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道づれ
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腹も満たされ捕まっていた家を後にすると、数時間ぶりの新鮮な空気が気持ちいい。
「そういえば3人とも首輪をしてませんけど大丈夫でしたか?」
セインはそのままであったが後からやってきたジーク、アレン、アズは着けていなかった。
もしかしたら捕まっていたかもしれないと心配すれば、そんなことかとアレンが笑っていた。
「城壁登ってきたから大丈夫だ」
は?
登ってきた?城壁を?
すぐ側に立ちはだかる壁を見上げれば、確かに数カ所ではあるが出っ張りはある。
だからといって登れるかと言われれば話しは別だが。
アレンたちに視線を向ける。
「……私にも…いつかできますかね?」
「「「「いや無理だろ」」」」
エルビスにまでツッコまれてしまえば縁も諦めがついた。
縁とそう変わらない体格のエルビスが言うならきっと無理なのだろう。
諦めてジークに抱えられ町を抜け出せば隠れ家までの道を歩こうし……離してもらえなかった。
「ジーク?」
「しばらくはこのままだ」
それだけ言うと縁とアズを抱えたまま歩き出す。
かなり心配させてしまったようだと大人しくしておくことにした。
もちろんエルビスは縄を解き自分で歩いている。
1人だけ楽をしているようで申し訳なかったが、代わる代わるアレンたちにも抱えられればホッとしているようだった。
「アンタたちはいいの?オレなんか連れて行って」
「何かしたら殺せばいいしな」
「お望みなら今からでもいいぞ」
「縁に何かしたら死ぬより酷い目にあわす」
怖い。怖すぎる。
というかジーク、死ぬより酷い目ってなんですか?
アズが怯えて……ないですね。
寝てました。
よかったよかった。
「まぁ、アズライトといられるならオレは何でもいいよ。その……アンタにも色々、悪かったと…思ってるし、オレに出来ることなら何でもするからさ」
素直に謝るエルビスに微笑むが、逆に仲間を倒してしまったことを縁が謝ればエルビスは笑って返してきた。
「アイツらはアズライトを探すためだけに雇ってたゴロツキだから別にいいよ。最近はもっと金寄越せってうるさかったし、元々裏の仕事しかできないような犯罪者のバカなヤツらだったから」
気にするなと言われれば縁もそれ以上は何も言わなかった。
「そういえば聞きそびれてましたが魔族は結局苦手なものがあったりするんですか?アズは結構何でも食べるので知らない内に食べさせてしまったら怖いんですが」
今のところ苦手なものも、拒否反応を示すものもないようだったが知ってるのならば教えてもらおうと思っていたのだ。
「食べ物に関してはないかな。まぁ、個人の好き嫌いはあるだろうけど。ちなみにオレはトマトがダメ」
何とも可愛いらしい。
縁はトマトが大好きだった。アズも。
ただ単に嫌いなだけなようなので何かされたらご飯に入れてあげようと思った縁だった。
「ならアズもその内分かりますかね。食べ物以外には何かあるんですか?」
「当たり前だけど聖水はダメ。あとは魔力がなくなっても死んじゃう」
「魔力……魔力ですか。その魔力ってどうやって使うんですか?」
「………え?」
「「「………」」」
エルビスは呆然とこちらを見て固まり、アレンたちに関してはもう慣れたのか溜め息をつくだけで何も言わなかった。
「マジで?だってアンタ……アズがママって…え?」
知っておくべき事例だったらしい。
ごめんねアズ。
特に今まで困ることがなかったため知らずとも暮らせていたのだ。
「あぁ、まぁ…だからか。アズがママって呼んでるの」
「はい?」
「知らないってことはアズライトが使ってなかったってことでしょ?でもアンタはそんなこと気にしないで育ててくれた。当たり前に普通のガキみたいに。そんなものなくてもいいって」
だからこそアズライトはアンタに懐いてママと呼んでいるんだと言われたが、縁からすればそんなこと?だった。
確かにアズが魔力があるのは知らなかったが、知っていたとしても縁はきっと今と同じように育てていただろう。
「アンタにはそんなことでもアズライトからすれば……いや、オレたち魔族からすれば魔法を使わない使えない魔族は役立たずの出来損ないでしかないんだよ」
それだけで役立たずとは魔族というのはどうにも気難しい種族らしい。
仲良くなれる気がしない。
どうやらアズの白くなった髪に魔力がなくなったと勘違いした母親がアズを捨てたらしい。
役立たずを産んだ母親にはなりたくなかったんだろうと吐き捨てるようにいうエルビスに縁もアズが可哀想でならなかった。
ギュッと抱きしめてやれば無意識に擦り寄ってくるアズが可愛いくて仕方ない。
「だから買ってくれたのがアンタでよかったよ。ずっと心配してたんだ。捨てたって言われて近くを捜してもいなくて、父上に言ってもそんなこと知らんって言われて。探しに家を出たけど全然情報もなくて。けどアンタのおかげで今のアズライトはすごく幸せそうだ」
ありがとうと言うエルビスの顔はとても家族想いのお兄ちゃんで、なんとかアズと仲直りしてほしいと思った。
今はまだ混乱しているアズもきっといつか分かってくれる。
まだ幼い頃に捨てられたためエルビスのことは覚えてないないようだったが、それでも兄弟として仲良くなってほしいと思う縁であった。
「そういえば3人とも首輪をしてませんけど大丈夫でしたか?」
セインはそのままであったが後からやってきたジーク、アレン、アズは着けていなかった。
もしかしたら捕まっていたかもしれないと心配すれば、そんなことかとアレンが笑っていた。
「城壁登ってきたから大丈夫だ」
は?
登ってきた?城壁を?
すぐ側に立ちはだかる壁を見上げれば、確かに数カ所ではあるが出っ張りはある。
だからといって登れるかと言われれば話しは別だが。
アレンたちに視線を向ける。
「……私にも…いつかできますかね?」
「「「「いや無理だろ」」」」
エルビスにまでツッコまれてしまえば縁も諦めがついた。
縁とそう変わらない体格のエルビスが言うならきっと無理なのだろう。
諦めてジークに抱えられ町を抜け出せば隠れ家までの道を歩こうし……離してもらえなかった。
「ジーク?」
「しばらくはこのままだ」
それだけ言うと縁とアズを抱えたまま歩き出す。
かなり心配させてしまったようだと大人しくしておくことにした。
もちろんエルビスは縄を解き自分で歩いている。
1人だけ楽をしているようで申し訳なかったが、代わる代わるアレンたちにも抱えられればホッとしているようだった。
「アンタたちはいいの?オレなんか連れて行って」
「何かしたら殺せばいいしな」
「お望みなら今からでもいいぞ」
「縁に何かしたら死ぬより酷い目にあわす」
怖い。怖すぎる。
というかジーク、死ぬより酷い目ってなんですか?
アズが怯えて……ないですね。
寝てました。
よかったよかった。
「まぁ、アズライトといられるならオレは何でもいいよ。その……アンタにも色々、悪かったと…思ってるし、オレに出来ることなら何でもするからさ」
素直に謝るエルビスに微笑むが、逆に仲間を倒してしまったことを縁が謝ればエルビスは笑って返してきた。
「アイツらはアズライトを探すためだけに雇ってたゴロツキだから別にいいよ。最近はもっと金寄越せってうるさかったし、元々裏の仕事しかできないような犯罪者のバカなヤツらだったから」
気にするなと言われれば縁もそれ以上は何も言わなかった。
「そういえば聞きそびれてましたが魔族は結局苦手なものがあったりするんですか?アズは結構何でも食べるので知らない内に食べさせてしまったら怖いんですが」
今のところ苦手なものも、拒否反応を示すものもないようだったが知ってるのならば教えてもらおうと思っていたのだ。
「食べ物に関してはないかな。まぁ、個人の好き嫌いはあるだろうけど。ちなみにオレはトマトがダメ」
何とも可愛いらしい。
縁はトマトが大好きだった。アズも。
ただ単に嫌いなだけなようなので何かされたらご飯に入れてあげようと思った縁だった。
「ならアズもその内分かりますかね。食べ物以外には何かあるんですか?」
「当たり前だけど聖水はダメ。あとは魔力がなくなっても死んじゃう」
「魔力……魔力ですか。その魔力ってどうやって使うんですか?」
「………え?」
「「「………」」」
エルビスは呆然とこちらを見て固まり、アレンたちに関してはもう慣れたのか溜め息をつくだけで何も言わなかった。
「マジで?だってアンタ……アズがママって…え?」
知っておくべき事例だったらしい。
ごめんねアズ。
特に今まで困ることがなかったため知らずとも暮らせていたのだ。
「あぁ、まぁ…だからか。アズがママって呼んでるの」
「はい?」
「知らないってことはアズライトが使ってなかったってことでしょ?でもアンタはそんなこと気にしないで育ててくれた。当たり前に普通のガキみたいに。そんなものなくてもいいって」
だからこそアズライトはアンタに懐いてママと呼んでいるんだと言われたが、縁からすればそんなこと?だった。
確かにアズが魔力があるのは知らなかったが、知っていたとしても縁はきっと今と同じように育てていただろう。
「アンタにはそんなことでもアズライトからすれば……いや、オレたち魔族からすれば魔法を使わない使えない魔族は役立たずの出来損ないでしかないんだよ」
それだけで役立たずとは魔族というのはどうにも気難しい種族らしい。
仲良くなれる気がしない。
どうやらアズの白くなった髪に魔力がなくなったと勘違いした母親がアズを捨てたらしい。
役立たずを産んだ母親にはなりたくなかったんだろうと吐き捨てるようにいうエルビスに縁もアズが可哀想でならなかった。
ギュッと抱きしめてやれば無意識に擦り寄ってくるアズが可愛いくて仕方ない。
「だから買ってくれたのがアンタでよかったよ。ずっと心配してたんだ。捨てたって言われて近くを捜してもいなくて、父上に言ってもそんなこと知らんって言われて。探しに家を出たけど全然情報もなくて。けどアンタのおかげで今のアズライトはすごく幸せそうだ」
ありがとうと言うエルビスの顔はとても家族想いのお兄ちゃんで、なんとかアズと仲直りしてほしいと思った。
今はまだ混乱しているアズもきっといつか分かってくれる。
まだ幼い頃に捨てられたためエルビスのことは覚えてないないようだったが、それでも兄弟として仲良くなってほしいと思う縁であった。
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