二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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 さて、やってきました冒険者ギルド。
 初めてのことにワクワクしていたが、入った途端男だらけのむさ苦しさに思わず開けた扉を閉じてしまった。

 「縁?」

 不思議そうな顔をしたアレンに大丈夫だと伝えると、思い切って中に入る。

 「見事に男性ばかりですね」

 「まぁ、女で危険な冒険者をやるヤツは少ないな」

 怪我など当たり前、依頼内容によっては命をなくすこともあるらしい冒険者に喜んでなる女性は早々いないだろう。
 それでもゼロではないのはその稼ぎの良さ、旅人のような自由さを求めてか、あるいは家の貧しさなどの事情によるものがあるらしい。
 日本でも少ないが女性でも軍隊に入る人がいるのを思えば不思議ではないのだろう。

 「ご依頼でしたら隣の受付でお願いします」

 「いえ、冒険者登録したいのですが」

 「は?」

 さっさと用件を済ませてしまおうと受付に向かったのだが、何故かこちらが言う前に依頼の受付だと思われてしまう。

 「え?あの、冒険者登録をお願いしたいのですが」

 「え?」

 伝わらないのは何故だろう?
 言い方が悪いのか、それとも何か他の冒険者としての合言葉でもあるのだろうか。
  助けを求め、後ろに控えていたアレンたちを見たが彼らも受付の男性に同意するように頷いている。

 「本当によろしいんですか?」

 「?はい。そのために来たので」

 確認されてしまうとは…子どもにでも見られていのだろうか。
 確かに成人したばかりの16歳という年齢ではあるが。
 ここまで来て引き返す方がおかしいと思う。

 「……かしこまりました。では手続きしますので、書類に必要事項の記入と、こちらに血を数滴お願いします」

 名前、年齢、生年月日などと簡単なものだったが、カードに血を垂らす意味が分からなかった。
 怪しい儀式に使われたりしないですよね。
 もしくは知らない誰かの借金連帯保証人。
 男性を見るが焦った様子はなく、むしろどうしたのかと心配されてしまう。
 諦めて渡された針で指を刺すと、流れ出てきた血を名刺サイズのカードに垂らした。

 「お?」

 一瞬カードが光ったかと思えば、カードに縁の名前が刻まれている。
 え、いつの間に?

 「これで終了になります。受けられる依頼は現在のランクの一つ上で、縁さんはFですのでEランクまで受けられます。依頼失敗となりましたらペナルティとなり、それが続くようなら登録抹消ともなるのでお気を付け下さい」

 ギルドでは難易度によってランクで決まっているらしく、低ランクのFランクからAランク、一番高ランクがSランクになるそうだ。

 「あの、彼らに手伝ってもらうことに問題はあるんでしょうか」

 セインは大丈夫だと言っていたが、念のため確認すれば問題はないらしく縁の奴隷として登録しておいてくれた。

 「ありがとうございます」

 「……いえ。お気をつけて」

 奴隷について聞いたことが意外だったのか不思議な顔をされたが、無事登録することができた。
 カードの仕組みを理解できないままだったが、まぁいいかと入り口近くにある依頼ボードに向かう。
 まず初歩からだと薬草採取を受けるとアレンと初めて出会った森へと向かうことにした。
 名前は知らなかったようだが、図鑑を見せればどれが採取依頼の薬草か分かったらしいのでアレンに教わりながらみんなで次々と採取していく。
 アズは最初宿で留守番していてもらおうと思ったのだが、行くと聞かなかったため一緒に採取を手伝ってもらっている。
 卵も放置することができず、簡易的に布でおんぶ紐のようなものを作り縁の背中に抱えられている。
 総勢4人(と1匹)での採取はすぐに依頼達成し、時間もあるのでついでとばかりに食べられそうな木の実や山菜らしきものも教わりながら採取していった。

 「3人とも今日はここまでにして帰りーま、しょう?ん?わわわっ、なに、なに?」

 「縁?」
 「縁!」
 「ママ?」

 その時、背中の卵が一瞬震えて止まったかと思えば、再び震え出し驚いて紐を外し腕に抱える。

 「これ…生まれ、そうなんですかね?アレン分かります?」

 「いや、俺も初めてだからわからん」

 お兄ちゃんも頼りにならないようだ。
 どうしようと考えている間にも、卵の中で頑張っているのか殻にパキパキとヒビがはいっていく。

 「がんばれ、がんばれ~」

 周りの大人がどうしようと慌てる中、アズは卵のすぐ近くまでくると頑張れと応援しながら卵を撫でていた。
 幼いアズの姿に縁も冷静になると、一緒に応援しながら卵を撫でてやる。

 「もう少しです、がんばって」

 「がんばれ~、がんばれ~」

 「みんな待ってますよ。がんば、あっ」

 「キュー、キュァー」

 最後に力を振り絞って殻を突き破って出てきたのは親譲りの白い鱗に金色の瞳を持つ小さな蛇だった。

 「よく頑張りましたね。いい子」

 「キュァー、キュー」

 褒めるように撫でてやれば嬉しそうに手に擦り寄ってくる。

 「アズ、おにいちゃんだよ」

 「そうですね。頼もしいお兄ちゃんです。それで……名前どうしましょう?」

 いつまでも卵やら蛇と呼ぶのは可哀想だろう。
 何かいいものはあるかとアレンを見るが、縁につけてやってほしいと言われる。
 名付け親とは緊張してしまう。
 
 「うーん、そうですね~。しろは変だし、ホワイト…では安直ですよね。もっと、こう……あっ、スノーとかどうですか?私がいたところでは雪って意味です。雪のように白い綺麗な鱗ってことで」

 「スノー?」

 「えぇ、今日からアズの弟のスノーです。仲良くできますか?」

 「うん!」

 いい子だと頭を撫でてやり、アレンにも見せてやれば少し泣きそうな顔で「あいつにそっくりだ」と笑っていた。

 「ところでこの子って男の子ですかね?女の子ですかね?」

 「考えたこともなかったな。あいつはどっちかというと母親よりだったから雌だと勝手に思ってたが、スノーはどうだろうな」

 誰も判断ができないということで、その内分かるだろうと放置することした。

 「これなら少しは動きやすくなりますね。でもこの姿のままっていうのも危ないか」

 「まだ小さいからな、誰かの服の中にでも忍ばせておけばいいだろ」

 「アズ!アズが一緒にいるの!」

 お兄ちゃんである自分がというが、アズの小さな体では隠すのは無理そうなのでギルドに行く前に何か小さな鞄でも買ってやることにした。
 では行くかと振り向けば、後ろにいたセインに一瞬腰を掴まれーー

 「いつか俺の子どもも産んでくれ」

 「え?」

 耳元でそう囁かれたのだった。
 
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