二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
186 / 475

お疲れ様でした

しおりを挟む
 色々、本当に色々あったが何とか帰ってくることができた。
 疲れた疲れたと部屋へ直行した縁に待ち受けていたのは我が子たちからの熱い抱擁強い体当たりであった。
 もちろんヘロヘロだった縁がそれを受け止めきれるわけもなく、呆気なく後ろにぶっ倒れた。
 痛い……

 「おかえりなさい!」

 「キュ、キュァ!」

 若さ故の勢いと力にただいまと口にした縁はそのまま意識を失うのであった。
 お休みなさい。

 「縁ー!死ぬなー!」

 死んでません。

 「アホか、死んでねぇ!」

 そうそう。

 「寝たら死ぬぞー!」

 それは凍死。それはない。

 「うそ!やだやだ死なないで!オレ置いてかないで!」

 ルーも何間に受けているんですか。
 そしてガクガク身体揺するのやめて下さい。
 頭が揺れて気持ち悪……ぐぇ。

 「バ、バカやめろ!縁の顔色が悪ーー」

 「やだー!死なないでー」

 今まさに貴方のせいで死にそうです。
 
 「やめろってんだろ!この、バカ野郎が!」

 そんなジークの声と共に身体の揺れが治り、何かがどこかにぶつかる音が2、3回…いや4、5回聞こえた。
 どうやらジークが力加減を間違えたらしい。
 慌てたようにルーを心配する声が聞こえた。

 「………うるさいです。寝てる時くらい静かにしてください」

 「「「「「縁!」」」」」
 「ママ!」
 「キュ、キュウ!」

 押し寄せた家族愛によって再び生死を彷徨ってしまうのだった。

 「ーーで?何でそうなった?」

 「話しの流れと少々イラっとしたのと、あとは意外にも意外な人と気があったからですかね」

 あっけらかんとそう答える縁に頭を抱えるジークたちであったが、ある意味それも縁らしいと思ったのかそれ以上の言葉はなかった。
 今日あったことをエルを道連れに話していたのだが、縁の暴走に関しては怒られたが国を出る云々には誰も何も言わなかった。

 「王子ガキはいいとして、その宰相ってのも信じていいのか?」

 「大丈夫です。彼は馬鹿を相手にするほど無駄なこともしなければ、捻くれてもいません」

 「あの宰相相手にそんなこと言えるのエニシだけだよ。帰りも驚いてたじゃん」

 話しも落ち着きさぁ帰ろうとなった時、足を怪我したという縁がスタコラと歩いていたのを見て皆が驚いていた。
 足はどうしたのだという宰相に魔法で治したと言えば、なら何故さっさと治さなかったと怒られたのだ。

 「罪悪感感じるかなぁと」

 「「「「「………」」」」」

 心配してくれたマーガレットたちには申し訳ないが、貴方達のせいで怪我しましたと訴えるためにもそのままにしていたのだ。
 
 「………そのためだけに痛みも我慢してーーいや、悪いのは私だな。救出が遅れて本当に申し訳なかった」

 自分がしたわけでもないのに律儀だなぁと思ったものだ。

 「貴方のせいではありませんよ。それにここまで運んでくれましたからね。はっきり言って楽でした」

 縁の我儘でそのままにしていたというにもかかわらず、宰相自ら抱き抱えて運んでくれ感謝したものだ。

 「君は……もう少し怒るということをした方がいい」

 これでも怒っているつもりなのだが。
 縁はどちらかというと本気で怒った時は静かに淡々としていたりする。
 ただ本気で怒るまでが長いだけで怒らないわけではないのだ。

 「そこまで言ってくれる宰相様に私はびっくりですけどね。友達になれてよかったです」

 「………そうか」

 ほら、やっぱり否定しない。
 彼は表にあまり出さないだけでとても素直だ。

 「それではこれから度々会うこともあるかと思いますがよろしくお願いします。教育係と言った手前これっきりというわけにはいきませんから」

 「そうだな。勝手に私が頼んだと言ってしまったからな」

 「さすが宰相様ですね。あれで納得してくれるとは思ってませんでした」

 それだけ彼がこの国にとって重要であり、なくてはならない存在だということだろう。
 すごいですねと褒めるように言えば顔を逸らされてしまった。

 「………今日のクッキーとやらに免じて許そう。今日からは君も王子の教育係だ。何かあれば私に言いなさい」

 「ありがとうございます。また一緒にお茶でもしましょうね」

 「君の手作りならば」

 まさかの餌付けに成功したらしい。
 そんなことでいいのかと苦笑いしたが、一応希望だけ聞いておくのだった。

 「……というわけで悪い人ではありませんよ。どちらかといえば味方です。仕事が出来る、甘い物好きの、恥ずかしがり屋ですね」

 「「「「「………そっか」」」」」

 こいつスゲェなぁと思われているとは知らない縁であった。
 とりあえず今までの週一回のリックとの約束は変わらず、ただ偶にはそれを城に報告にしに来いということで落ち着いたのだった。
 報告という名の宰相との茶飲み会ではあるが。

 「………お前はなんでそう厄介ごとに首を突っ込むかな」

 「あちらが勝手に近づいてくるんですよ。私だってのんびり過ごしたいんです」

 自分は悪くないと主張するが、全員にそんなことないと首を振られるのであった。


 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...