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ある日、召喚されました。

ステータス公開

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    「……………戻れないって、どういう事だ?」



    静かに、困惑した様に倉咲が聞き返す。



    ……………あぁ、そう言えば、まだ話の最中だったな。



    「その言葉の通り、あなた方を向こうの元の世界に帰す方法は無いのです。」
    「昔の勇者も、誰一人元の世界へ戻った方はいないと言われています。」



    王女と王子がハッキリと、答える。



    「そんなっ!わ、私達はふ、普通の学生なんです!……………帰らないと、親にも心配をかけてしまいます。」



    小松原が言い返すが、最後の方がかすれ声になってしまっていた。



    黒瀬が頷き、答える。



    「俺も、帰らなければ家族に心配をかけてしまう。そもそも、俺達はただの学生だったんだ。邪帝と戦うなんて、出来るはずがないだろう。」



    その言葉に王子が答える。……………前に世羅って奴が答えた。



    「いや、大丈夫だろ?だって俺らは召喚されたんだぜ?ラノベお決まりの加護とかスゲーチートスキルとか、貰っているに決まってんじゃん!?」



    ……………こいつは、馬鹿なのか?いくら強い能力を持っていたとしても、人間死ぬ時は死ぬ。そして、どんなに強力なスキルを持っていたとしても、それを上手く扱えなければ宝の持ち腐れもいいとこなのに。ハァー。呆れるな。



    その声に王女が嬉しげに答え、王子がそれに続いた。



    「まぁ!加護がございますの!確かに歴代の勇者様達にもあったという話は聞いておりますけれど、実際に加護を持っている方と出会ったのは初めてですわ!」
    「加護を持っているとは、驚きですね。ぜひ、あなた方のステータスを見せていただけますか?」



    倉咲が、不思議そうに聞き、王子は、侍女が持ってきた石版を見ながら答えた。



    「あの、ステータスとはどうやって見せるんだ?」
    「あぁ、自分だけ見えればいい時は、ステータスと頭の中や声に出して唱えると頭の中に自分のステータスが出てきます。そして、他人にも見せる時は、この石版に手を翳してくれればいいのです。なので、手をかざして頂いても?」
    「そういう事なら、俺からやってもいいか?」
    「勿論。」



    どうやら、世羅が一番に調べるらしい。



    ……………隠蔽は、多分していないだろうな。どうするんだろう?ステータスを見せるということは、自身の最大の弱点を公開する事と同義なのにね。



    世羅はワクワクしたような表情で、石版に手をかざした。



─ステータス─
    名前・世羅せら    一稀いつき
    レベル・6
    職業・勇者
    HP・420
    MP・19
    攻撃力・380
    防御力・210
    器用さ・92
    素早さ・85
    幸運・67
*スキル*
    剣技    Lv,1
    成長速度加速    Lv,2
    HP回復速度up    Lv,2
    言語理解    
*ユニークスキル*
    勇者補正    Lv,1
*称号*
    召喚勇者
*加護*
    創世神(シュラジール)の加護
    闘神(ヴォンス)の加護



    あっ!シュラジールって創世神なんだ。
    ……………それと、私、加護とか見てなかったな。




    ……………ていうか、言っちゃ悪いけど、レベル1の私方がステータスが高いのか……………。本当に感謝だね。
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