自称引きこもりの悪役令嬢

ぎんさむ

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ヒロイン襲来したらしいよ

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翌日学校に来るとケモ耳と尻尾をしまった少し不良チックな黒髪のイケメンが教室に座っていた。まじか………

「はよう」

「ごきげんよう」

「今日一緒に昼食べないか?」

「わたくし、お昼はあま…」

「行ってらっしゃいませ、シーニュ様!」

………私の優秀な補佐官は時に恋のキューピッドにもなるそうだ。すごいな。七変化だな。だがそんなことじゃ引き下がらないぞ!いつ鋭い眼光をぶつけられるかビクビクしながらも今日は早退する予定ですのと言う。昨日の疲れがまだ残ってるんだよ!嘘です。ごめんなさい。ケモ耳に興奮してねれなかっただけです。ひえ、怒らないで

「約束だぞ」

イケボの無駄遣い………。はぁ、何度忘れようとしても深夜アニメと漫画が忘れられない。深夜に食べるお菓子。昼夜逆転している時のカップラーメン。はぁ………。強引に約束を取り付けられてしまい、しょうがないので行くことにした。なんだかんだで食堂行くの初めてかも!?だいたい昼は抜いてるし、もしくは早退してるし。週に一回しかこないのに早退って……それでも成り立ってる私の派閥って………そして現在進行形で組織が広くなっているのは本当に勘弁して欲しい。隣のクラスからの申請がどうとか、特訓する為に家を買うとか、月に一度合宿を開くとか。まじかよ。自衛隊かよ。もうどうなってんだがさっぱりで今はシリルに任せっきりだ。そうそうシリルこと、エルヴェ・シリルさん。彼女は最初の方はビクビクしてたけど今ではなんだかんだで仲良くなってシリル呼びにもなったほどだ。最近知ったのだが彼女の服のセンスは壊滅的だ。でもそこが可愛い!本人はわかってないようだけど、本当にセンスだけは悪いので買い物に行くときは必ず誘ってね。と言ってある。



時は過ぎ、現在食堂に来ているのですがまぁとにかく広い!透明のスライドドアをガラガラと開くとまるで某夢の国のような世界が広がっていた。季節に合わせてリフォームしているらしく今のテーマは海だ。床一面綺麗な水色で塗られており、机や椅子は透明のガラスで中に水が入っている。かわゆい!キッチンの方の壁には大きなサメが入った水槽。他の壁にはキラキラと光る装飾が。そして、特別席として貝殻の椅子と机があった。あれがいい!あれって王族限定とかなのかな?だったら今ちょうどいるしあそこに座りたい!ちらっと横を見るとすでに普通の席に座っているケモ耳王子。は!?

「なんっ、あそこに座りましょうよ!」

そうやって貝殻の席を指差すとめんどくさいと言われる。えー、いいじゃーん座りたーい。私がいつまでも座らないのでしょうがなさそうに立ち上がって貝殻の席に一緒に行った。やっほーい。ありがとうと言うとシャイボーイな王子さんは耳を赤くしていた。萌え。
よしっ思いっきりイケメンを堪能してやるぞー!と開き直っていたらとてつもない視線が集まっていることに気づく。これって………私たち注目されてる?やだ、明日になったら噂されちゃう系!?開き直っている場合じゃないと、今頃気づいた私であった。
一般席だと生徒がビュッフェコーナーまで取りに行くようだけど、ここの席ならウェイトレスさんが来てくれるみたい。ちらっと周りをみると座っているのは王族だけではないようなので一般生徒も利用可能なのかな?好奇の視線の中2人揃って注文をする。なんか……ねぇ。こんな登校初日から視線浴びちゃって大丈夫?と不安そうな目で見ると案の定少し緊張している様子。しょうがないここはベテランニートの私が救ってあげよう。

「少し、人が多くありませんか?」

「は………?」

「わたくしどうも人前に出るのが苦手でして…宜しければ東屋の方で食べませんか?あそこなら人は少ないはずです」

ええ、少ないです。なぜならあそこは取り巻きたちが私専用に改造して今では豪華なシーニュ様専用ガゼボとなっておりますから。ガゼボというと前世に海外のホテルへ泊まりに行っときぶりだなぁと思って見たらまぁ見事な物置でした。やはりか……。
少々ガックリしていた私を優秀な補佐官が見逃すわけもなく、2、3日したらドヤ顔でリフォームしましたと言って見せられた。謎に丘まで作って、日が当たるのでと言って薄緑の遮光カーテンを付け、ガゼボの中には給仕まで雇い、家具はオーダーメイドだそうだ。一体どこからそんな費用が…?と聞いたら学園側にお願いしたらすぐにOKが出ましたよ。とのこと。もはや差別という概念がないのではないだろうか。まあ、そんなガゼボの説明ですが王子様は迷っているよう。

「…………行く」

「じゃあ行きましょう!」

すっと立ち上がって食堂を去り、学園内の小型馬車を捕まえてガゼボへ向かう。すごいよね。学園内に馬車って。まるでゴルフ場よ。程なくしてガゼボに着いたので、ありがとうと言って降りる。

「凄いでしょう!」

「あぁ」

「さ、入りましょう」

「待て、言いたいことがある」

「はい、なんでしょう」

「俺と正式に婚約してくれ」

「……………!?!?!?」

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