204 / 475
呼び出し
しおりを挟む
自分を呼ぶ声と元気な泣き声に目を開ける。
「エニシ、エニシごめん」
今にも泣き出しそうな顔のルーが双子を抱え縁を見下ろしていた。
「ルー?……あー、ご飯ですね」
身体を起こし双子を受け取れば、泣き続ける2人にミルクをやる。
必死に飲む双子に徐々に頭も冴え、オロオロしているルーには背を支えてもらった。
「大変だったでしょ?ありがとう」
「ううん。ほとんどあの3人がしてくれて……ごめんなさい」
あまりに情けない声に笑いそうになったが、彼も彼なりに頑張ってくれたのだろうことは分かるので感謝する。
こうして素直に謝れるようになったのも進歩だろう。
「頑張ってくれたんですよね。私はそれが何より嬉しいです」
ありがとうと微笑めば、漸く安心したのかホッと息をついていた。
「双子が落ち着いたら一緒にどこか出かけましょうか。またルーに乗って飛んでみたいです」
「エニシならいいよ。どこ行きたい?」
「うーーん、どこか景色がいい所とか……あ、お腹いっぱいですかね」
真はルーに任せゲップをさせるとエルも連れ隣の部屋に向かう。
「ありがとうございま……あれ?ランがいる……」
「やっぱ聞いてなかったか。寝る前にも言ったけど繋はランが見てくれてたよ」
そういえばそんなこと言っていたような……
半分寝ていた頭では理解出来ていなかったようで、スヤスヤとランの腕の中で眠る繋に笑う。
かなり懐いたようだ。
「ありがとう。大変だったでしょ?」
「う、ううん。け、繋ちゃんが、あの、よく分かんないけど、た、楽しそうでよかった。ほ、ほんと、僕何もやって、なくて」
何故だろう?母でさえ理解出来ない。
「……それだけランのことが好きだってこと、ですよ。うん、きっと」
「そ、そうかな?なら嬉しい、かな」
照れたように笑うランをとりあえず撫でておいた。
「お2人もありがとうございました。おかげですっきりしました」
ここ最近重たく感じていた身体が少しだが軽くなったように感じる。
「もういいのかい?」
書類片手にそう聞くマーガレットに申し訳なくなる。
これ以上甘えられない。
「はい。久しぶりにぐっすり眠れました。ありがとうございまーー」
「出来た!!見て!どう?どうだい?」
「わぁ~」
「はいはい」
「すっご」
「え?出来たの?」
いつの間にそんなこと初めていたのか、ジンの手には手編みらしい可愛い子ども用帽子が2つあった。
どれだけ器用なのか。
「可愛いから隠すのは勿体ないけど、変なのに絡まれるよりはいいと思って。真くんには青で、愛依ちゃんには赤ね」
「ありがとうございます。とても可愛いです」
出かける時は被せてあげよう。
「また時間はあるんだろ?ゆっくりしていきな」
「いえ、お仕事の邪魔でしょうし。今度またーー」
「もうちょっと待って。もうすぐアイツも来るから」
アイツ?
誰のことかと考えていればバンッ!と勢いよく扉が開いた。
「儂を忘れるんじゃないぞ!」
まさかのアル爺登場だった。
誰だ呼んだの。
「お久しぶりです。元気そうで安心しました」
歳を感じさせない大声に皆が驚き、双子と繋が泣いた。
迷惑な登場の仕方である。
「……すまなんだ」
責めるような皆の視線に気付いたようだ。
3人をあやしつつ、双子をアル爺にも紹介する。
「真と愛依です」
まさか抱っこはしないだろうと紹介だけ済ませようとしたのだが、意外にも両手を出されたため2人を預けてみる。
「こりゃお前さんに似て別嬪さんじゃな。このくらいの獣人は初めて見たが……なんとも可愛らしい」
「獣人を……嫌ってはいないんですね」
「好きも嫌いもありゃせん。正直言えばどうでもいい存在だったが、こうしてお前さんの子だと言われてみると可愛らしく見えるのぅ」
それは縁の子でなければどうでもいいと言うことだろうか。
言い方からして獣人自体に興味がないというのがしっくりくる気がしたが。
それでも双子を可愛らしいと言ってくれるだけ良いことだろう。
「今日は繋も連れて来たんです。最近知ったんですが、私に似たのか魔力持ちらしいです」
「なんと!?どれ、繋こっちゃ来い来い」
田舎のお爺ちゃんみたい。
しかし先程のせいか繋はイヤイヤと首を振りランに抱きついていた。
嫌われたと落ち込むアル爺にマーガレットたちは腹を抱えて笑っている。
「しばらくは無理ですね。またの機会に」
「儂のバカが……」
頭を抱え完全に落ち込んでいる。
「はははははっ、自業自得だね」
「バーカ。繋ちゃん脅かすからだ」
ここぞとばかりにアル爺を責めるマーガレットたち。
まるで子どものようだと思った縁であった。
「エニシ、エニシごめん」
今にも泣き出しそうな顔のルーが双子を抱え縁を見下ろしていた。
「ルー?……あー、ご飯ですね」
身体を起こし双子を受け取れば、泣き続ける2人にミルクをやる。
必死に飲む双子に徐々に頭も冴え、オロオロしているルーには背を支えてもらった。
「大変だったでしょ?ありがとう」
「ううん。ほとんどあの3人がしてくれて……ごめんなさい」
あまりに情けない声に笑いそうになったが、彼も彼なりに頑張ってくれたのだろうことは分かるので感謝する。
こうして素直に謝れるようになったのも進歩だろう。
「頑張ってくれたんですよね。私はそれが何より嬉しいです」
ありがとうと微笑めば、漸く安心したのかホッと息をついていた。
「双子が落ち着いたら一緒にどこか出かけましょうか。またルーに乗って飛んでみたいです」
「エニシならいいよ。どこ行きたい?」
「うーーん、どこか景色がいい所とか……あ、お腹いっぱいですかね」
真はルーに任せゲップをさせるとエルも連れ隣の部屋に向かう。
「ありがとうございま……あれ?ランがいる……」
「やっぱ聞いてなかったか。寝る前にも言ったけど繋はランが見てくれてたよ」
そういえばそんなこと言っていたような……
半分寝ていた頭では理解出来ていなかったようで、スヤスヤとランの腕の中で眠る繋に笑う。
かなり懐いたようだ。
「ありがとう。大変だったでしょ?」
「う、ううん。け、繋ちゃんが、あの、よく分かんないけど、た、楽しそうでよかった。ほ、ほんと、僕何もやって、なくて」
何故だろう?母でさえ理解出来ない。
「……それだけランのことが好きだってこと、ですよ。うん、きっと」
「そ、そうかな?なら嬉しい、かな」
照れたように笑うランをとりあえず撫でておいた。
「お2人もありがとうございました。おかげですっきりしました」
ここ最近重たく感じていた身体が少しだが軽くなったように感じる。
「もういいのかい?」
書類片手にそう聞くマーガレットに申し訳なくなる。
これ以上甘えられない。
「はい。久しぶりにぐっすり眠れました。ありがとうございまーー」
「出来た!!見て!どう?どうだい?」
「わぁ~」
「はいはい」
「すっご」
「え?出来たの?」
いつの間にそんなこと初めていたのか、ジンの手には手編みらしい可愛い子ども用帽子が2つあった。
どれだけ器用なのか。
「可愛いから隠すのは勿体ないけど、変なのに絡まれるよりはいいと思って。真くんには青で、愛依ちゃんには赤ね」
「ありがとうございます。とても可愛いです」
出かける時は被せてあげよう。
「また時間はあるんだろ?ゆっくりしていきな」
「いえ、お仕事の邪魔でしょうし。今度またーー」
「もうちょっと待って。もうすぐアイツも来るから」
アイツ?
誰のことかと考えていればバンッ!と勢いよく扉が開いた。
「儂を忘れるんじゃないぞ!」
まさかのアル爺登場だった。
誰だ呼んだの。
「お久しぶりです。元気そうで安心しました」
歳を感じさせない大声に皆が驚き、双子と繋が泣いた。
迷惑な登場の仕方である。
「……すまなんだ」
責めるような皆の視線に気付いたようだ。
3人をあやしつつ、双子をアル爺にも紹介する。
「真と愛依です」
まさか抱っこはしないだろうと紹介だけ済ませようとしたのだが、意外にも両手を出されたため2人を預けてみる。
「こりゃお前さんに似て別嬪さんじゃな。このくらいの獣人は初めて見たが……なんとも可愛らしい」
「獣人を……嫌ってはいないんですね」
「好きも嫌いもありゃせん。正直言えばどうでもいい存在だったが、こうしてお前さんの子だと言われてみると可愛らしく見えるのぅ」
それは縁の子でなければどうでもいいと言うことだろうか。
言い方からして獣人自体に興味がないというのがしっくりくる気がしたが。
それでも双子を可愛らしいと言ってくれるだけ良いことだろう。
「今日は繋も連れて来たんです。最近知ったんですが、私に似たのか魔力持ちらしいです」
「なんと!?どれ、繋こっちゃ来い来い」
田舎のお爺ちゃんみたい。
しかし先程のせいか繋はイヤイヤと首を振りランに抱きついていた。
嫌われたと落ち込むアル爺にマーガレットたちは腹を抱えて笑っている。
「しばらくは無理ですね。またの機会に」
「儂のバカが……」
頭を抱え完全に落ち込んでいる。
「はははははっ、自業自得だね」
「バーカ。繋ちゃん脅かすからだ」
ここぞとばかりにアル爺を責めるマーガレットたち。
まるで子どものようだと思った縁であった。
47
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる