずきと頭が痛む気がするのは血が沸騰しているからか? それとも、とんでもねぇネコに捕まったからか? ……それとも、結良の宣言に馬鹿みてぇに興奮してる俺が居るからか?

「つーわけで、……ん、…はぁ♡……ごめ、もうちょっとだけ…付き合ってもらってい?」
「……っ、……エロい顔しておねだりはズルいだろ」

 発情期の熱がまた頭を焼き始めたらしい。もしくは、我慢の限界だったのか。結良は俺の太ももに腰を下ろしたまま、ゆるゆると腰を揺すり始める。当然、尻尾に捕まったままのムスコはその度に変則的な快感を与えられ、こっちまで腰が揺れそうになった。
 承諾代わりに唇を奪い、ベッドに押し倒す。暫くの間、口内で戯れあった。軽く舌を絡めて、結良の歯列をなぞって、上あごを舌先で舐めてやって。たったそれだけで結良はびくびくと体を震わせて、ちんこからとぷとぷ先走りをまた流し始めた。

「…‥んぁ、……はは、気が変わって孕ませる気になった?」
「それは、」

 言葉を一度区切って、尻尾を突いて退いてもらう。今度はちゃんと俺の思考を正確に汲み取ってくれたらしい。文句も何も言われず、ベッドに押し倒しても尚絡みついていた尻尾からムスコを開放をしてくれた。
 いつの間にか離れた位置に吹っ飛ばされていたゴムの箱からまた一枚出して、今度はちゃんと身に付ける。扱く手間が省けるくらい、しっかりと起立したソコを見て結良がこくりと喉を鳴らしたのが分かった。
 
 その期待に応えるように、結良の足の間に体を滑り込ませて覆い被さる。片足を持ち上げてやると、とろりと情交の痕が出迎えた。ああ、話してた間にせめてちょっとくらい体拭いてやればよかった。流石にこのまま再開は良くないよな……固まる前にさり気無く表面のは拭っとくか。
 一度気付いてしまえば気になって仕方ない。近くにあったシーツで軽く拭ってから、足を抱え直した。準備の間にすっかり色欲に犯されたネコは雄を誘うように尻肉を自分で割り開きながら、「はやく、はやくぅ♡」と繰り返している。正直その光景だけでイけそうなくらいにエロかった。

「悪い。お待たせ、挿れるぞ」
「ん。……ぁ、はぁっ、…あぁんっ、キ、たぁ…っ♡」
「はっ、あーやば……ナカ、ほんとイイ……動く…」

 挿入し直したばかりだっていうのに「お前の為の場所だよ」と言わんばかりに腸壁が絡みついてくる。先ほどまでのナマの感覚を思い出して、ゴム越しの出迎えが少し歯痒かった。
 じっとして慣らす時間も今の結良には苦行だろう。ゆっくり、ゆっくりと腰を動かして、馴染ませ、より溶かしていく。元々さっきまで埋まっていた場所だ。すっかり俺の形になっていて、その動きは自然とどんどん激しくなっていった。

 結良の甘く溶けたはしたない声も、
 俺の腰とぶつかる肌同士の音も、
 二人分の重量を支えて軋むベッドの音も。




「あぁ、それ、と…っ」
「んやぁっ、ぁ、あぁっ♡、きもちぃ、きもちぃよぉ♡、ひな、ひにゃぁっ♡♡」

 欲のまま、身体の求めるままに腰を打ち付ける。
 その間に俺はとある言葉を結良の耳に唇を寄せて流し込んだ。


「絶対、孕ませてやるから……孕ませるのは、将来のお楽しみってことにしといてくれ」

 もう聞こえていないだろうけど。
 しっかり宣言し返して、俺はゴム越しに最奥へと欲を吐き出した。
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