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帰りたい
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「では無事解決したということで私は帰っても構いませんか?」
「「「「ダメでしょう」」」」
えー、帰りたい。
色々あったがちゃんと謝罪してもらったのでもういい。
というか、疲れたのでもう帰りたい。
「もういいじゃないですか(面倒くさいし)」
「ここまで来て帰るという君が信じられない」
「これ以上働かせてようとする宰相様が私は信じられない」
「………これは仕事ではないだろ」
ですね。でも、だからこそ面倒くさい。
「いいじゃないですか。こうして今、みんな仲良くお茶出来ているんですから」
「君は……先程までの凛々しさはどこへ行ったんだ?」
「お散歩に行ったのかもしれません」
「………呼び戻してきなさい」
「迷子になりました」
「探してきなさい」
「音信不通です」
「………」
完全にやる気が失せた縁は話し方もかなりおざなりになっていた。
それでも気分を悪くした様子もなく、渡したクッキーを美味しそうに頬張っているこの国の宰相様。
それでいいのか?
「ーーぷっ、ふ、ふふ、あははははっ、レ、レオナルドがこんなに誰かと楽しそうに話しているなんて私初めて見ましたわ」
「ふ、ふふ、確かに。いつもの真面目くさった堅苦しい喋り方とは違うな」
笑う兄妹に、マーガレットたちも笑いながら縁たちを見ている。
なんだなんだ?
「……レオナルドとは宰相様のお名前ですか?」
「そうだ」
「素敵なお名前ですね。私は縁と申します」
そういえば言ってなかったと今更ながらに名乗れば、あぁと気の無い返事をされた。
「これくらいで照れるとはお前さんもまだまだガキじゃのう」
「照れてない!」
「なら喜んどるのか。こうして話せる友もなかなかおらんからのぅ」
そういう貴方たちの方が仲良しなのでは?と思ったが、恥ずかしがり屋らしいレオナルドのため黙っておく。
言い合うレオナルドとアル爺にマーガレットたちは苦笑いしていることからきっといつものことなのだろう。
今の内に帰ってしまおうかとエルを見れば、縁が言いたいことが分かったのか頷かれる。
ならば帰ろうと腰を浮かせれば、隣から伸びてきた手に腕を掴まれた。
「か、帰るんですか?」
「ダメですか?」
「ダ、ダメではないですが……その、もう少し話しを…」
そう言われてしまえば帰りづらく、もう少しならいいかと座りなおせば、リックもホッとしたように息をつく。
「………私と随分態度が違うのではないか?」
「宰相様は意外に話しやすいんですよ」
常識ある大人だからだろうか?
肉体年齢で言えばリックたちと同じなのだろうが、中身が年寄りなだけに同年代と歳下はどうにも保護者的な目でしか見れない。
だからと言ってマーガレットたちと合うのかと言われれば、こちらの世界での経験値が違い過ぎて難しい。
その点、レオナルドはそれなりの年齢で常識があり話しやすい…のかもしれない。
「そんなこと初めて言われた」
「そうなんですか?まぁ、立場などがあるので難しいかもしれないですね。そういう意味では私はどうでもいいと思っているのでこうして話せているわけですが、不快なら申し訳ありません」
「構わない。私もこうして話せるのは…悪くない」
素直に嬉しいというのは恥ずかしいらしい。
「ならよかったです。ということで王様は放っておいてみなさんでお茶にしましょう」
「そんなこと言える君が私は恐ろしい」
「大物には会いたくないという小心者ですよ」
「本当の小心者はそもそもそんなこと言わないだろう」
「じゃあ偽者の小心者なんです」
「くっ、ふふ、なんだその偽者の小心者とは、ははっ」
声を出して笑うレオナルドに皆が驚いていたが、楽しいならばいいいだろうと縁もとくにつっこまなかった。
「宰相様ほどの度胸も勇気もない、小心者なんですよ」
「その私にそこまで言えるのだから十分大物だろ」
ないない。そんなことないでーすと首を振るがそれさえツボなのか笑われる。
「意地悪な宰相様にはもうクッキーは必要ないですね。王子たちと食べることにします」
「こらこら、除け者はいけないな。王子たちのためにも毒味として私が全ていただこう」
自分が食べたいだけだろう。
その証拠にニヤニヤと笑っている。
あれだけ食べていたのだから今更毒味もなにもないだろうに。
ふんと無視してやると、鞄から小さな包みを2つ取り出すと王子と王女に1つずつ手渡す。
「飴というものです。食べ物ですが、噛むのではなく口に含んで舐めて下さい。間違っても飲み込まないように」
縁は飴はきちんと舐める派だ。
友人には噛み砕く者もいたが、ならば飴ではなくガムでも食べろと言いたい。
「きちんと謝れた王女様にご褒美と、それを許せた王子にも。それぞれ味が違うので後でお互いにどんな味だったか教えてあげて下さいね」
仲直りと言えるかは分からないが、今はまだ話すきっかけが必要だろうと少しだが縁から贈り物だ。
嬉しそうに喜ぶリックと、恥ずかしそうにしながらも頷く王女に微笑んだ。
「私には?」
「残念。在庫切れです」
にっこりと笑顔で言ってやれば、残念そうだが仕方ないと肩を竦ませていた。
「「「「ダメでしょう」」」」
えー、帰りたい。
色々あったがちゃんと謝罪してもらったのでもういい。
というか、疲れたのでもう帰りたい。
「もういいじゃないですか(面倒くさいし)」
「ここまで来て帰るという君が信じられない」
「これ以上働かせてようとする宰相様が私は信じられない」
「………これは仕事ではないだろ」
ですね。でも、だからこそ面倒くさい。
「いいじゃないですか。こうして今、みんな仲良くお茶出来ているんですから」
「君は……先程までの凛々しさはどこへ行ったんだ?」
「お散歩に行ったのかもしれません」
「………呼び戻してきなさい」
「迷子になりました」
「探してきなさい」
「音信不通です」
「………」
完全にやる気が失せた縁は話し方もかなりおざなりになっていた。
それでも気分を悪くした様子もなく、渡したクッキーを美味しそうに頬張っているこの国の宰相様。
それでいいのか?
「ーーぷっ、ふ、ふふ、あははははっ、レ、レオナルドがこんなに誰かと楽しそうに話しているなんて私初めて見ましたわ」
「ふ、ふふ、確かに。いつもの真面目くさった堅苦しい喋り方とは違うな」
笑う兄妹に、マーガレットたちも笑いながら縁たちを見ている。
なんだなんだ?
「……レオナルドとは宰相様のお名前ですか?」
「そうだ」
「素敵なお名前ですね。私は縁と申します」
そういえば言ってなかったと今更ながらに名乗れば、あぁと気の無い返事をされた。
「これくらいで照れるとはお前さんもまだまだガキじゃのう」
「照れてない!」
「なら喜んどるのか。こうして話せる友もなかなかおらんからのぅ」
そういう貴方たちの方が仲良しなのでは?と思ったが、恥ずかしがり屋らしいレオナルドのため黙っておく。
言い合うレオナルドとアル爺にマーガレットたちは苦笑いしていることからきっといつものことなのだろう。
今の内に帰ってしまおうかとエルを見れば、縁が言いたいことが分かったのか頷かれる。
ならば帰ろうと腰を浮かせれば、隣から伸びてきた手に腕を掴まれた。
「か、帰るんですか?」
「ダメですか?」
「ダ、ダメではないですが……その、もう少し話しを…」
そう言われてしまえば帰りづらく、もう少しならいいかと座りなおせば、リックもホッとしたように息をつく。
「………私と随分態度が違うのではないか?」
「宰相様は意外に話しやすいんですよ」
常識ある大人だからだろうか?
肉体年齢で言えばリックたちと同じなのだろうが、中身が年寄りなだけに同年代と歳下はどうにも保護者的な目でしか見れない。
だからと言ってマーガレットたちと合うのかと言われれば、こちらの世界での経験値が違い過ぎて難しい。
その点、レオナルドはそれなりの年齢で常識があり話しやすい…のかもしれない。
「そんなこと初めて言われた」
「そうなんですか?まぁ、立場などがあるので難しいかもしれないですね。そういう意味では私はどうでもいいと思っているのでこうして話せているわけですが、不快なら申し訳ありません」
「構わない。私もこうして話せるのは…悪くない」
素直に嬉しいというのは恥ずかしいらしい。
「ならよかったです。ということで王様は放っておいてみなさんでお茶にしましょう」
「そんなこと言える君が私は恐ろしい」
「大物には会いたくないという小心者ですよ」
「本当の小心者はそもそもそんなこと言わないだろう」
「じゃあ偽者の小心者なんです」
「くっ、ふふ、なんだその偽者の小心者とは、ははっ」
声を出して笑うレオナルドに皆が驚いていたが、楽しいならばいいいだろうと縁もとくにつっこまなかった。
「宰相様ほどの度胸も勇気もない、小心者なんですよ」
「その私にそこまで言えるのだから十分大物だろ」
ないない。そんなことないでーすと首を振るがそれさえツボなのか笑われる。
「意地悪な宰相様にはもうクッキーは必要ないですね。王子たちと食べることにします」
「こらこら、除け者はいけないな。王子たちのためにも毒味として私が全ていただこう」
自分が食べたいだけだろう。
その証拠にニヤニヤと笑っている。
あれだけ食べていたのだから今更毒味もなにもないだろうに。
ふんと無視してやると、鞄から小さな包みを2つ取り出すと王子と王女に1つずつ手渡す。
「飴というものです。食べ物ですが、噛むのではなく口に含んで舐めて下さい。間違っても飲み込まないように」
縁は飴はきちんと舐める派だ。
友人には噛み砕く者もいたが、ならば飴ではなくガムでも食べろと言いたい。
「きちんと謝れた王女様にご褒美と、それを許せた王子にも。それぞれ味が違うので後でお互いにどんな味だったか教えてあげて下さいね」
仲直りと言えるかは分からないが、今はまだ話すきっかけが必要だろうと少しだが縁から贈り物だ。
嬉しそうに喜ぶリックと、恥ずかしそうにしながらも頷く王女に微笑んだ。
「私には?」
「残念。在庫切れです」
にっこりと笑顔で言ってやれば、残念そうだが仕方ないと肩を竦ませていた。
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