二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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 あれから帰宅した縁たちは、セインにアズを任せアレンと2人で部屋にいた。

 「本当にいいんですか?」

 「あぁ、その子はセインの子だが俺の子でもあるからな。そんなに心配すんな。少し動きが鈍くぐらいで死ぬわけじゃない」

 それは分かっている。
 分かっているから採ってきたわけで、だが発情が抑えられるかわりに副作用か身体が重く、動きが鈍くなるらしい。
 これが一番いい方法とは分かっていても辛い思いをさせることに申し訳なくなる。

 「そんな顔すんな。1人で発情期に耐えるより断然楽なんだ」

 「………そう、ですね」

 これから何度あるか分からないが、きっとまたこうしてアレンに我慢させる時がやってくる。

 「何か…私に出来ることがあったら言って下さい」

 「だから縁は何も悪くないんだって。それに結局はスルわけだから縁にだって負担がかかるだろ」

 あくまで今日採ってきた薬草は発情を抑えるだけであって、なくすわけではない。
 縁の負担を軽くするためにと言ってくれたアレンには感謝しかない。

 「ありがとうアレン」

 「縁のためならいくらでも。にしても、もうすぐ4ヵ月だろ?それでこれってことは人間だな。獣人ならもう動くのが辛いほど膨らんでるんだって」

 少しだが膨らみ始めてきたお腹にアレンが触れてくる。
 やはりかと思いつつ、何となく予想はしていたので驚きはしなかった。

 「5ヵ月から安定期に入るみたいなのでそれまでは気をつけないといけませんね」

 「だな。それ誰に聞いたの?」

 「ギルマスです。この前行った時に色々教えてくれたんです。私は忘れっぽいのでエルが必死にメモしてくれてました」

 ハハハと笑う縁にアレンは苦笑いしていた。
 ふんふんと話しを聞く縁にエルは不安になったのだろう。
 紙とペンを借りると一言も聞き漏らすまいと必死にペンを走らせていた。

 「あいつは縁の母親か?まぁ賢明な判断だが」

 「あ、ひどい。私だってママらしくーー」

 「この前エバンスを手伝おうとして重い箱を運ぼうとしたって?」

 「………」

 何故バレているのか。
 あからさまに目線を逸らす縁とは逆に、アレンはニコニコと笑顔だ。
 こわい。

 「サッズがさぁ、教えてくれてさぁ」

 「………そうなんですかぁ」

 引きつりそうになりながも笑い返してみたが、自分でもこれは無理だろうと言った瞬間分かった。
 にしても何て余計なことを!黙っててくれと頼んだのに。
 裏切り者のサッズを恨みつつ、何とか誤魔化せないかと試みる。

 「言うほど重たくなかったですよ。ただサッズさんがかなり心配しただーー」

 「へぇ~、箱いっぱいの鉱石が入ってたのに?軽々持つエバンスに対抗して持とうとしたらしいじゃん」

 サッズに責任をなすりつけようとしたが失敗。

 「箱と言っても小さい箱ですよ?片手で持てるくらーー」

 「そんな小さい箱なのにエバンスに負けたくなかった?ならもうアズを抱っこするのも考えないとなぁ」

 「ごめんなさい」

 素直に負けを認めた。
 癒しを奪われるのはとても辛い。
 いつもとは逆で、アレンに説教をされる縁は今回ばかりは自分が悪かったと反省するのであった。

 「頼むから今はやめて。赤ん坊も大事だけど、もし赤ん坊に何かあった時落ち込む縁を見たくない」

 アレンの言葉には驚いたが、全て自分のためを思って言ってくれていたのだと思えば誤魔化そうとした自分が恥ずかしくなった。
 俯く縁にアレンは顔を上げさせると、先程とは違う縁が大好きな笑顔で笑ってくれる。

 「セインにも縁にも悪いけど俺の一番は縁なんだよ。赤ん坊より縁に何かあったら俺は生きていけない」

 胸元に引き寄せられ、トクトクと聞こえるアレンの心音に安心する。
 初めて会った時は鬱陶しいと思っていたのに今や絶対に失くせない存在になっている。
 こんなにカッコいいのはズルい。

 「私もアレンが大事です。だからもっと気をつけますね。アレンが悲しむ姿を見たくありませんから」

 「そうして。俺のために」

 ごめんなさいとありがとうを込めてキスをすれば、すかさず頭を抑えられ濃厚なキスへと変わった。
 久しぶりの激しいキスに息が上がるが、アレンに止める様子はなく、むしろ激しくなっていくそれに縁も止めることができない。

 「ん、ふ、ん、ア、レン」

 角度を変え舐め回される口腔に身体が熱くなる。
 離れようとついた腕も片手で簡単に掴まれてしまい、抵抗できずされるがままだったが、さすがに腰に回っていた手が服の中に入ってきた時は慌てて暴れた。

 「ア、レン、アレン、だめ」

 「なんで?」

 「ん、アズたちが、帰ってきちゃいます!」

 お風呂に入ったセインたちがいつ戻ってきてもおかしくないのだ。
 これ以上はマズイと言うが、離れないアレンにどうしたものかと思っていればーー

 「いっ!痛って、な、なんだ?」

 「…スノー?まさかずっといたんですか?」

 「キュァー」

 いつの間に現れたのかスノーがアレンの足に噛み付いていた。
 まさか見られていたとは思わず恥ずかしかったが、スノーのおかげで気分を削がれたのかアレンがやっと離してくれた。

 「ありがとうございますスノー」

 「キューキュー」

 褒めてやれば嬉しそうに擦り寄ってくるスノーの頭を撫でてやるのであった。

 
 

 
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