213 / 475
どこにでもいるもの
しおりを挟む
「今すぐその子から離れなさい。でなければーー」
「じゃなきゃなんだよ。あぁ、お前が代わりに相手してくれるってか?あははははは」
「マジで?あいつ男だろ?」
「あんだけキレイな顔ならイケんじゃね?」
「マジかよ!お前そんな趣味あんのかよ。がははははは」
不快感に吐き気がする。
未だ地面に震え蹲る少女の姿を確認しながらも、そちらに意識を向けさせないよう気持ち悪い笑みを浮かべる男たちを睨みつける。
マーガレットたちが来るまであと数分。
これ以上あの少女に手を触れることは許さない。
「今日はアズの好きなドリアにでもしましょうか」
ギルドへ来たついでにとエルと夕飯の材料を買いに来ていた。
アズが喜ぶと張り切るエルに笑いかけながら歩いている時、ふと目を向けた細い脇道に何か動くものが目に入った。
バタバタと揺れるそれが人の足だと気付いたのは、その先に下卑た笑いを浮かべる男たちの姿が見えたからだ。
「エル、マーガレットさんたちを連れてきて下さい」
「え?」
「早く!」
「う、うん」
エルにそう指示すると、急いで男たちが消えた脇道に駆けていく。
市場とは違い狭く薄暗いその道は人を連れ込むには格好の場所だろう。
「ガキにしてはいい胸してんじゃねぇか」
「あぁ?突っ込めればそれでいいだろ?この歳ならまだヤッたことなさそうだしなぁ」
「やっぱヤルならガキだな。締まり具合がちげぇよ」
聞くに耐えない男たちの言葉に怒りが込み上げてくる。
黙れとばかりに男たちの前に姿を出せば、一瞬驚いた後あの気持ち悪い顔を見せる。
「おうおう。どうした坊主?」
「はははははっ迷子かぁ?それともお前も混ぜてほしいってか?まさかーー」
「離れなさい」
「ああ?」
「今すぐその子から離れなさい」
縁の言葉にそれまで少女を押さえつけていた男たちもこちらを見る。
何が楽しいのかニヤニヤと笑う男たちが気持ち悪くて仕方がない。
「今すぐその子から離れなさい。でなければーー」
「じゃなきゃなんだよ。あぁ、お前が代わりに相手してくれるってか?あはははは」
こういう輩はこちらが何を言っても聞きはしない。
前世でも嫌というほど見てきた。
ならば相手をするほど無駄であり、抵抗される前に魔法で縛り上げると騒ぐ口も塞いでやる。
「この子は貴方たちの奴隷でもなければ、性欲処理するための道具でもない。その汚い手で触れることは許しません」
暴れる男たちを見下ろしながらも、震える少女の目に男たちが入らないよう背に隠す。
出来れば拘束を解いてやりたいが、先程までの出来事に同じ男である縁が触れるのは少女も恐怖でしかないだろうと触れることはせずマーガレットたちが来るのを待つ。
「ーーエニシっ!!」
それほど待つことなく走ってきてくれたマーガレットたちに息をつくと、何があったか簡単に説明し少女の保護と男たちを衛兵たちに差し渡す。
「アンタが無事でよかったよ。いきなり一緒に来てくれなんて言われて何かあったのか心配したんだからね」
「すみませんでした。説明している暇がなくて。その後の対処も私には難しかったので呼んできてもらった方が早いかと」
怪しい男たちを捕まえるだけならば縁たちでも簡単に出来るが、衛兵たちへの対応に加え襲われていた少女への対応が難しいと判断したのだ。
少女がどれほどの精神的ショックを受けたか分からず、下手に縁が触れるより同性であるマーガレットの方が少女も安心出来るだろう。
「あぁ、エニシくんを責めているんじゃないよ。むしろ早い対処に感謝しているくらいだ。ありがとう。少女もそうだがエニシくんに怪我がなくてよかったよ」
優しく頭を撫でてくれるジンに笑いつつ、心配してくれたマーガレットにも感謝する。
「あの子は大丈夫ですか?」
「アンタがギリギリ間に合ってくれたからね。最悪なことにはならずに済んださ。ただ……」
「ただ?」
歯切れの悪いマーガレットにどうしたのかと尋ねれば、言いにくかったのかジンが代わりに教えてくれた。
「まだ混乱しているのもあると思うけど人を怖がってしまってね。誰も近づけないんだよ」
「家族を探してやろうにも喋ってくれなくてね。震えて部屋の隅に蹲っているんだよ」
攫われたきたならば家族も探しているはずだがそんな声はなく、本人に聞こうにも怖がって何も話してくれないらしい。
「身なりはそれなりにいいからどこぞの貴族の子かもしれないんだけどね」
「事を荒げたくなく捜索届けも出ていないと」
「だね。こんなことがあったと周りに知られたら家もそうだが、あの子も今後どこぞに嫁ぐなんて無理だろうね」
とりあえずマーガレットたちも内々に探してくれているようだ。
「…………エル、繋を連れてきてくれますか?」
「ん?今?」
頷けばエルは何も言わず外へ向かった。
「見つかるまで何もしないというわけにはいかないでしょう。出来るか分かりませんが、可能性があるならば試してみましょう」
すぐ見つかればそれで構わないが、長引くようであれば少女の身体も心配だ。
同性であるマーガレットでさえ近づけないとなれば後はーー
「子どもの可能性にかけましょう」
もしかしたら大丈夫かもしれないと繋が来るのを待つのであった。
「じゃなきゃなんだよ。あぁ、お前が代わりに相手してくれるってか?あははははは」
「マジで?あいつ男だろ?」
「あんだけキレイな顔ならイケんじゃね?」
「マジかよ!お前そんな趣味あんのかよ。がははははは」
不快感に吐き気がする。
未だ地面に震え蹲る少女の姿を確認しながらも、そちらに意識を向けさせないよう気持ち悪い笑みを浮かべる男たちを睨みつける。
マーガレットたちが来るまであと数分。
これ以上あの少女に手を触れることは許さない。
「今日はアズの好きなドリアにでもしましょうか」
ギルドへ来たついでにとエルと夕飯の材料を買いに来ていた。
アズが喜ぶと張り切るエルに笑いかけながら歩いている時、ふと目を向けた細い脇道に何か動くものが目に入った。
バタバタと揺れるそれが人の足だと気付いたのは、その先に下卑た笑いを浮かべる男たちの姿が見えたからだ。
「エル、マーガレットさんたちを連れてきて下さい」
「え?」
「早く!」
「う、うん」
エルにそう指示すると、急いで男たちが消えた脇道に駆けていく。
市場とは違い狭く薄暗いその道は人を連れ込むには格好の場所だろう。
「ガキにしてはいい胸してんじゃねぇか」
「あぁ?突っ込めればそれでいいだろ?この歳ならまだヤッたことなさそうだしなぁ」
「やっぱヤルならガキだな。締まり具合がちげぇよ」
聞くに耐えない男たちの言葉に怒りが込み上げてくる。
黙れとばかりに男たちの前に姿を出せば、一瞬驚いた後あの気持ち悪い顔を見せる。
「おうおう。どうした坊主?」
「はははははっ迷子かぁ?それともお前も混ぜてほしいってか?まさかーー」
「離れなさい」
「ああ?」
「今すぐその子から離れなさい」
縁の言葉にそれまで少女を押さえつけていた男たちもこちらを見る。
何が楽しいのかニヤニヤと笑う男たちが気持ち悪くて仕方がない。
「今すぐその子から離れなさい。でなければーー」
「じゃなきゃなんだよ。あぁ、お前が代わりに相手してくれるってか?あはははは」
こういう輩はこちらが何を言っても聞きはしない。
前世でも嫌というほど見てきた。
ならば相手をするほど無駄であり、抵抗される前に魔法で縛り上げると騒ぐ口も塞いでやる。
「この子は貴方たちの奴隷でもなければ、性欲処理するための道具でもない。その汚い手で触れることは許しません」
暴れる男たちを見下ろしながらも、震える少女の目に男たちが入らないよう背に隠す。
出来れば拘束を解いてやりたいが、先程までの出来事に同じ男である縁が触れるのは少女も恐怖でしかないだろうと触れることはせずマーガレットたちが来るのを待つ。
「ーーエニシっ!!」
それほど待つことなく走ってきてくれたマーガレットたちに息をつくと、何があったか簡単に説明し少女の保護と男たちを衛兵たちに差し渡す。
「アンタが無事でよかったよ。いきなり一緒に来てくれなんて言われて何かあったのか心配したんだからね」
「すみませんでした。説明している暇がなくて。その後の対処も私には難しかったので呼んできてもらった方が早いかと」
怪しい男たちを捕まえるだけならば縁たちでも簡単に出来るが、衛兵たちへの対応に加え襲われていた少女への対応が難しいと判断したのだ。
少女がどれほどの精神的ショックを受けたか分からず、下手に縁が触れるより同性であるマーガレットの方が少女も安心出来るだろう。
「あぁ、エニシくんを責めているんじゃないよ。むしろ早い対処に感謝しているくらいだ。ありがとう。少女もそうだがエニシくんに怪我がなくてよかったよ」
優しく頭を撫でてくれるジンに笑いつつ、心配してくれたマーガレットにも感謝する。
「あの子は大丈夫ですか?」
「アンタがギリギリ間に合ってくれたからね。最悪なことにはならずに済んださ。ただ……」
「ただ?」
歯切れの悪いマーガレットにどうしたのかと尋ねれば、言いにくかったのかジンが代わりに教えてくれた。
「まだ混乱しているのもあると思うけど人を怖がってしまってね。誰も近づけないんだよ」
「家族を探してやろうにも喋ってくれなくてね。震えて部屋の隅に蹲っているんだよ」
攫われたきたならば家族も探しているはずだがそんな声はなく、本人に聞こうにも怖がって何も話してくれないらしい。
「身なりはそれなりにいいからどこぞの貴族の子かもしれないんだけどね」
「事を荒げたくなく捜索届けも出ていないと」
「だね。こんなことがあったと周りに知られたら家もそうだが、あの子も今後どこぞに嫁ぐなんて無理だろうね」
とりあえずマーガレットたちも内々に探してくれているようだ。
「…………エル、繋を連れてきてくれますか?」
「ん?今?」
頷けばエルは何も言わず外へ向かった。
「見つかるまで何もしないというわけにはいかないでしょう。出来るか分かりませんが、可能性があるならば試してみましょう」
すぐ見つかればそれで構わないが、長引くようであれば少女の身体も心配だ。
同性であるマーガレットでさえ近づけないとなれば後はーー
「子どもの可能性にかけましょう」
もしかしたら大丈夫かもしれないと繋が来るのを待つのであった。
42
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる