二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
103 / 475

ある日

しおりを挟む
 その日はエルとアズ、安全を考えセインを連れ森の端の方に来ていた。
 なるべく障害物の少ない、何かあっても被害が少なく済む開いた場所。

 「じゃあ教えていくけど……アズライトはともかくエニシは自分の魔力量と使える属性って分かる?」

 「魔力は♾、属性は全て使えると言われました」

 「「……は?」」

 「ママすごーい」

 あの2人に教えてもらった通り伝えたのだが、2人は呆けたようにこちらを見てくる。

 「は?なん、な……は?」

 混乱しているのか頭を抱えるエルに、セインも驚いたまま固まっている。
 確かに魔族の自分より数段やばいものを持っていた縁に混乱するのは分かる。
 というか、生物上あり得ない魔力単位とあり得ない全属性持ちなのだろう。
 その本人は自覚ないまま普通に暮らしていたが。

 「私も最近知ったので驚きましたが、だからと言って苦労も苦しい思いもしてないので気にしないことにしました。それよりもあるならば使えとアズたちのためにも使えるようになりたいです。持っていても使えなければ意味がないでしょう?」

 「それは、そう、だけど…でも…」

 「アズもママまもるもん」

 「ありがとうアズ。一緒に頑張りましょうね」 

 悩むエルに、しかしアズは純粋に喜び自分も頑張ると言ってくれる。
 そんな笑顔のアズにエルも諦めたのか、現実逃避したのか分からないが何度か頷くと漸く魔法を教えてくれることに。

 「と、言ってもオレが教えられるものって少ないんだけどね。まずアズライトは自分の使える属性を理解しなきゃいけない。自分の中の魔力を感じるんだ。目を閉じて全身に流れる魔力が何色か見て」

 言われた通り目を閉じ魔力を感じようとするアズだが、難しいのか眉間にシワが寄っている。

 「属性って普通はいくつ持てるものなんですか?」

 「人間なら多くて2つ、魔族であれば闇魔法とは別に多くて4つ全て持ってるやつもいる。けど、4つ持ちは操作が難しい上2つ持ちより威力が劣る」

 どうやら4つあるからいいと言うわけではなく、色々使える分扱いも難しいらしい。
 制御できなければ周りだけでなく、自分にも危険を及ぼすためそういった意味でも4つ持ちは難しいのだろう。

 「どうすれば魔力を感じられるんですか?」

 「う~ん、こればかりは感覚としか言いようがないんだよね。人間は魔力がなくても生きていけるけど、魔族だけを言えば生命活動にも少なからず魔力を使ってるから、それがなくなれば死ぬこともあるんだよ。だからこそ、自分の魔力を感じて操作できるようにならないと命に関わる」

 人間にとっての血液みたいなものなのだろう。
 目を閉じ身体中を流れる血のようなものを思い浮かべる。
 ドクドクと爪先から頭、手足を流れる温かい何かに触れた気がした。

 「もし、エルたちが魔力不足になった時に私から2人に魔力を渡すことはできますか?」

 「…できたはず、だけど」

 エルにしては鈍い返事にどうしたのか聞けば、そもそも魔族同士では魔力譲渡をすることがほとんどないらしい。
 ある意味で実力主義社会の魔族は弱い者(魔力が少ない者)は捨て置かれ、強い者(魔力が多い者)が上に立ち魔界を組織するようだ。
 プライドが高い魔族は他者に頼るのを良しとしないのだろう。

 「やり方があるなら教えてくれますか?2人が危ない時は私が助けたいです」

 魔力♾ならいくら渡そうかがなくなる心配はなく、アズたちを死なせないためにも知っておきたかった。
 せっかくできた家族に自分でも出来ることがあるならばやりたいと言えば、ふーんと素っ気ないエルだったが家族と言われて照れているのか耳が赤かった。

 「アンタがやりたいって言うならいいけど…ほら、手出して」

 「?、はい」

  ワンコよろしく差し出された手にお手とばかりに手を乗せれば、次の瞬間何か冷たいものが繋いだ手から流れてきた。

 「分かる?コレがオレのね。アンタもやってみて。全身に流れてる魔力を手の平に集中させて、オレの方に流し込む」

 「…集めて……流し込む」

 先程感じた温かいものを手に集め、エルに流す。
 ゆっくりと少しずつと、小川を流れる笹舟を思い浮かべながら繋いだ手を橋としてエルに舟を渡す。

 「うわっ、ちょ、なにコレ」

 戸惑うエルの声に閉じていた瞼を開けば、キョロキョロと視線を彷徨わせ少々頰を赤く染めたエルがいた。

 「間違ってましたか?」

 「いや、間違っては、間違ってはないんだけど、でも何か……あったかくて、くすぐったいっていうか……」

 「?」

 繋いだ手はとくに動かしてはおらず、無意識にくすぐっていたというわけではないようだ。
 ならば何故?と首を傾げれば隣でそれを見ていたセインが自分にも流して見てほしいと言う。
 魔力を持たない獣人でも大丈夫かエルに確認をとり、セインにも流してみれば納得とばかりに頷かれた。

 「俺には魔力というのは分からないが、それでも縁から温かい何かが、全身を包み込まれるような何かが分かる」

 温かい何か?
 そういえばエルから流れてきた魔力は冷たかった気がした。

 「普通魔力とは冷たいものなんですか?」

 「オレも今までそう、思ってたんだけど……アンタのはあったかいね」

 「痛いとかはないですか?ピリピリするとか、気持ち悪くなったりしてませんか?」

 エルも知らなかったようで、ならば身体に異変はないかと聞けば首を振られる。

 「ほんとにあったかいだけ。なんていうか、その……アンタがオレのこと、その、あー…大事なんだって想ってくれてるのが分かる、っていうか、そんな感じが伝わってくる」

 確かに大事な家族の1人であるエルが死なないようにと、お願いしながら流してはいたがそれまで伝わっていたらしい。

 「不快ではないなら良かったです。この感じなら何かあってもーーわっ、アズ?どうしました?」

 「アズもするの!」

 どうやら仲間外れにされたと思ってしまったようだ。
 

 

 
 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...