二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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偶には

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 その日はジークが休みだったため、偶にはと2人で外に出ていた。
 と言っても、親子で散々世話になったあのお婆さんに会いに行ったのだが。

 「こんにちは」

 「あら、嬉しいお客さんだわ。こんにちは。お子さんは元気かしら?」

 「はい。以前はお世話になりました」

 偶然とは言え、獣人でも奴隷でも気にしない彼女に見つけてもらえたのはよかった。

 「そのお礼と言ってはなんですが、贈り物を持ってきました」

 「あらあら、まぁまぁ。そんなこと気にしなくてよかったのに。でも嬉しいわ、ありがとう」

 彼女のすすめで家に上がらせてもらうと、椅子に座り鞄からシロップが入った瓶を取り出した。

 「まぁ綺麗な色ね」

 「シロップと言います。こちらがレモンで、こちらは木苺です。パンと食べても美味しいですし、暑い日なんかは水に溶かして飲んでもらえれば美味しいと思います」

 「初めて見たわ。ありがとう」

 嬉しそうに受け取る彼女は大切そうに瓶を受け取ると綺麗ねと笑い眺めていた。

 「あと、これを」

 来る途中、あの花畑で作った花冠と花束を取り出し渡す。

 「こちらはお部屋にでも飾って下さい。こちらの花冠はご主人のお墓にでも」

 「………」

 こうして年配の女性1人で暮らすにはそう遠くに足は運べないだろう。
 お墓に供える花を摘むことも難しいはずだ。
 こちらではお墓に花を供える習慣があるかは分からなかったが、なくてもそっと置いておくくらい許されるだろう。

 「………ありがとう。本当にありがとう」

 本当に嬉しそうに微笑む彼女に縁も良かったと微笑むと、早速飾るわという彼女についていく。

 「ねぇ、見て貴方。こんなに綺麗なお花を頂いたわ」

 家の裏に作られたお墓は簡素ではあったが、綺麗に手入れされており彼女が欠かさず世話をしているのが分かる。

 「貴方のためにエニシさんが作ってくれたんですって……とても、綺麗だわ。覚えてる?貴方もよくお花を摘んできてくれたでしょう?色々言ってたけど私のためだって知ってたわ。とても嬉しかった」

 きっと気恥ずかしかったのだろう。
 喜ぶ彼女にお前のためだと言えず、何かと言い訳して渡していたに違いない。

 「貴方がいないのはとても寂しいけれど、こんなに素敵な方と出会えたわ。この前は可愛いらしい子とも会えた。本当に、本当に私は幸せ者ね」

 泣き笑いながらも幸せだと微笑む彼女はとても綺麗だった。

 「エニシさん、獣人さん、本当にありがとう。こうして彼を思ってくれる人がいてくれてとても嬉しいわ」

 「喜んでいただけて良かったです。また偶にお花を持ってきてもいいですか?今度はうちの子と一緒に。あの子も花冠を作るのが上手なんですよ」

 「それは嬉しい!楽しみに待ってるわね」

 にこにこと微笑む彼女を残し家を後にすると、ジークと手を繋ぎ歩く。
 ジークはずっと無言だったが縁は気にすることなくついていけば、来る途中立ち寄った花畑に再び着いた。

 「「………」」

 促されるまま地面に座るジークの膝に乗せられる。
 ジークの広い胸に背を預けると、周りの花を摘み何とは無しに編んでいく。
 子どもの頃に母親に無理矢理に教えられた以来だったが、こちらに来てからというもの何度も作ったためもう手慣れたものだった。

 「なぁ」

 「はい?」

 手を止めることなく返事をすれば、ギュッと腰に回る腕に力が入る。

 「お前も、いつか俺が死んだらあんなに悲しんでくれるか?」

 「当たり前でしょう?」

 大事な番が死んで何故悲しまないでいられようか。

 「……そうか。そうか」

 嬉しそうにそう呟くジークに、縁は出来たばかりの花冠を被せると後ろを振り向く。

 「でも、そういう話しはあまり好きではないので出来れば長生きして下さい。私のために」

 「そうだな。お前の…縁のために少しでも長く生きてやるよ。お前は放っておくと心配で仕方ないからな」

 「そうですね。ジークがいないと私もポックリ逝くかもしれません」

 「バカヤロウ。そこは否定するところだろうが」


 笑いながら小突いてくるジークに縁も笑う。

 「でも私ですからねぇ。自分ではそう思わないですけどみなさん危ない危ないって」

 「実際危ないからな。はぁ……そうだな、お前を残して死ぬなんて不安でそう簡単に死んでられねぇわ」

 何もそこまで心配せずともいいのでは?と思ったが黙っておく。
 いらぬお説教を聞く必要はない。

 「ですね。諦めて頑張って長生きて下さい」

 他人事のようにそう答え再び花冠を作り出そうとする縁に、背後ではそんな縁を見てジークが笑っていることに気付かなかった。

 「なら、ご褒美でももらわねぇと割りに合わねぇな」

 「ーーえ?」

 それまで縁の腰に回っていた腕が動いたと思えば、右手がするりと縁のズボンの中に入ってきた。

 「ちょっ、まっ、まってジーク!」

 「んん~?」

 絶対に笑ってる!楽しんでいる! 
 抵抗しようとしたが、いつの間にか自由だった腕ごとジークの片腕で抑えられており動けない。

 「待って!待って下さい!」

 「なんで?」

 「外!ここ外です!」

 「だから?前にもここでしただろ?」

 それはそうだが!
 だからと言って一度したから次もいいだろとはならない!

 「み、見られるは、イヤです」

 「俺は気にしないが?」

 ぐっ!
 私は気にするんです!!
 真っ赤になりながらも睨むがそれすら笑って受け流されてしまう。
 絶対さっきの仕返しだ!

 「か、帰ってからにしーーひゃっ!ジ、ジーク!」

 クニクニと右手で揉まれれば反応してしまう下半身が恥ずかしい。

 「そうだなぁ。まぁ俺も縁のこんな色っぽい姿誰かに見られるはイヤだからな。なら一つ俺のお願いを聞いてほしいんだが?」

 「聞く!聞きますからっーーわっ!」

 突然ジークが立ち上がったかと思えば横抱きにされた。
 
 「じゃあ、さっさと帰るぞ」

 そのいい笑顔に縁は「やっぱり無理!」と言いそうになるのを必死に堪えるのだった。

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