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仲直り
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アズの迷子事件から数日。
よっぽど怖かったのか、しばらく縁の側をついて離れないアズに提案したのだ。
「ほっとけーき?」
「そうです。パンを柔らかくして薄く焼いた感じですね」
「?」
見せた方が早いだろうと調理場へ向かえば、すでにみんなが待っていてくれた。
「休憩中にすみません。アズにどうしても食べさせてあげたくて」
「いいのいいの!気にしないで」
「そうそう。俺たちも食べさせてもらうから!」
「エニシくんの料理はいつもおいしいからね」
「私も興味ある!」
彼らには手伝いを頼んだのだが快く協力を申し出てくれた。
理由は言わずもがな縁の作る(提案する)料理を食べたい!という欲望に忠実な理由ではあったが。
「まずは生地を作りましょう。小麦粉と牛乳、卵を入れて混ぜ合わせます」
「「「「「はい!」」」」」
まるで敬礼でもしそうな勢いだ。
アズには最後の仕上げを頑張ってもらうため、縁と一緒に頑張るみんなを眺めているだがーー
「……あの、私こんなに量頼みましたっけ?」
明らかに縁が最初に頼んだ量より多い気がする。
「「「「「気のせい気のせい」」」」」
「………」
……気のせい、ということにしておこう。
深くは考えないところが縁の良さだった。
「出来上がったら半分はこちらに。残りは一枚ずつフライパンで焼いていきましょう。焼いたものはこちらのお皿にのせていって下さいね」
「「「「「はい!」」」」」
一々声を揃える必要はあるのだろうか?
「よし。ではアズの出番です」
「はい!」
彼らの影響を受けてしまったようだ。
まぁ可愛いからいいかと微笑むと、出来上がったばかりのホットケーキがのる皿を前に置いてやる。
「ここに小さ目にきった果物やジャムなどがあるので好きなものを好きなだけのせて下さい」
「いっぱい、いいの?」
「いいですよ。ただ1人ではなく、みんなでね」
「?」
そう言い調理場の戸を開ければ、今まで待っていたのだろう獣人の子どもたちがいた。
「この子たちもアズと一緒に作りたいんですって。アズが教えてあげてくれますか?」
「………」
俯くアズに縁は固まったまま動かない子どもたちの背を少し押してやる。
「……あの、この前は、その……ごめん!」
「え?」
「おれ、何にも知らなくて。エニシさんは男だけどお前には大事なママなんだって母ちゃんにめちゃくちゃ怒られたんだ」
「……」
「そりゃウチの母ちゃんとはちがうけど、母ちゃんよりきれいだし、お前のことも大好きだって言ってたって。それに、ときどき出るおいしいごはんもエニシさんが考えてくれたんだって教えてもらった。だから…だから、その……ごめんな。エニシさんは男だけどお前には大事なママで…それなのにおれ、へんだとかいって……本当にごめん!」
「おれもごめん!」
「わたしも!」
「わたしもごめんなさい!」
「おれも!」
「………」
アズが友達と喧嘩したというあの日。
その数日後に謝罪に来てくれた子どもたちに縁は怒ることなく、逆にありがとうと言った。
拒否するのではなく、縁を受け入れてくれた子どもたちに。
いくら親に言われたとは言え、それを受け入れるかどうかは結局はその子次第なのだ。
否定することもできた中で男である縁がアズのママであること、アレンたちの番であること、それを受け入れてくれたことに縁は感謝したのだ。
「……もういわない?」
「「「「「いわない!」」」」」
「なら、いいよ」
教えてあげると皿に向かう子どもたちに、縁は1人分ずつホットケーキがのった皿を用意してやる。
「では、アズがお手本を見せてくれるのでみんなでやってみましょうか」
「「「「「はい!」」」」」
「どんなのでもいいの?」
「えぇ好きにしてかまいません、が……そうですね、ではみんな大切な人のことを想って作ってみましょう。出来上がったらその人に贈って一緒に食べましょう」
こうして仲直りできたのだからと提案してみれば、子どもたちは嬉しそうに思い思いに飾りつけをするのであった。
「ママ、アズのたべてくれる?」
「もちろん。アズが作ってくれる楽しみにしてますね」
「うん!」
それから他の子どもたちとあーでもない、こーでもないと言いながら飾りつけるアズを横目に大人たちが待つ方へ。
「では、こちらは甘いのが苦手な人でも大丈夫なものを作りましょう」
「「「「「はい!」」」」」
本当にすごいな。
打ち合わせもなしにこれだけ合わせられるのは感心してしまう。
「こちらはさらに少し小麦粉を足したものを薄く伸ばしてフライパンに敷きます。その上にはみなさんの好きなものを。卵でも野菜でもお肉でも好きなものをのせてチーズをかけた後で生地に焼き目がつくまで焼いたら完成です」
「「「「「はい!」」」」」
もうその返事しかできなくなったとかじゃないですよね?
張り切って作り出すみんなにそんなこと言えるはずもなく、縁も静かに自分の分を作り出すのだった。
「こちらがレモンのジャムをのせたホットケーキで、こちらがお肉や野菜をのせて焼いたピザになります。いくつか作ってみましたので好きなものを食べてみて下さい」
結局、みんなで作っているうちに昼になってしまったので完成品を住民のみんなで食べることにしたのだ。
量はあったので。
「うまっ!」
「うまいな」
「お前はまた…」
アレンたちは素直に褒めてくれたが、ジークはまた変わったもん作ったなと言いたそうだった。
「美味しいでしょ?」
なら許してほしい。
「ママ、アズのもたべて」
「ありがとうございます。とても美味しそうですね」
色とりどりに飾られた果物に、アズお気に入りの木苺のジャムがたっぷりかかっていた。
縁のためにアズが一生懸命作ってくれたもので美味しくないわけがない。
他にもホットケーキを作った子どもたちが両親と一緒に嬉しそうに食べている。
「ジャムがいっぱいでとても美味しいです」
「えへへ」
とても可愛……美味しいですね。
友達とも仲直りでき、ママにも喜んでもらえたアズはご機嫌で初めてのホットケーキを頬張るのだった。
よっぽど怖かったのか、しばらく縁の側をついて離れないアズに提案したのだ。
「ほっとけーき?」
「そうです。パンを柔らかくして薄く焼いた感じですね」
「?」
見せた方が早いだろうと調理場へ向かえば、すでにみんなが待っていてくれた。
「休憩中にすみません。アズにどうしても食べさせてあげたくて」
「いいのいいの!気にしないで」
「そうそう。俺たちも食べさせてもらうから!」
「エニシくんの料理はいつもおいしいからね」
「私も興味ある!」
彼らには手伝いを頼んだのだが快く協力を申し出てくれた。
理由は言わずもがな縁の作る(提案する)料理を食べたい!という欲望に忠実な理由ではあったが。
「まずは生地を作りましょう。小麦粉と牛乳、卵を入れて混ぜ合わせます」
「「「「「はい!」」」」」
まるで敬礼でもしそうな勢いだ。
アズには最後の仕上げを頑張ってもらうため、縁と一緒に頑張るみんなを眺めているだがーー
「……あの、私こんなに量頼みましたっけ?」
明らかに縁が最初に頼んだ量より多い気がする。
「「「「「気のせい気のせい」」」」」
「………」
……気のせい、ということにしておこう。
深くは考えないところが縁の良さだった。
「出来上がったら半分はこちらに。残りは一枚ずつフライパンで焼いていきましょう。焼いたものはこちらのお皿にのせていって下さいね」
「「「「「はい!」」」」」
一々声を揃える必要はあるのだろうか?
「よし。ではアズの出番です」
「はい!」
彼らの影響を受けてしまったようだ。
まぁ可愛いからいいかと微笑むと、出来上がったばかりのホットケーキがのる皿を前に置いてやる。
「ここに小さ目にきった果物やジャムなどがあるので好きなものを好きなだけのせて下さい」
「いっぱい、いいの?」
「いいですよ。ただ1人ではなく、みんなでね」
「?」
そう言い調理場の戸を開ければ、今まで待っていたのだろう獣人の子どもたちがいた。
「この子たちもアズと一緒に作りたいんですって。アズが教えてあげてくれますか?」
「………」
俯くアズに縁は固まったまま動かない子どもたちの背を少し押してやる。
「……あの、この前は、その……ごめん!」
「え?」
「おれ、何にも知らなくて。エニシさんは男だけどお前には大事なママなんだって母ちゃんにめちゃくちゃ怒られたんだ」
「……」
「そりゃウチの母ちゃんとはちがうけど、母ちゃんよりきれいだし、お前のことも大好きだって言ってたって。それに、ときどき出るおいしいごはんもエニシさんが考えてくれたんだって教えてもらった。だから…だから、その……ごめんな。エニシさんは男だけどお前には大事なママで…それなのにおれ、へんだとかいって……本当にごめん!」
「おれもごめん!」
「わたしも!」
「わたしもごめんなさい!」
「おれも!」
「………」
アズが友達と喧嘩したというあの日。
その数日後に謝罪に来てくれた子どもたちに縁は怒ることなく、逆にありがとうと言った。
拒否するのではなく、縁を受け入れてくれた子どもたちに。
いくら親に言われたとは言え、それを受け入れるかどうかは結局はその子次第なのだ。
否定することもできた中で男である縁がアズのママであること、アレンたちの番であること、それを受け入れてくれたことに縁は感謝したのだ。
「……もういわない?」
「「「「「いわない!」」」」」
「なら、いいよ」
教えてあげると皿に向かう子どもたちに、縁は1人分ずつホットケーキがのった皿を用意してやる。
「では、アズがお手本を見せてくれるのでみんなでやってみましょうか」
「「「「「はい!」」」」」
「どんなのでもいいの?」
「えぇ好きにしてかまいません、が……そうですね、ではみんな大切な人のことを想って作ってみましょう。出来上がったらその人に贈って一緒に食べましょう」
こうして仲直りできたのだからと提案してみれば、子どもたちは嬉しそうに思い思いに飾りつけをするのであった。
「ママ、アズのたべてくれる?」
「もちろん。アズが作ってくれる楽しみにしてますね」
「うん!」
それから他の子どもたちとあーでもない、こーでもないと言いながら飾りつけるアズを横目に大人たちが待つ方へ。
「では、こちらは甘いのが苦手な人でも大丈夫なものを作りましょう」
「「「「「はい!」」」」」
本当にすごいな。
打ち合わせもなしにこれだけ合わせられるのは感心してしまう。
「こちらはさらに少し小麦粉を足したものを薄く伸ばしてフライパンに敷きます。その上にはみなさんの好きなものを。卵でも野菜でもお肉でも好きなものをのせてチーズをかけた後で生地に焼き目がつくまで焼いたら完成です」
「「「「「はい!」」」」」
もうその返事しかできなくなったとかじゃないですよね?
張り切って作り出すみんなにそんなこと言えるはずもなく、縁も静かに自分の分を作り出すのだった。
「こちらがレモンのジャムをのせたホットケーキで、こちらがお肉や野菜をのせて焼いたピザになります。いくつか作ってみましたので好きなものを食べてみて下さい」
結局、みんなで作っているうちに昼になってしまったので完成品を住民のみんなで食べることにしたのだ。
量はあったので。
「うまっ!」
「うまいな」
「お前はまた…」
アレンたちは素直に褒めてくれたが、ジークはまた変わったもん作ったなと言いたそうだった。
「美味しいでしょ?」
なら許してほしい。
「ママ、アズのもたべて」
「ありがとうございます。とても美味しそうですね」
色とりどりに飾られた果物に、アズお気に入りの木苺のジャムがたっぷりかかっていた。
縁のためにアズが一生懸命作ってくれたもので美味しくないわけがない。
他にもホットケーキを作った子どもたちが両親と一緒に嬉しそうに食べている。
「ジャムがいっぱいでとても美味しいです」
「えへへ」
とても可愛……美味しいですね。
友達とも仲直りでき、ママにも喜んでもらえたアズはご機嫌で初めてのホットケーキを頬張るのだった。
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