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大家族
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「ドラゴンってご飯食べるんですか?」
「は?」
「ん?」
アズの水泳練習のためにと再び訪れた川で、ルーは縁に膝枕をされながら、アヴァロンもその隣で昼寝をしていた。
そわそわとこちらを見ながらもエルに習い練習するアズだが、本当はこの2人を縁から引き剝がしたくて仕方ないのだろう。
先日再び顔合わせしたルーたちだったが、以前の記憶が新しいアズは怯えて縁から中々離れなかった。
「アズ、大丈夫です。この2人はアズを傷つけたりしません」
「やっ、あっちいって!」
確実に嫌われてしまったらしく、アズは縁の胸元から顔を上げずどっか行けと叫んでいる。
アヴァロンは申し訳なさそうに謝り、ルーは嫌われていることにかなりショックを受けているようだ。
「大丈夫、大丈夫です。怖くないですよ。ルーとアヴァロン……ロンでもいいですか?えー、ルーとロンですが彼らも今日から私たちの家族です」
「「え……」」
あ、エルにも言ってませんでしたね。
驚き口を開ける2人の姿は兄弟だけあってとてもよく似ていた。
「エルにもまだ言ってませんでしたね。色々ありましたが、彼も私の番になりました。思うところは多々あると思いますが、仲良くしてあげてもらえると嬉しいです」
「「………」」
やはり縁が言ったからといって、そう簡単に割り切れる話しではないだろう。
元々懐いていたセインやジークとは違い、アズはルーたちを完全に敵とみなしていたのだから。
「この前アズを驚かせちゃったのはこの子も上手く魔力を使えてなかったからです。今は大丈夫でしょう?」
見上げてくる瞳に大丈夫だと笑ってやるが、ぶんぶんと首を振りイヤだと訴えてくる。
「まぁ無理に好きになる必要はありません。けど、この子たちも家族がいなくて寂しい想いをしてきたんです。だからと言うわけではありませんが、側にいることだけでも許してあげて下さい」
「……ママいないの?」
自分と同じく家族がいなかったと知り気になったようだ。
「そうだな、昔に亡くなられた。お前……アズには弟が迷惑をかけたがどうか側にいることだけでも許してやってほしい」
律儀に頭を下げて謝るロンだが、その隣でチラチラと黙って様子を窺っているだけのルーの頭を叩いてやった。
驚く周りに気にすることなく説教する。
「貴方のことをお願いしてくれているんですよ。言うことがあるでしょう?」
子どものようだと言っても実際親の背に隠れているような歳でもなければ、その親もいない。
代わりに兄に甘え隠れてきたのだろうが、縁の番になった以上それは許さない。
してくれたことへは感謝を、想いを伝えるためには言葉を。
「うん。あの……この前は、ごめんね。ごめんなさい……もうしないから許してくれる?」
「………」
どうしようとこちらを見てくるアズに微笑むと好きにしていいと言ってやる。
家族になったと言っても人の好き嫌いは誰にでもあるものだ。
縁が言ったからといって無理に仲良く、見せかけだけの家族になる必要はない。
ルーが縁の番であることは変わらないが、仲が悪いからと縁が2人を嫌いになることはないのだから。
「…………いいよ」
「ありがと!」
「ありがとうアズ」
一度嫌な思いをした相手を許すのは難しい。
事柄によっては一生許せないこともあるだろう。
だからこそ許せたアズはとても優しく強い。
「でもママあげないもん!」
「うん、ママはいいよ」
含みがあるのは気のせいではないだろう。
そんなこんなで完全にとは言えないが、比較的平和に最近は過ごしている。
で、ふとドラゴンは何を食べるんだろうという疑問が浮かんだのだ。
主な主食(?)は魔力らしいが、他にも食べられるのか聞いてみれば大丈夫だと言われた。
「なら今日は一緒に食べてみませんか?」
食べる必要がないからか、縁たちが食べていても興味がないらしく隣で寝てばかりいるルーたちに一緒に食べてみないかと誘ってみればとくに拒否されることなく頷かれた。
「うま~い!」
「美味いな」
今までが嘘かのようにモリモリ食べる2人の姿にみんなが驚いていたが、このままでは全て食べられてしまうと我に返った面々が慌てて自分の分を確保していた。
「うまいねぇ。いつもみんながうまそうに食べてるの見て不思議だったんだけどスッゴイうまい!」
「ママのごはんおいしいの!」
「ほんと、ほんと。スッゴイうまい!」
縁のご飯を褒められて嬉しかったのか、アズが興奮気味にルーに賛同している。
ルーも美味い美味いと頷き答えながらモリモリ食べている。
「そう焦って食べたら喉に詰まりますよ。ちゃんと噛んで、スープもありますから飲んで下さい」
今日はジークの希望により味噌汁だ。
作っていたことを完全に忘れていたのだが、今朝弁当を作っている時に偶々見つけた。
嗅ぎ慣れない匂いに首を傾げていたジークに味噌汁の話をすれば作ってほしいと頼まれたのだ。
おにぎりを気に入っていたジークは味噌汁もかなり気に入ったらしく何杯もおかわりしていた。
「このスープもうま~い」
「こんな美味いものが作れるとはすごいな」
こうして家族で食事をとれることに喜ぶ縁であった。
「は?」
「ん?」
アズの水泳練習のためにと再び訪れた川で、ルーは縁に膝枕をされながら、アヴァロンもその隣で昼寝をしていた。
そわそわとこちらを見ながらもエルに習い練習するアズだが、本当はこの2人を縁から引き剝がしたくて仕方ないのだろう。
先日再び顔合わせしたルーたちだったが、以前の記憶が新しいアズは怯えて縁から中々離れなかった。
「アズ、大丈夫です。この2人はアズを傷つけたりしません」
「やっ、あっちいって!」
確実に嫌われてしまったらしく、アズは縁の胸元から顔を上げずどっか行けと叫んでいる。
アヴァロンは申し訳なさそうに謝り、ルーは嫌われていることにかなりショックを受けているようだ。
「大丈夫、大丈夫です。怖くないですよ。ルーとアヴァロン……ロンでもいいですか?えー、ルーとロンですが彼らも今日から私たちの家族です」
「「え……」」
あ、エルにも言ってませんでしたね。
驚き口を開ける2人の姿は兄弟だけあってとてもよく似ていた。
「エルにもまだ言ってませんでしたね。色々ありましたが、彼も私の番になりました。思うところは多々あると思いますが、仲良くしてあげてもらえると嬉しいです」
「「………」」
やはり縁が言ったからといって、そう簡単に割り切れる話しではないだろう。
元々懐いていたセインやジークとは違い、アズはルーたちを完全に敵とみなしていたのだから。
「この前アズを驚かせちゃったのはこの子も上手く魔力を使えてなかったからです。今は大丈夫でしょう?」
見上げてくる瞳に大丈夫だと笑ってやるが、ぶんぶんと首を振りイヤだと訴えてくる。
「まぁ無理に好きになる必要はありません。けど、この子たちも家族がいなくて寂しい想いをしてきたんです。だからと言うわけではありませんが、側にいることだけでも許してあげて下さい」
「……ママいないの?」
自分と同じく家族がいなかったと知り気になったようだ。
「そうだな、昔に亡くなられた。お前……アズには弟が迷惑をかけたがどうか側にいることだけでも許してやってほしい」
律儀に頭を下げて謝るロンだが、その隣でチラチラと黙って様子を窺っているだけのルーの頭を叩いてやった。
驚く周りに気にすることなく説教する。
「貴方のことをお願いしてくれているんですよ。言うことがあるでしょう?」
子どものようだと言っても実際親の背に隠れているような歳でもなければ、その親もいない。
代わりに兄に甘え隠れてきたのだろうが、縁の番になった以上それは許さない。
してくれたことへは感謝を、想いを伝えるためには言葉を。
「うん。あの……この前は、ごめんね。ごめんなさい……もうしないから許してくれる?」
「………」
どうしようとこちらを見てくるアズに微笑むと好きにしていいと言ってやる。
家族になったと言っても人の好き嫌いは誰にでもあるものだ。
縁が言ったからといって無理に仲良く、見せかけだけの家族になる必要はない。
ルーが縁の番であることは変わらないが、仲が悪いからと縁が2人を嫌いになることはないのだから。
「…………いいよ」
「ありがと!」
「ありがとうアズ」
一度嫌な思いをした相手を許すのは難しい。
事柄によっては一生許せないこともあるだろう。
だからこそ許せたアズはとても優しく強い。
「でもママあげないもん!」
「うん、ママはいいよ」
含みがあるのは気のせいではないだろう。
そんなこんなで完全にとは言えないが、比較的平和に最近は過ごしている。
で、ふとドラゴンは何を食べるんだろうという疑問が浮かんだのだ。
主な主食(?)は魔力らしいが、他にも食べられるのか聞いてみれば大丈夫だと言われた。
「なら今日は一緒に食べてみませんか?」
食べる必要がないからか、縁たちが食べていても興味がないらしく隣で寝てばかりいるルーたちに一緒に食べてみないかと誘ってみればとくに拒否されることなく頷かれた。
「うま~い!」
「美味いな」
今までが嘘かのようにモリモリ食べる2人の姿にみんなが驚いていたが、このままでは全て食べられてしまうと我に返った面々が慌てて自分の分を確保していた。
「うまいねぇ。いつもみんながうまそうに食べてるの見て不思議だったんだけどスッゴイうまい!」
「ママのごはんおいしいの!」
「ほんと、ほんと。スッゴイうまい!」
縁のご飯を褒められて嬉しかったのか、アズが興奮気味にルーに賛同している。
ルーも美味い美味いと頷き答えながらモリモリ食べている。
「そう焦って食べたら喉に詰まりますよ。ちゃんと噛んで、スープもありますから飲んで下さい」
今日はジークの希望により味噌汁だ。
作っていたことを完全に忘れていたのだが、今朝弁当を作っている時に偶々見つけた。
嗅ぎ慣れない匂いに首を傾げていたジークに味噌汁の話をすれば作ってほしいと頼まれたのだ。
おにぎりを気に入っていたジークは味噌汁もかなり気に入ったらしく何杯もおかわりしていた。
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