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戸惑い
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ここで待っているよう言われ落ち着かないながらも、もうすぐ会えるとそわそわと待ち続けていた。
ずっと心配だったのだ。
最近なかなか顔を合わすことが出来ず、何かあったのではとランも心配していたのだが、赤ちゃんが出来たと確認と報告がてら来ていたサブマスに言われ固まった。
「え?で、で、でも、この前繋ちゃん産んだばっかり…」
「今回は獣人の子らしいよ。まぁ状況が状況だから私もよくは分からないけれど。でもきっと可愛いんだろうね」
繋を連れて来た時もそうだったが、とても楽しそうにそう言うサブマスにふと疑問がわいた。
「あの……その、サ、サブマスは、獣人が嫌い、ではないんですか?」
あまり外に出ることがないランだが、それでもこの国で獣人たちが冷遇されているのは知っていた。
人とも思えぬ扱いを受けながらも逆らうことを許されず、首輪があるため逃げることも叶わない。
数度町で主人であろう女が獣人の子どもを殴り蹴る姿を見たことはあったが、怖くて何も言えず走って逃げた。
エニシとの出会いにより彼の番であるという獣人と接する機会があったが、話してみれば自分たちとは少し違う耳があるだけで他には何ら変わりがないのだと思ったものだ。
「嫌ってなんかいないよ。うちのギルドにも彼らのような獣人の子が何人か働いてくれているからね。ただまぁ…彼のように考えてはいなかったかな」
「?」
「エニシくんにとって私たち人間も彼の家族である獣人たちも同じ人なんだよ。小さな違いはあるだろうが同じ人で、同じ命で、同じ大切な家族なんだと彼は言っていたそうだよ」
同じ…人。同じ……命。
「そう考えることが出来た彼に驚いたよ。私たちも確かに獣人たちに対する国の考えに多少疑問はあったが、それを誰かに言うことも行動に起こすこともなかった。獣人だからそんな言葉で納得していたんだ」
獣人だから奴隷で当たり前。
獣人だから何をしても問題ない。
獣人だから殺しても構わない。
「人間ならば許されない行為でも、獣人相手ならば何をしても、最悪殺してもいいなんておかしくないかい?生きているだけで罪だなんて、半分同じ人間の血が彼らにも流れているのに」
「………」
エニシにとって獣人だからは、彼らを差別する理由にならない。
中には罪を犯している者もいるだろうが、殆どが罪のない生まれながらに奴隷にされた者たちばかりだ。
「彼はそれを言葉にした上で、ちゃんと行動で彼らに示した。だからこそ彼は今も幸せそうに笑って、その結果の子どもなんだよ」
エニシが今も笑って過ごせているのはエニシ自身が頑張ったことへの結果。
言われてみれば彼はいつも笑っていた。
繋に会わせてもらった時も本当に嬉しそうで、見ているだけで幸せなのが分かった。
「子ども、あの、楽しみですね」
「ああ。繋ちゃんも可愛いかったからね。きっと獣人の子も可愛いに決まっているよ」
いつまでも昔を引きずっている自分が恥ずかしかった。
両親を失い、周りに裏切られはしたがエニシに出会い、ガンズと酒造りを出来るようになり、友人と一緒に美味しいご飯が食べられる。
エニシはランにたくさんのものを与えてくれたのに、自分は何一つ彼にそれを返せていない。
今でも人と接するのはやはり怖い。
だがエニシが与えてくれたものに少しでも報いたく、久しぶりに外へ出ると誘ってくれたサブマスであるジンの元へ足早に向かうのだった。
「エ、エニシくん?」
スヤスヤと眠る横顔に声をかけてみるが反応はなく、眠れていないのだろう目元にはクマが出来ていた。
だが久しぶりに会えた喜びに、エニシには申し訳ないがそっとその横顔を見つめる。
「久しぶり、だね。あの、僕頑張ってるよ。エニシくんが少しでも喜んでくれるようにって。ま、毎日楽しいんだ。大好きなお酒造りが出来て、叔父さんも手伝ってくれて。ありがとう……ありがとうエニシくん」
本当は起きている時に言いたかったが、寝ているところを態々起こすのも忍びない。
小声ながらも感謝を伝えていれば、ふと瞳を開いたエニシの手が持ち上がりサラサラとランの頭を撫でた。
「よく、頑張りました」
起きていたのか分からない。
寝ぼけていたのかもしれないが、微笑みながら優しく触れる手が嬉しかった。
今日来れて良かった。
誘ってくれたサブマスに感謝しつつ、眠るエニシの邪魔にならないようランはソッと部屋を後にするのであった。
ずっと心配だったのだ。
最近なかなか顔を合わすことが出来ず、何かあったのではとランも心配していたのだが、赤ちゃんが出来たと確認と報告がてら来ていたサブマスに言われ固まった。
「え?で、で、でも、この前繋ちゃん産んだばっかり…」
「今回は獣人の子らしいよ。まぁ状況が状況だから私もよくは分からないけれど。でもきっと可愛いんだろうね」
繋を連れて来た時もそうだったが、とても楽しそうにそう言うサブマスにふと疑問がわいた。
「あの……その、サ、サブマスは、獣人が嫌い、ではないんですか?」
あまり外に出ることがないランだが、それでもこの国で獣人たちが冷遇されているのは知っていた。
人とも思えぬ扱いを受けながらも逆らうことを許されず、首輪があるため逃げることも叶わない。
数度町で主人であろう女が獣人の子どもを殴り蹴る姿を見たことはあったが、怖くて何も言えず走って逃げた。
エニシとの出会いにより彼の番であるという獣人と接する機会があったが、話してみれば自分たちとは少し違う耳があるだけで他には何ら変わりがないのだと思ったものだ。
「嫌ってなんかいないよ。うちのギルドにも彼らのような獣人の子が何人か働いてくれているからね。ただまぁ…彼のように考えてはいなかったかな」
「?」
「エニシくんにとって私たち人間も彼の家族である獣人たちも同じ人なんだよ。小さな違いはあるだろうが同じ人で、同じ命で、同じ大切な家族なんだと彼は言っていたそうだよ」
同じ…人。同じ……命。
「そう考えることが出来た彼に驚いたよ。私たちも確かに獣人たちに対する国の考えに多少疑問はあったが、それを誰かに言うことも行動に起こすこともなかった。獣人だからそんな言葉で納得していたんだ」
獣人だから奴隷で当たり前。
獣人だから何をしても問題ない。
獣人だから殺しても構わない。
「人間ならば許されない行為でも、獣人相手ならば何をしても、最悪殺してもいいなんておかしくないかい?生きているだけで罪だなんて、半分同じ人間の血が彼らにも流れているのに」
「………」
エニシにとって獣人だからは、彼らを差別する理由にならない。
中には罪を犯している者もいるだろうが、殆どが罪のない生まれながらに奴隷にされた者たちばかりだ。
「彼はそれを言葉にした上で、ちゃんと行動で彼らに示した。だからこそ彼は今も幸せそうに笑って、その結果の子どもなんだよ」
エニシが今も笑って過ごせているのはエニシ自身が頑張ったことへの結果。
言われてみれば彼はいつも笑っていた。
繋に会わせてもらった時も本当に嬉しそうで、見ているだけで幸せなのが分かった。
「子ども、あの、楽しみですね」
「ああ。繋ちゃんも可愛いかったからね。きっと獣人の子も可愛いに決まっているよ」
いつまでも昔を引きずっている自分が恥ずかしかった。
両親を失い、周りに裏切られはしたがエニシに出会い、ガンズと酒造りを出来るようになり、友人と一緒に美味しいご飯が食べられる。
エニシはランにたくさんのものを与えてくれたのに、自分は何一つ彼にそれを返せていない。
今でも人と接するのはやはり怖い。
だがエニシが与えてくれたものに少しでも報いたく、久しぶりに外へ出ると誘ってくれたサブマスであるジンの元へ足早に向かうのだった。
「エ、エニシくん?」
スヤスヤと眠る横顔に声をかけてみるが反応はなく、眠れていないのだろう目元にはクマが出来ていた。
だが久しぶりに会えた喜びに、エニシには申し訳ないがそっとその横顔を見つめる。
「久しぶり、だね。あの、僕頑張ってるよ。エニシくんが少しでも喜んでくれるようにって。ま、毎日楽しいんだ。大好きなお酒造りが出来て、叔父さんも手伝ってくれて。ありがとう……ありがとうエニシくん」
本当は起きている時に言いたかったが、寝ているところを態々起こすのも忍びない。
小声ながらも感謝を伝えていれば、ふと瞳を開いたエニシの手が持ち上がりサラサラとランの頭を撫でた。
「よく、頑張りました」
起きていたのか分からない。
寝ぼけていたのかもしれないが、微笑みながら優しく触れる手が嬉しかった。
今日来れて良かった。
誘ってくれたサブマスに感謝しつつ、眠るエニシの邪魔にならないようランはソッと部屋を後にするのであった。
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