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どうもどうも
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えーと、ギルド職員Cです。
先日、とある冒険者組みが登録抹消されました。
バカの自業自得です。
元々他国で冒険者をしていたらしく、気分がてらこの国に来たらしい。
そんな中、普段通りギルドで依頼を受けようとしてエニシさんに会い、ギルマスと仲が良いという噂をどう勘違いしたのか裏で優遇してもらっているなどと思っていたらしい。
バカですね。バカ。
そもそも仲が良いという噂も純粋に、ギルマスたちが彼を気に入っているというだけで冒険者として何かしてあげたことは何もないのだ。
頻繁ではないが小まめに依頼をこなしているし、人柄も良くいつも来ると笑顔で挨拶してくれる。
荒くれ者の集まりであるはずの冒険者たちも、すごいですね、カッコイイですとキラキラした目で見られてしまえば冒険者舐めんななどとケンカを売れるはずもなく、嬉しそうに自分の武勇伝を語っていたりする。
礼儀正しいため女性冒険者たちにも気にいられており、あんな弟欲しいと先日誰かがボヤいていた。
確かに。
以前女らしさを出すにはどうしたらいいかという、なぜそれを男であるエニシさんに聞くんだという質問に……
「うーん、そうですね。今でも十分女性らしいとは思いますが、気になるようなら形から入ってみてはどうでしょう?」
と、なんで答えられんの?と心の中で思った。
「形から?」
「えー、例えば……これとかどうですか?」
そう言って鞄から取り出したそれは赤いリボン。
髪に触れていいかと確認をとると、スルスルと…それどうやってんの?とばかりにリボンを織り交ぜながら髪を三つ編みにしてました。
他の女性には後ろで高く結んであるのをこれまたどうやったんだとばかりに器用にお団子にし最後に可愛いらしくリボンを飾っていました。
「すっごーい。可愛い~」
「しかもこれなら冒険中でも邪魔になんないしいい!」
大喜びの女性たちにありがとうと礼を言われた上、すごい頭撫で回されてました。
私たち職員にも優しく、依頼を受ける時も終了後も挨拶を忘れず「ありがとうございます」「お願いします」「お疲れ様です」と笑顔で言ってくれる。
癒しです。
いくら仕事といえど私たちも人間なわけで、早くしろよと怒鳴る男たちより優しく可愛いらしいエニシさんがいい。
ギルマスたちに対しても実は血が繋がっているのではと思うほど可愛いがられ、お爺ちゃんお婆ちゃんと呼んでいるのを聞いた時は驚きのあまり椅子から転げ落ちた。
今はもう慣れましたけど。
しかも以前謎の暴走によりあのサブマスを叱っていたことにも驚いたが、手を繋いで謝罪しに来た時は「あれ?このお爺ちゃん誰だろう?」って思いました。
あの人ちゃんと謝れたんですね。
と、話しが逸れましたがそのバカな元冒険者たちはあろうことかエニシさんの子どもを狙ったらしく、それを聞いた時は「は?死ねば?」って思いました。
いえ、今も思ってます。
勝手に誤解してケンカ売った挙句、敵わないからと子どもに手をかけようとはどこまでバカ……いや、ゴミですね。ゴミ。あいつらゴミです。
そんなゴミ屑の手をエニシさんが折ったと聞いて、驚きましたが逆にそれだけでいいの?と思いました。
命を狙われた上、子どもまで危険な目にあったんですから殺されても文句ないよね?と。
「あの子は優しすぎるんだ。ケガをさせて後悔してないことに傷付いてた」
そう零したサブマスに、「え、じゃあ自業自得だから殺してもよかったんじゃない?とか思った私は極悪非道ですか?」と返したら、それが普通なんだと言われた。
「彼は……彼が前にいたところはきっととても平和なところだったんだろう。誰かを傷つけたら申し訳ないと、人を傷つけることはよくないことだと言われて育ったのかもしれない。それ自体は悪いことではないが、そう思って生きてきた彼には自己防衛とはいえ人を傷つけたのに申し訳ないと思わない方がおかしいと感じるんだろうね」
「でも冒険者なら売られたケンカは買うのが普通ですし、それでケガしても最悪死んでも自業自得じゃないですか」
「私たちには、そうだね」
私たちというのは冒険者であり、それに関わる自分たちもなのだろう。
ケンカ相手のケガを気にしていてはケンカなど出来るはずがない。
冒険者はある意味自由の象徴とも言えるが、逆に言えば全てが自業自得の自己責任なのだ。
「悪いと思わないことがおかしい……ですか」
「そこだけ聞けば確かにおかしいが先に手を出したのも、殺そうと襲ってきたのもアイツらなんだ。冒険者ならば一度剣を向けた相手には最悪殺されても文句は言えない」
私たちが当たり前だと思えることもエニシさんにはおかしいと思えるのかもしれない。
だがそれもエニシさんが優し過ぎるからだろう。
「そりゃ意味もなくケガさせたり殺すのは良くないですけど、エニシさんのことは正当防衛ですよね?気にする必要なんてないのに……」
ある意味気にしていないのだろうが、気にしていないことを気にしている。
もう自分でも何言ってんのか分からなくなってきた。
「まったく、ウチの孫になんてことさせるんだか。やはりあの時息の根を止めていれば……」
ボソボソとそう呟くサブマスに恐怖しかなかった。
だが気持ちも分かるので何も言い返すことはしないのであった。
では皆さん今日もお疲れ様でした!
先日、とある冒険者組みが登録抹消されました。
バカの自業自得です。
元々他国で冒険者をしていたらしく、気分がてらこの国に来たらしい。
そんな中、普段通りギルドで依頼を受けようとしてエニシさんに会い、ギルマスと仲が良いという噂をどう勘違いしたのか裏で優遇してもらっているなどと思っていたらしい。
バカですね。バカ。
そもそも仲が良いという噂も純粋に、ギルマスたちが彼を気に入っているというだけで冒険者として何かしてあげたことは何もないのだ。
頻繁ではないが小まめに依頼をこなしているし、人柄も良くいつも来ると笑顔で挨拶してくれる。
荒くれ者の集まりであるはずの冒険者たちも、すごいですね、カッコイイですとキラキラした目で見られてしまえば冒険者舐めんななどとケンカを売れるはずもなく、嬉しそうに自分の武勇伝を語っていたりする。
礼儀正しいため女性冒険者たちにも気にいられており、あんな弟欲しいと先日誰かがボヤいていた。
確かに。
以前女らしさを出すにはどうしたらいいかという、なぜそれを男であるエニシさんに聞くんだという質問に……
「うーん、そうですね。今でも十分女性らしいとは思いますが、気になるようなら形から入ってみてはどうでしょう?」
と、なんで答えられんの?と心の中で思った。
「形から?」
「えー、例えば……これとかどうですか?」
そう言って鞄から取り出したそれは赤いリボン。
髪に触れていいかと確認をとると、スルスルと…それどうやってんの?とばかりにリボンを織り交ぜながら髪を三つ編みにしてました。
他の女性には後ろで高く結んであるのをこれまたどうやったんだとばかりに器用にお団子にし最後に可愛いらしくリボンを飾っていました。
「すっごーい。可愛い~」
「しかもこれなら冒険中でも邪魔になんないしいい!」
大喜びの女性たちにありがとうと礼を言われた上、すごい頭撫で回されてました。
私たち職員にも優しく、依頼を受ける時も終了後も挨拶を忘れず「ありがとうございます」「お願いします」「お疲れ様です」と笑顔で言ってくれる。
癒しです。
いくら仕事といえど私たちも人間なわけで、早くしろよと怒鳴る男たちより優しく可愛いらしいエニシさんがいい。
ギルマスたちに対しても実は血が繋がっているのではと思うほど可愛いがられ、お爺ちゃんお婆ちゃんと呼んでいるのを聞いた時は驚きのあまり椅子から転げ落ちた。
今はもう慣れましたけど。
しかも以前謎の暴走によりあのサブマスを叱っていたことにも驚いたが、手を繋いで謝罪しに来た時は「あれ?このお爺ちゃん誰だろう?」って思いました。
あの人ちゃんと謝れたんですね。
と、話しが逸れましたがそのバカな元冒険者たちはあろうことかエニシさんの子どもを狙ったらしく、それを聞いた時は「は?死ねば?」って思いました。
いえ、今も思ってます。
勝手に誤解してケンカ売った挙句、敵わないからと子どもに手をかけようとはどこまでバカ……いや、ゴミですね。ゴミ。あいつらゴミです。
そんなゴミ屑の手をエニシさんが折ったと聞いて、驚きましたが逆にそれだけでいいの?と思いました。
命を狙われた上、子どもまで危険な目にあったんですから殺されても文句ないよね?と。
「あの子は優しすぎるんだ。ケガをさせて後悔してないことに傷付いてた」
そう零したサブマスに、「え、じゃあ自業自得だから殺してもよかったんじゃない?とか思った私は極悪非道ですか?」と返したら、それが普通なんだと言われた。
「彼は……彼が前にいたところはきっととても平和なところだったんだろう。誰かを傷つけたら申し訳ないと、人を傷つけることはよくないことだと言われて育ったのかもしれない。それ自体は悪いことではないが、そう思って生きてきた彼には自己防衛とはいえ人を傷つけたのに申し訳ないと思わない方がおかしいと感じるんだろうね」
「でも冒険者なら売られたケンカは買うのが普通ですし、それでケガしても最悪死んでも自業自得じゃないですか」
「私たちには、そうだね」
私たちというのは冒険者であり、それに関わる自分たちもなのだろう。
ケンカ相手のケガを気にしていてはケンカなど出来るはずがない。
冒険者はある意味自由の象徴とも言えるが、逆に言えば全てが自業自得の自己責任なのだ。
「悪いと思わないことがおかしい……ですか」
「そこだけ聞けば確かにおかしいが先に手を出したのも、殺そうと襲ってきたのもアイツらなんだ。冒険者ならば一度剣を向けた相手には最悪殺されても文句は言えない」
私たちが当たり前だと思えることもエニシさんにはおかしいと思えるのかもしれない。
だがそれもエニシさんが優し過ぎるからだろう。
「そりゃ意味もなくケガさせたり殺すのは良くないですけど、エニシさんのことは正当防衛ですよね?気にする必要なんてないのに……」
ある意味気にしていないのだろうが、気にしていないことを気にしている。
もう自分でも何言ってんのか分からなくなってきた。
「まったく、ウチの孫になんてことさせるんだか。やはりあの時息の根を止めていれば……」
ボソボソとそう呟くサブマスに恐怖しかなかった。
だが気持ちも分かるので何も言い返すことはしないのであった。
では皆さん今日もお疲れ様でした!
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