二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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成長

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 「前から思ってたけどスノーかなり大きくなったね」

 「え?」

 ……そう言われてみれば?
 毎日一緒にいるせいか気付かなかった。
 エルに言われたことにより意識したが、言われてみれば最初の手の平サイズから、両手で抱えなければ持てないくらいには大きくなっている。

 「その内私より大きくなるんでしょうねぇ。子の成長とは早いものです」

 「ジジくさっ!」

 おじいちゃんですからねぇ。
 それにしてもこれでは今までのように服の中に隠れて、とはいけないだろう。

 「蛇の成長速度は分かりませんが大きくなれているなら問題ないですね」

 「え?ないの?」

 ……ない、だろう。きっとない。うん。
 
 「その内私の身長も追い抜いていくんでしょうね。ねぇ?」

 「なにその、仲間でしょ?みたいな顔」

 「仲間……ですよね?いや、そんな馬鹿な……まだ伸びてたり…します?」

 信じられないとエルを見ればあっさりと頷かれ衝撃のあまり膝を折った。

 「仲間だと思ってたのに!確かに初めて会った時より目線が上になってる!」

 ほとんど同じだった目線が、今は少し見上げなければいけなくなっていることに今気付いた。
 いや、気付いてはいたが現実を受け止められなかったという方が正しいかもしれない。

 「なんか…ごめん。そんなに落ち込むとは思わなかった」

 「謝られる方がよほどつらい!」

 「わがままだなぁ~」

 縁も決して低い方ではないのだが、周りのメンバーが高すぎるのだ。
 体格のいい獣人であるアレンたちだけならまだしも、仲間だと思っていたエルまで未だ成長中と言われもう絶望しかない。

 「そう言えば聞いてませんでしたけどエルって何歳なんですか?」

 「ほんと今さらだよね。12歳」

 「………ん?」

 聞き間違い、かな?
 12…え?未成年?
 男であるエルがサバ読むなんてことあるはずもなく、ならば現実か?と頰を抓れば痛いと怒られた。

 「なんでいきなり抓んの!現実だから!嘘なんてついてないから!」

 聞き間違いではなかったらしい。

 「まだ育ち盛りの伸び盛り!これからグングン伸びんだから!」

 何故この世界の住人は背が高い者ばかりなのか。
 ならば自分も高身長にしてくれればよかったのにと、この身体を造ってくれたあの可愛い少年2人を少し恨んだ。

 「ではアズもその内エルみたいに私を裏切って大きくなるんですか……」

 「さらっと裏切り者って言われた」

 「裏切られましたからね。そんな裏切り者のエルに頼みたいことがあるんですが」

 「頼むんだ。裏切り者に」

 「名誉挽回の機会ですよ。嬉しいでしょ?」

 もうツッコミを諦めたのか、ハイハイと頷くエルが気に食わなかったので脇腹を擽っておいた。
 変な声を上げて笑い転げていたのでちょっと気が晴れた縁であった。

 「まぁ頼みと言っても何をしてほしいというわけではなく、相談にのってほしいんです」

 「相談?」

 順調?にスノーも育っているようなので、これからのことを考えていかなければいけない。
 主に住処を。

 「とりあえず以前アレンたちが暮らしていた家?穴ぐら?に行ってみようかと思うんですが……それなりに時間が開いているので現状どうなっているか分かりません。なので住めるのか確認と、駄目ならば住めるように色々したいと考えているのでエルにも何か良い意見があれば教えてほしいんです」

 まだ当分は先ではあろうが、準備しておいて損はないだろう。
 スノーも少しずつではあるが外に慣らしていかなければいけない。
 
 「周りに危険がないかの確認、かつ生活できるように場所の確保が目標です」

 「スノーってどこまでデカくなんの?」

 「うーん、どうなんでしょう?お母さんはかなり大きな方だったのでスノーもそれぐらいかなとは思っているんですが……」
 
 「キュ?」

 なぁに?とばかりに頭を傾げるスノーに、可愛い可愛いと撫でてやれば孫に甘いジジイのようだとエルに笑われた。

 「……エルは帰りたいとは思いませんか?」

 何とは無しにそう聞いてみれば、先程までの笑いはどこへやら悲しそうな顔になる。

 「どこに?帰る場所なんかここ以外ないよ」

 「親御さん…はエルが嫌なら構いませんが、魔界とやらは魔族が住む場所なんでしょう?あぁ、そんな悲しそうな顔しないで下さい。ただ、エルたちにはここよりきっと住みやすい場所なんではないかと思っただけです」

 アズと一緒にいたいという理由もあるだろうが、幼いアズはともかくエルにはこの場所は辛くないかと心配になったのだ。

 「オレはアズライトがいればそれでいい。それにここの人たちみんな優しいし、楽しいし、あと、その…エニシもいるし……」

 「エルが嫌じゃないなら良かったです。いつも頼りきりで、なのにほとんど文句を言わないでしょ?何かしてあげたくとも何も言ってくれないので申し訳なく思ってたんです」

 「バ、バカじゃないの?そんな…オレ、別に何も出来てないし…ア、アンタがそんなこと思う必要ないし!オレはやりたいことしかやってないから!」

 照れているのか真っ赤になりながらも縁が気にすることはないと言ってくれる。
 彼が家族になってくれて本当に良かったと思った。

 「ありがとうございます。これからも頼りにしてます」
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