二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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呼び出し

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 自分を呼ぶ声と元気な泣き声に目を開ける。

 「エニシ、エニシごめん」

 今にも泣き出しそうな顔のルーが双子を抱え縁を見下ろしていた。

 「ルー?……あー、ご飯ですね」

 身体を起こし双子を受け取れば、泣き続ける2人にミルクをやる。
 必死に飲む双子に徐々に頭も冴え、オロオロしているルーには背を支えてもらった。

 「大変だったでしょ?ありがとう」

 「ううん。ほとんどあの3人がしてくれて……ごめんなさい」

 あまりに情けない声に笑いそうになったが、彼も彼なりに頑張ってくれたのだろうことは分かるので感謝する。
 こうして素直に謝れるようになったのも進歩だろう。

 「頑張ってくれたんですよね。私はそれが何より嬉しいです」

 ありがとうと微笑めば、漸く安心したのかホッと息をついていた。

 「双子が落ち着いたら一緒にどこか出かけましょうか。またルーに乗って飛んでみたいです」

 「エニシならいいよ。どこ行きたい?」

 「うーーん、どこか景色がいい所とか……あ、お腹いっぱいですかね」

 真はルーに任せゲップをさせるとエルも連れ隣の部屋に向かう。

 「ありがとうございま……あれ?ランがいる……」

 「やっぱ聞いてなかったか。寝る前にも言ったけど繋はランが見てくれてたよ」

 そういえばそんなこと言っていたような……
 半分寝ていた頭では理解出来ていなかったようで、スヤスヤとランの腕の中で眠る繋に笑う。
 かなり懐いたようだ。

 「ありがとう。大変だったでしょ?」

 「う、ううん。け、繋ちゃんが、あの、よく分かんないけど、た、楽しそうでよかった。ほ、ほんと、僕何もやって、なくて」

 何故だろう?母でさえ理解出来ない。

 「……それだけランのことが好きだってこと、ですよ。うん、きっと」

 「そ、そうかな?なら嬉しい、かな」

 照れたように笑うランをとりあえず撫でておいた。

 「お2人もありがとうございました。おかげですっきりしました」

 ここ最近重たく感じていた身体が少しだが軽くなったように感じる。
 
 「もういいのかい?」

 書類片手にそう聞くマーガレットに申し訳なくなる。
 これ以上甘えられない。

 「はい。久しぶりにぐっすり眠れました。ありがとうございまーー」

 「出来た!!見て!どう?どうだい?」

 「わぁ~」
 「はいはい」
 「すっご」
 「え?出来たの?」

 いつの間にそんなこと初めていたのか、ジンの手には手編みらしい可愛い子ども用帽子が2つあった。
 どれだけ器用なのか。

 「可愛いから隠すのは勿体ないけど、変なのに絡まれるよりはいいと思って。真くんには青で、愛依ちゃんには赤ね」

 「ありがとうございます。とても可愛いです」

 出かける時は被せてあげよう。
 
 「また時間はあるんだろ?ゆっくりしていきな」

 「いえ、お仕事の邪魔でしょうし。今度またーー」

 「もうちょっと待って。もうすぐアイツも来るから」

 アイツ?
 誰のことかと考えていればバンッ!と勢いよく扉が開いた。

 「儂を忘れるんじゃないぞ!」

 まさかのアル爺登場だった。
 誰だ呼んだの。

 「お久しぶりです。元気そうで安心しました」

 歳を感じさせない大声に皆が驚き、双子と繋が泣いた。
 迷惑な登場の仕方である。

 「……すまなんだ」

 責めるような皆の視線に気付いたようだ。
 3人をあやしつつ、双子をアル爺にも紹介する。

 「シン愛依アイです」

 まさか抱っこはしないだろうと紹介だけ済ませようとしたのだが、意外にも両手を出されたため2人を預けてみる。

 「こりゃお前さんに似て別嬪さんじゃな。このくらいの獣人は初めて見たが……なんとも可愛らしい」

 「獣人を……嫌ってはいないんですね」

 「好きも嫌いもありゃせん。正直言えばどうでもいい存在だったが、こうしてお前さんの子だと言われてみると可愛らしく見えるのぅ」

 それは縁の子でなければどうでもいいと言うことだろうか。
 言い方からして獣人自体に興味がないというのがしっくりくる気がしたが。
 それでも双子を可愛らしいと言ってくれるだけ良いことだろう。

 「今日は繋も連れて来たんです。最近知ったんですが、私に似たのか魔力持ちらしいです」

 「なんと!?どれ、繋こっちゃ来い来い」

 田舎のお爺ちゃんみたい。
 しかし先程のせいか繋はイヤイヤと首を振りランに抱きついていた。
 嫌われたと落ち込むアル爺にマーガレットたちは腹を抱えて笑っている。

 「しばらくは無理ですね。またの機会に」

 「儂のバカが……」

 頭を抱え完全に落ち込んでいる。

 「はははははっ、自業自得だね」

 「バーカ。繋ちゃん脅かすからだ」

 ここぞとばかりにアル爺を責めるマーガレットたち。
 まるで子どものようだと思った縁であった。
 
 


 

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