二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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目から鱗

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 「え、魔法使わないんですか?」

 週一の約束の日。
 城に報告に来ていたエニシと城内を見回っていた時だった。
 訓練する兵士たちに、魔法を使った練習はしないのかという質問に闘いで魔法は使わないというエリックの答えにかなり驚いていた。

 「使える方はいるんですよね?」

 「います。けどーー」

 「魔法なんぞ戦で役になんか立たねぇぞ」

 「マルズス隊長……」

 「……………熊?」

 エニシさん!それはっ!
 エニシの隊長への第一印象に吹き出しそうになるのを堪えるのが辛かった。
 確かにエニシの何倍あるだろう体躯と、身なりをあまり気にしないせいで伸びた無精髭と無造作に切り揃えられた短い髪のせいで鎧を着てなければ熊と間違えられるのもよく分かる。
いつの間にいたのか背後から現れた隊長はエニシをジロジロ見ながらすごく残念な者を見るような目でそう言ってきた。

 「役に立たない、ですか?」

 「呪文も長けりゃ、威力もさほどない。その上魔法使いって奴はひ弱過ぎてそんなもん守りながら戦えなんてバカらしいだろ」

 そう言う隊長に魔力は一切なく、そのせいかは分からないが常日頃どれだけ鍛えるんだというほど身体を鍛えている。
 エリックも時々剣の稽古に相手をしてもらうのだが、何故か稽古の大半が剣ではなく筋肉強化だったりする。
 
 「………ふむ。では貴方が私に負けることはないと?」

 「エ、エニシさん?」

 なんだか挑発するような言い方に聞こえる。

 「なんだ坊主。俺とやろうってのか?そんなヒョロヒョロの身体で」

 「これから大きくなるんです!」

 出来ればそのままでいてほしいとはエリックの願いだったりする。
 しかしーー

 「おお?なら一丁俺が鍛えてやるよ」

 何を勘違いしたのか大きくなるんだと言う子どものようなエニシに、おじちゃんが鍛えてやろうという隊長のいらぬお節介。
 鍛えるのが好きなのは構わないが、そこにエニシを巻き込むなと慌てて止めに入るが行くぞとばかりに引っ張られていく。

 「どうせならエリックも来い。2人でなら少しはもつだろ」

 ハンデだという隊長にさらにエニシが頰を膨らませている。
 可愛いが、怪我する可能性が大いにある訓練にエニシを巻き込むわけにはいかない。

 「エニシさん、あの、やめておいたほうが……」

 「大丈夫ですよ」

 「けど…」

 「なら私は後ろからエリックの補助をしましょう。訓練のせいか見せて下さいね」

 「はい!」

 未だ一度も隊長には勝てたことはないが、期待しているというエニシの言葉に頑張ろうと気合いを入れる。
 補助?が何か分からなかったが前に出ることは控えてくれるようでホッとした。

 「では行ってきます、エル」

 「気をつけてね。くれぐれも怪我しないように」

 「はーい」

 意外にもエルは止めることはなく、行ってらっしゃいとばかりに手を振っていた。
 この2人の関係性がよく分からない。

 「よーし、10分だ。10分以内に俺から1本取れれば坊主たちの勝ちだ。いいな?」

 いいなも何も了承した覚えは始めからないが。
 しかしここまで来て帰るわけにもいかず、エニシにも期待されているため全力で挑まなければいけない。
 訓練用の広場に着くと、観戦する兵士たちに囲まれながら位置につく。
 審判は騒ぎを聞きつけた副隊長直々にしてくれるようで、早く終わってくれとばかりに投げやりに了承してくれた。

 「無理だとは思いますが、王子様たちは隊長に膝をつかせれば勝ち。戦闘不能になれば負けです。この人はバカなので手加減というものを期待しないで下さい。では、始め!」

 隊長をバカ呼ばわり。しかも言われた本人は笑っている。
うちの国大丈夫かな?不安になった。

 「最近は少しはマシになってきたからな。よっしゃ、いっちょやってやーーーうおっ」

 バタンッ!!

 「「「「「……………?」」」」」

 突如倒れた隊長の姿に皆が首を傾げている。

 「あ?な、なんだいったーー」

 「これで一本です!」

 「あだっ」

 見れば先程まで後方にいたはずのエニシが目の前で倒れこむ隊長目がけて棒を振り下ろしていた。
 明らかに膝狙いの一撃は、未だ何が起こったのか混乱している隊長も避けることは出来ず見事に一本決まった。

 「「「「「「…………」」」」」」

 「審判?」

 「は?あ、あぁ、はい、そうですね。王子側の勝利です」

 皆が口を開けて混乱する中、唯一エニシだけがヤッター
と両手を上げて喜んでいる。

 「ちょ、ちょっと待て!お前何やりやがった?」

 「え?魔法で隊長さんの足を縛らせてもらいました。動けないでしょ?」

 顔面から見事転んだ隊長は確認するように足を見、驚き固まっていた。

 「人のことをヒョロヒョロなどとバカにするからです!」

 「「「「「(そこ!?)」」」」」

 その場の皆が心の中でつっこんだ。
 何か勝算があるのだとは思っていたが、まさかあの筋肉バ……筋肉大好き男を顔面から転ばせるなど思いもしていなかった。

 「と、いうのは半分冗談ですが……」

 「「「「「(半分は本気なんだ……)」」」」」

 「魔法も中々すごいでしょ?使える人は限られるかもしれませんが、役に立たないと決めつけるのは良くないと思います」

 結果、言いたいことはそこだったらしい。
 私の出番は!?
 
  

 

 

 
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