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疲れた
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嵐のような出来事だった。
「知ってる奴らだったのか?」
「お兄さんの方には以前町で会いました。繋がいたので後片付けは2人に任せて帰ったんですけど…」
かなり派手な片付け方をしたらしい。
それでも効果はあったようで、以前よりは好戦的ではなかったように感じた。兄は。
まさかあんな弟がいるものだとは思っておらず、面倒くさいのに目を付けられたなぁと思った。
「エルが言うには竜族じゃないかと。本人たちに聞いたわけではないのではっきりとは分かりませんが、確かに目は爬虫類ぽかったです」
「マジかよ。あれでか?」
ジークが言いたいのはきっと弟の方だろう。
縁も物語りの中の竜やドラゴンのイメージでしかないが、もっと誇り高い威厳がある生き物だと思っていた。
逆にあの兄弟はまだ若いのか態度が大きいかな?ぐらいで、威厳どころか怖さが全くと言っていいほどなかった。
特に弟は何というか……軽い。
体重などのことではなく、態度が軽いというか、いいかげんそうな性格に見えた。
しかも何を気に入ったのか縁をペットにしたいなどと言い出す始末。
そんなことでペットになる気もなければ、なりたいとも思わない。
「アズ?もう大丈夫ですよ」
「………」
離れないとばかりに腕の力が強く、無理に離すのも可哀想だろうとそのままにし背中を撫でてやった。
「キュ、キュァ!」
「スノーが繋を守ってくれてたんですね。ありがとう」
ジークは両手が塞がっていたためスノーがその体で繋に巻き付き守ってくれていたようで、2人に怪我がないようで安心した。
「2度と会わないことを願いますが、あの様子じゃ無理でしょうね。念のためエルたちにも伝えて隠れ家の周りを警戒してもらいましょう」
「だな。お前は1人で会おうとか思うんじゃねぇぞ」
「分かってます。あの弟さん厄介そうでしたしね」
「兄貴の方もだ。弟があれだからマシに見えたが、お前を探してたのにはかわりねぇからな」
何を知りたかったのかはよく分からなかったが、そんなことで面倒くさいこと巻き込まれたら溜まったものじゃない。
「そうですね。今日のことはみんなにも知らせて警戒してもらいましょう。アズ帰りますよ」
「………」
震えは治まったが、顔を上げる様子はない。
これは早く帰った方がいいだろうと急ぎ足で帰るのだった。
「縁!大丈夫か!?」
「ケガは!?」
「みんな無事!?」
あと少しで着くといったところで、エルに先に連絡しておいたためか3人が駆け寄ってきた。
無事なことを伝え中に入ると、先程起きたことを話し合う。
「この前見ただけでもうざかったのに、それよりヤバい弟がいんの?……死ねばいいのに」
こらこら、それは言い過ぎ……です、よ?
「縁をペットにするだと?殺すしかないな」
「元の姿に戻られたら面倒だぞ。その前にみんなで襲いかかれば……」
ブツブツと作戦を練るセインはさておき、今度の対策として見回りを強化しようということになった。
さすがにこれは縁たちだけの問題でもないためみんなにも話すと快く協力してくれることに。
「それで……アズライトは大丈夫?」
帰ってきてからもずっと縁から離れないアズに、エルも心配になったようだ。
「あちらの話からするに魔力が合わなかったというか、勢いにおされた?感じみたいですね。震えは治まったので大丈夫だとは思うんですが…」
縁はとくに何も感じなかっためはっきりとは分からないが、まだ幼いアズにはかなり衝撃的だったのだろう。
しかし話しも動きもしないアズに縁も心配になってくる。
「エル」
「ん?」
来い来いと手招きすると、縁に抱きつくアズの背中にエルに抱きつくよう指示する。
そのまま魔力を流すよう言うと、縁も少しずつアズに向かって魔力を流していく。
「アズ分かりますか?大丈夫、もうあの怖いのはいません。今アズに触れているのは私とエルだけです。ね?」
以前練習した時にエルと縁の魔力を感じているアズならきっと分かるだろう。
「大丈夫だよ。また来たらオレがぶっ飛ばしてやるからさ」
エルも元気づけようと明るく任せとけと言う。
「アズ…大丈夫大丈夫ですよ。もう怖いものはないです。だから顔を見せて。私の大好きなアズの顔を見せて下さい」
「…………ママ…ママ、ママ、ママ」
静かにゆっくりと語りかければ、漸く顔を上げ縁を見た。
安心させるように微笑んでやれば、堰を切ったように泣き出しエルも大丈夫だと頭を撫でてやっていた。
「ここにいますよ。怖い思いさせてごめんね。もう大丈夫ですよ」
「そう、ここならもう大丈夫だよ。みんないるから何があってもアズライトを守ってくれる」
ここには何も害するものはないと泣き続けるアズに言い聞かせれば、少しずつそれも治り泣き疲れたのかそのまま寝入ってしまった。
「アイツら今度会ったらブチのめす」
「それは頼もしいですね。私も協力します」
アズをこんなに怯えさせるとは!
その日はアズのためにエルも一緒に寝ることにすれば、初めてのアズとの添い寝にエルは照れながらもとても嬉しそうだった。
「知ってる奴らだったのか?」
「お兄さんの方には以前町で会いました。繋がいたので後片付けは2人に任せて帰ったんですけど…」
かなり派手な片付け方をしたらしい。
それでも効果はあったようで、以前よりは好戦的ではなかったように感じた。兄は。
まさかあんな弟がいるものだとは思っておらず、面倒くさいのに目を付けられたなぁと思った。
「エルが言うには竜族じゃないかと。本人たちに聞いたわけではないのではっきりとは分かりませんが、確かに目は爬虫類ぽかったです」
「マジかよ。あれでか?」
ジークが言いたいのはきっと弟の方だろう。
縁も物語りの中の竜やドラゴンのイメージでしかないが、もっと誇り高い威厳がある生き物だと思っていた。
逆にあの兄弟はまだ若いのか態度が大きいかな?ぐらいで、威厳どころか怖さが全くと言っていいほどなかった。
特に弟は何というか……軽い。
体重などのことではなく、態度が軽いというか、いいかげんそうな性格に見えた。
しかも何を気に入ったのか縁をペットにしたいなどと言い出す始末。
そんなことでペットになる気もなければ、なりたいとも思わない。
「アズ?もう大丈夫ですよ」
「………」
離れないとばかりに腕の力が強く、無理に離すのも可哀想だろうとそのままにし背中を撫でてやった。
「キュ、キュァ!」
「スノーが繋を守ってくれてたんですね。ありがとう」
ジークは両手が塞がっていたためスノーがその体で繋に巻き付き守ってくれていたようで、2人に怪我がないようで安心した。
「2度と会わないことを願いますが、あの様子じゃ無理でしょうね。念のためエルたちにも伝えて隠れ家の周りを警戒してもらいましょう」
「だな。お前は1人で会おうとか思うんじゃねぇぞ」
「分かってます。あの弟さん厄介そうでしたしね」
「兄貴の方もだ。弟があれだからマシに見えたが、お前を探してたのにはかわりねぇからな」
何を知りたかったのかはよく分からなかったが、そんなことで面倒くさいこと巻き込まれたら溜まったものじゃない。
「そうですね。今日のことはみんなにも知らせて警戒してもらいましょう。アズ帰りますよ」
「………」
震えは治まったが、顔を上げる様子はない。
これは早く帰った方がいいだろうと急ぎ足で帰るのだった。
「縁!大丈夫か!?」
「ケガは!?」
「みんな無事!?」
あと少しで着くといったところで、エルに先に連絡しておいたためか3人が駆け寄ってきた。
無事なことを伝え中に入ると、先程起きたことを話し合う。
「この前見ただけでもうざかったのに、それよりヤバい弟がいんの?……死ねばいいのに」
こらこら、それは言い過ぎ……です、よ?
「縁をペットにするだと?殺すしかないな」
「元の姿に戻られたら面倒だぞ。その前にみんなで襲いかかれば……」
ブツブツと作戦を練るセインはさておき、今度の対策として見回りを強化しようということになった。
さすがにこれは縁たちだけの問題でもないためみんなにも話すと快く協力してくれることに。
「それで……アズライトは大丈夫?」
帰ってきてからもずっと縁から離れないアズに、エルも心配になったようだ。
「あちらの話からするに魔力が合わなかったというか、勢いにおされた?感じみたいですね。震えは治まったので大丈夫だとは思うんですが…」
縁はとくに何も感じなかっためはっきりとは分からないが、まだ幼いアズにはかなり衝撃的だったのだろう。
しかし話しも動きもしないアズに縁も心配になってくる。
「エル」
「ん?」
来い来いと手招きすると、縁に抱きつくアズの背中にエルに抱きつくよう指示する。
そのまま魔力を流すよう言うと、縁も少しずつアズに向かって魔力を流していく。
「アズ分かりますか?大丈夫、もうあの怖いのはいません。今アズに触れているのは私とエルだけです。ね?」
以前練習した時にエルと縁の魔力を感じているアズならきっと分かるだろう。
「大丈夫だよ。また来たらオレがぶっ飛ばしてやるからさ」
エルも元気づけようと明るく任せとけと言う。
「アズ…大丈夫大丈夫ですよ。もう怖いものはないです。だから顔を見せて。私の大好きなアズの顔を見せて下さい」
「…………ママ…ママ、ママ、ママ」
静かにゆっくりと語りかければ、漸く顔を上げ縁を見た。
安心させるように微笑んでやれば、堰を切ったように泣き出しエルも大丈夫だと頭を撫でてやっていた。
「ここにいますよ。怖い思いさせてごめんね。もう大丈夫ですよ」
「そう、ここならもう大丈夫だよ。みんないるから何があってもアズライトを守ってくれる」
ここには何も害するものはないと泣き続けるアズに言い聞かせれば、少しずつそれも治り泣き疲れたのかそのまま寝入ってしまった。
「アイツら今度会ったらブチのめす」
「それは頼もしいですね。私も協力します」
アズをこんなに怯えさせるとは!
その日はアズのためにエルも一緒に寝ることにすれば、初めてのアズとの添い寝にエルは照れながらもとても嬉しそうだった。
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