二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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もうやだ

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 「お断りします」

 「はぁ?せっかくオレたちがいれてやるつってんだぞ」

 何様だろうか?
 マーガレットたちと約束した通りギルドへ向かっていた縁たちだが、町に入った途端男たちに絡まれ目の前に立ち塞がられている。
 どこで聞いたのか魔法が使える縁とエルに仲間になれと意味不明な命令をしてきた。

 「意味が分かりません。私は仲間を探していなければ、入れてくれと誰かに頼んだこともありません。なので入れてやると言われたところで貴方たちの仲間に入りたいとも思いませんし、私は貴方が生理的に受け付けません」

 冒険者なのか、野党なのか、町のチンピラなのか知らないが、態度が悪ければ性格もかなり悪そうだ。
 いつから風呂に入ってないのか漂ってくる匂いに近づきたくもない。
 もうギルドが目の前だというのに男たちが邪魔で入れない。

 「おまっ、ふざけんな!受け付けねぇなんてずいぶん舐めた口叩くじゃねぇか」

 舐めるというか事実しか言ってないのだが。
 道行く人々も男たちのうるささと臭さに鼻をつまんでいる者もいる。
 自覚がないのだろうか?
 寝不足でイライラする頭を必死に動かす。 
 
 「ふざけているのは貴方たちでしょう?人が丁寧に断っているのに仲間に入れとしつこく言ってくる。何ですか、貴方たちは人の話しが聞けないんですか?それともその耳は飾りなんですか?」

 男たちが怒鳴れば怒鳴るほど縁のイライラが溜まっていき、口調も若干崩れ始めている。
 いつもならもっと冷静に返せただろうが、今はそれも難しい。
 後ろではエルたちが今にも飛び出して行きそうなのを何とか抑えてはいるが、もうどうにでもなれという気持ちになってくる。

 「てんめぇ!人をバカにすんのもいい加減にしろよ。お前らはオレたちの言うことを聞いてればーー」

 「どうなるってんだい?」

 「あ?」

 声がした方に皆が目を向ければ、腕を組んで仁王立ちするマーガレットの姿があった。
 その後ろにはジンもおり、おいでおいでと手招きされるまま男たちの横をすり抜けギルドに入る。
 気づいた男の1人が手を伸ばしてきていたが、マーガレットによりはたき落とされていた。

 「遅いから心配してたんだよ。気づくのが遅れてごめんね」

 「いえ、助けてもらってありがとうございました。もう面倒なので帰ろうと思ってたんで」

 「それは本当に良かった!あんな奴らのせいで会えないままになるところだった」

 後は任せておけと言うジンたちに申し訳ないがお願いすることにし、縁たちは部屋で寛がせてもらった。

 「もう大丈夫だよ。話し合いをして快く帰ってもらったからね。ここには姿は現さないよ」

 あ、胡散臭い笑顔だ。
 
 「ありがとうございました。えーと……繋です。どうぞ」

 詳しく聞くのはまずからろうと、若干態とらしくはあったが話しを逸らし抱えていた繋をマーガレットに渡した。
 あーあー言いながらも嫌がるそぶりはやはりないので大丈夫だろう。

 「少し見ない間に大きくなったねぇ」

 「あー、んーま、まー」

 何を言っているかは分からないが、マーガレットの指を掴んでは楽しそうに遊んでいるのでよしとしよう。

 「繋ちゃん、じーじだよ。じーじ、言ってごらん?」

 それはまだ早い気がするが、期待するような眼差しに何も言えなかった。

 「まーあー、いーいー」

 おしい。いや、おしくはないか。

 「可愛い!そう、じーじだよ。じーじ」

 それでいいんだ……
 
 「私はばーばだよ。ばーば」

 「あーあー」

 笑顔で頷く2人に幸せそうでなにより。

 「大丈夫そうですね。それにしても本当に良かったんですか?お仕事忙しいんじゃ…」

 「大体は昨日の内に終わらせておいたから大丈夫さ。アンタは気にせず休みな。目の下にクマが出来てんじゃないか。隣の部屋に必要な物は揃えておいたから、何か他にもいるものがあればコイツに言いな。すぐ買って来るだろうから」

 いやいや、そんな下っ端の小間使いみたいなこと言えない。
 たとえ言われた本人が嬉しそうに頷いていようとも。

 「いえ大丈夫です。必要な物は持って来ているので。むしろこの子たちが何かしでかしたら言って下さい」

 これまで特に何かしたことはないが、慣れない場所で粗相するかもしれない。
 
 「では来て早々申し訳ないですが少し休ませてもらいますね。エル、ルーお願いします」

 「りょうかーい」
 「大丈夫、オレがコイツを見張っておくから」

 ルーはどれだけ信用がないのか。
 心配ではあるがエルがいるならば大丈夫だろうと隣室に行くと倒れるように眠りについたのだった。
 あまりの眠さに周りを見ていなかった縁だが、実は部屋の隅にあった椅子には1人腰掛ける人物の姿が。

 「え、えぇ、ど、ど、どうしよう?」

 オロオロしながらそう呟く声は夢の中にいる縁には聞こえていないのだった。
 


 

 



 
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