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約束
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いい朝だ。
朝早く目を覚ました縁は隣に寝転がる3人に微笑むとそっと部屋を出る。
薄暗い洞窟は肌寒かったが、まだ寝ぼけていた頭には心地よく徐々に冴えていく。
「おはようございます」
後ろからかけられた声に縁も返してやれば、相手も元々の細い目を更に細めて微笑んでくれる。
「サッズさんも随分早起きですね」
狐耳を生やした青年は縁の行動を読んでいたかのように、後ろをついてきていた。
「習慣になってんの。もう治らないんだよ………昨日はありがとう、ございました」
頭を下げてくるサッズになんのことだと首を傾げる。
「お頭を助けてくれて」
「いいえ。私は少しマッサージをしてあげただけです」
どうやら部屋の外で聴かれていたらしい。
「アンタにはそうかもしれないけど、それでも俺たちができないことをアンタはしてくれた」
少し話しをして、凝った身体を揉んでやった。
ただそれだけだ。
「……あんなふうに泣くお頭の声初めて聞いた。泣く姿なんて見たことないからビックリしたけど、よかったって思ってる」
「そうですか」
情けないと思われなかったようで一安心だ。
まぁそんなことないだろと思ってはいたが。
「だから、ありがとう。ただそれだけ言いたかったんだ」
照れたように笑って去っていく後ろ姿に笑みが溢れたのだった。
そのまま数分歩き回ってから部屋に戻ればアズ以外は起き上がっていた。
「ここは本当にすごいですね。私の力では自力で出入りできませんがこんな隠れ家憧れます」
「起きたらいないのは心臓に悪いからやめて」
アレンに右手を、セインに左手を取られるとベッドに引きづりこまれる。
「すいません。なんだかワクワクしちゃって。中を探検してきちゃいました」
ジークたちは好きに見て回っていいと言ってくれてはいたが、まだ人間を嫌っている獣人がいる中で歩き回るのは申し訳なく思っていた。
なので早朝目が覚めて、人が少ないのを知って探検していたのだ。
「それは分かるが、行くならちゃんと俺たちも連れて行ってくれ。縁を1人にするなんて不安でしかない」
なんと失礼な。
と思ったが、アレンもセインの言葉に頷いているようなので番ゆえの不安なのかもしれないと頷いておく。
「昨日はどうでした?アズは大丈夫でしたか?」
昨晩遅くまでジークの部屋にいたため、与えられた部屋に戻ってくるころには幼いアズは寝てしまっていた。
セインに後ろから抱っこされ胡座をかいた膝に乗せられながら、伸ばした足は正面に座るアレンの膝に乗せられていた。
どちらも縁を離したくないゆえの妥協案なのだろう。
アレンが少々妖しい動きをしているが、昨夜は遅くまで戻らない縁に心配させてしまったことを考え好きにさせておく。
「ダメだった。何人かあいさつしてくれたんだけどな、アズが怖がって動かなかった」
どうやら人見知りだったらしい。
「逆にアレンは大人気だったぞ。腕に足にとくっつかれては投げ飛ばしてたな」
投げ飛ばす?
「……私は獣人の子どもにさえ勝てる気がしません」
「そうだな。危ないからやめておけ」
獣人は子どもでさえ身体能力が高いらしい。
ろくに運動らしい運動をしていない縁には怪我をする未来しか見えなかった。
「アズみたいな子はいなかったんですか?」
アズ以外の魔族を見たことはなかったが、これだけいるなら1人ぐらいはと思っていたのだが。
「魔族がって意味ならいなかった。そもそも魔族がこちら側にやってくること自体珍しいんだ」
「こちら側?」
「俺たち人間が住む所だ。魔族は魔族たちだけが住む魔界と呼ばれる場所があるらしい」
獣人は人間と嫌でも生きていかなければいけないのに、魔族は魔界という場所があるというのは訳がわからなかった。
「そうなんですか。ではアズの同族探しは諦めて獣人内で友達でもできればいいんですが」
ここで詳しく聞こうとしないのは縁らしくもあったが、聞かないがゆえに縁はまた魔法の存在に気付くことがないのであった。
「縁といれば大丈夫かもな。おい、セイン交代しろ」
交代とはなんだろうと思っていれば、今度はアレンに抱きかかえられ膝に乗せられた。
もちろん足はセインの膝に。
どうやら交代制だったらしい。
「獣人は魔族を嫌っていたりするんですか?」
「いや?言ったろ、魔族を見ること自体珍しいんだ。見ることもないものを嫌うことないだろ」
それはそうだ。
嫌われていないのならまだ可能性はあるだろう。
なんとかアズにも友達を作ってあげたい。
友達は必ずしも必要とは言えないが、やはり子どもは子ども同士で遊び、話すことも大事だとは思う。
どうしたものかと思っていると扉をノックする音と共にサッズが顔を出した。
「あー、その、もうすぐメシの時間なんだけどどうする?」
縁たちを見て少し頰を赤らめたサッズに不思議に思いながらも礼を言う。
「わざわざありがとうございます。準備ができたら行きますね」
話しこんでいる内に時間が経っていたらしい。
いつのまにか腰と足を撫で回していた手から逃れると、アズを起こしてやり食堂に向かうのだった。
まったく油断も隙もない。
朝早く目を覚ました縁は隣に寝転がる3人に微笑むとそっと部屋を出る。
薄暗い洞窟は肌寒かったが、まだ寝ぼけていた頭には心地よく徐々に冴えていく。
「おはようございます」
後ろからかけられた声に縁も返してやれば、相手も元々の細い目を更に細めて微笑んでくれる。
「サッズさんも随分早起きですね」
狐耳を生やした青年は縁の行動を読んでいたかのように、後ろをついてきていた。
「習慣になってんの。もう治らないんだよ………昨日はありがとう、ございました」
頭を下げてくるサッズになんのことだと首を傾げる。
「お頭を助けてくれて」
「いいえ。私は少しマッサージをしてあげただけです」
どうやら部屋の外で聴かれていたらしい。
「アンタにはそうかもしれないけど、それでも俺たちができないことをアンタはしてくれた」
少し話しをして、凝った身体を揉んでやった。
ただそれだけだ。
「……あんなふうに泣くお頭の声初めて聞いた。泣く姿なんて見たことないからビックリしたけど、よかったって思ってる」
「そうですか」
情けないと思われなかったようで一安心だ。
まぁそんなことないだろと思ってはいたが。
「だから、ありがとう。ただそれだけ言いたかったんだ」
照れたように笑って去っていく後ろ姿に笑みが溢れたのだった。
そのまま数分歩き回ってから部屋に戻ればアズ以外は起き上がっていた。
「ここは本当にすごいですね。私の力では自力で出入りできませんがこんな隠れ家憧れます」
「起きたらいないのは心臓に悪いからやめて」
アレンに右手を、セインに左手を取られるとベッドに引きづりこまれる。
「すいません。なんだかワクワクしちゃって。中を探検してきちゃいました」
ジークたちは好きに見て回っていいと言ってくれてはいたが、まだ人間を嫌っている獣人がいる中で歩き回るのは申し訳なく思っていた。
なので早朝目が覚めて、人が少ないのを知って探検していたのだ。
「それは分かるが、行くならちゃんと俺たちも連れて行ってくれ。縁を1人にするなんて不安でしかない」
なんと失礼な。
と思ったが、アレンもセインの言葉に頷いているようなので番ゆえの不安なのかもしれないと頷いておく。
「昨日はどうでした?アズは大丈夫でしたか?」
昨晩遅くまでジークの部屋にいたため、与えられた部屋に戻ってくるころには幼いアズは寝てしまっていた。
セインに後ろから抱っこされ胡座をかいた膝に乗せられながら、伸ばした足は正面に座るアレンの膝に乗せられていた。
どちらも縁を離したくないゆえの妥協案なのだろう。
アレンが少々妖しい動きをしているが、昨夜は遅くまで戻らない縁に心配させてしまったことを考え好きにさせておく。
「ダメだった。何人かあいさつしてくれたんだけどな、アズが怖がって動かなかった」
どうやら人見知りだったらしい。
「逆にアレンは大人気だったぞ。腕に足にとくっつかれては投げ飛ばしてたな」
投げ飛ばす?
「……私は獣人の子どもにさえ勝てる気がしません」
「そうだな。危ないからやめておけ」
獣人は子どもでさえ身体能力が高いらしい。
ろくに運動らしい運動をしていない縁には怪我をする未来しか見えなかった。
「アズみたいな子はいなかったんですか?」
アズ以外の魔族を見たことはなかったが、これだけいるなら1人ぐらいはと思っていたのだが。
「魔族がって意味ならいなかった。そもそも魔族がこちら側にやってくること自体珍しいんだ」
「こちら側?」
「俺たち人間が住む所だ。魔族は魔族たちだけが住む魔界と呼ばれる場所があるらしい」
獣人は人間と嫌でも生きていかなければいけないのに、魔族は魔界という場所があるというのは訳がわからなかった。
「そうなんですか。ではアズの同族探しは諦めて獣人内で友達でもできればいいんですが」
ここで詳しく聞こうとしないのは縁らしくもあったが、聞かないがゆえに縁はまた魔法の存在に気付くことがないのであった。
「縁といれば大丈夫かもな。おい、セイン交代しろ」
交代とはなんだろうと思っていれば、今度はアレンに抱きかかえられ膝に乗せられた。
もちろん足はセインの膝に。
どうやら交代制だったらしい。
「獣人は魔族を嫌っていたりするんですか?」
「いや?言ったろ、魔族を見ること自体珍しいんだ。見ることもないものを嫌うことないだろ」
それはそうだ。
嫌われていないのならまだ可能性はあるだろう。
なんとかアズにも友達を作ってあげたい。
友達は必ずしも必要とは言えないが、やはり子どもは子ども同士で遊び、話すことも大事だとは思う。
どうしたものかと思っていると扉をノックする音と共にサッズが顔を出した。
「あー、その、もうすぐメシの時間なんだけどどうする?」
縁たちを見て少し頰を赤らめたサッズに不思議に思いながらも礼を言う。
「わざわざありがとうございます。準備ができたら行きますね」
話しこんでいる内に時間が経っていたらしい。
いつのまにか腰と足を撫で回していた手から逃れると、アズを起こしてやり食堂に向かうのだった。
まったく油断も隙もない。
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