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聞いてましたか?
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「おい坊主!魔石もらってきたぞ。使い方教えろ」
「???」
え?
着いて早々兵の鍛錬場に拉致された縁は何事かと目をパチクリさせていた。
ひょいと手渡された魔石にどうすればいいのかと周りを見れば、これまた何か期待するような目で兵士達に見られている。
「……副隊長さんはいらっしゃいますか?」
とりあえず説明を求めるためにも副隊長の姿を探すが、遠巻きながら大柄な男たちに囲まれているためどこにいるか分からない。
「フレック?あいつなら今日は部屋で紙の束と睨めっこしてるはずだぞ」
今日はではなく今日もだと思う。
そして貴方は手伝わなくていいのか。
「お忙しいとは思いますが少しお話しさせていただいても?」
この場の誰も説明してくれはしないだろうと面会を求めれば、これまた引きずられるように隊長室?らしき部屋に案内された。
「こんにちは」
「………………エニシ、さん?」
隊長のものと思われる豪華な椅子に腰掛けていた副隊長が顔を上げれば見事に目元にクマが出来ていた。
心なしか声にも元気がなく、ちゃんと縁と認識出来ているのだろうか?
「あの、お忙しい中申し訳ありません。実は隊長さんがーー」
「彼に何をしたんですか!?」
くわっと目を見開いたかと思えば、次の瞬間隣にいた隊長に飛びかかり胸元を掴むと激しく揺さぶっていた。
だと言うのにガハハと笑うだけで平気そうなのは流石隊長だと言うべきか。
「あの、まだ何もされていませんから」
「ならこれからする気ですか!?土下座で謝りなさい!」
「あの人ってあんなだったっけ?」
疲れのせいなのか言動がおかしい。
以前との差にエルが引いている。
隊長の手を借り何とか宥めると、とりあえず話しを聞くため皆で腰を下ろす。
「それで貴方は何でエニシさんを呼んだんですか?私には何も言わず!」
「あ?言ってなかったか?」
今回のことは隊長の勝手な発案だったらしい。
「ほら言ってただろ?魔石を使えばこの前みたいなこと出来るって。だからよ、もらってきたから教えてくれ」
突然呼ばれた理由は分かったが、何故それを縁に聞くのだろうか?
確かに言った。魔石を使えばと。
だがそれを使い剣を作る方法など知るわけがない。
チラリと副隊長を伺えば頭を抱え机に突っ伏していた。
「分かりません」
「あ?」
正直に答えれば何言ってんだとばかりに睨まれた。
「確かに以前魔石を使えばいいのではないかと言いましたが、私はそれが作れるとは言った覚えはありません」
「………なんだよそれ」
それはこちらの台詞なのだが。
勝手に勘違いして連れてこられた挙句、出来ないのかよと文句を言われても困る。
「ですが考える努力はしましょう」
「マジか!!」
一気に機嫌が良くなった隊長ににっこりと笑みを向けると机に積み重なる紙の束を指差す。
「なのでそれまでお仕事でもして待っていて下さいね」
「え?」
「げっ」
副隊長は驚きに顔を上げ、隊長は嫌そうに顔を歪める。
「い、いやフレックがいるから俺は……」
「まさか隊長ともあろう方が部下に仕事を押し付け、部外者であるはずの私には魔法を使って剣を作れと強要し、自身はやりたいことだけやるというわけではありせんよね?」
「………」
顔を逸らすのは図星なのだろう。
「そんなこと、ありませんよね?」
「い、いやな、俺はこういうのはどうにも苦手で……」
「だからしなくていいと?出来る人がやればいいじゃないかと?それで成り立っているなら構いませんが、明らかに疲れた顔をしている副隊長さんにそれが出来ているとは思えませんが」
「………ふ、ふふ、ふふふ、あははははははっ」
突然腹を抱え笑い出した副隊長に縁たちだけでなく隊長まで驚いた。
「や、ヤバい。た、隊長が説教されてる!あははははは」
どこが笑いのツボだったのかは分からないが、ヤバいヤバいと言いながら笑い転げている。
「ほら、隊長さんのせいですごいことになってますよ」
「俺のせいか!?」
副隊長の様子に流石に申し訳ないと思ったのか嫌々ながらも席につき大人しく仕事をし始めた。
「出来る人に任せることはいいことでもありますが、それで自身が怠けるのはよくないと思います。実際、こんなに副隊長さんが疲れるまで頑張っても何も知らない上の方々は隊長さんを評価するだけで副隊長は評価されないんですよ」
「「………」」
それでも構わないというなら話しは別だが、上にいる者たちは結果しか見ないのだ。
その過程でどんなことがあり誰が頑張ったか、頑張ってくれたかまでは評価されない。
「………悪かった」
「いえ、私もそこまで考えてませんでしたから」
「そういう時はありがとうと言う方がいいですよ。感謝するという意味もありますが、貴方の頑張りを知っている、認めているという意味でもありますから」
感謝するということは何があったか知っているからこそ言える言葉であり、それを認めた上でしてくれてありがとうということなのだ。
「そうだな。いつもありがとなフレック」
「いいえ。これも仕事ですから」
「坊主もありがとな」
「ちゃんとした自己紹介がまだでしたね。今更ではありますが縁と申します」
遅まきながらお互いに自己紹介するのであった。
「???」
え?
着いて早々兵の鍛錬場に拉致された縁は何事かと目をパチクリさせていた。
ひょいと手渡された魔石にどうすればいいのかと周りを見れば、これまた何か期待するような目で兵士達に見られている。
「……副隊長さんはいらっしゃいますか?」
とりあえず説明を求めるためにも副隊長の姿を探すが、遠巻きながら大柄な男たちに囲まれているためどこにいるか分からない。
「フレック?あいつなら今日は部屋で紙の束と睨めっこしてるはずだぞ」
今日はではなく今日もだと思う。
そして貴方は手伝わなくていいのか。
「お忙しいとは思いますが少しお話しさせていただいても?」
この場の誰も説明してくれはしないだろうと面会を求めれば、これまた引きずられるように隊長室?らしき部屋に案内された。
「こんにちは」
「………………エニシ、さん?」
隊長のものと思われる豪華な椅子に腰掛けていた副隊長が顔を上げれば見事に目元にクマが出来ていた。
心なしか声にも元気がなく、ちゃんと縁と認識出来ているのだろうか?
「あの、お忙しい中申し訳ありません。実は隊長さんがーー」
「彼に何をしたんですか!?」
くわっと目を見開いたかと思えば、次の瞬間隣にいた隊長に飛びかかり胸元を掴むと激しく揺さぶっていた。
だと言うのにガハハと笑うだけで平気そうなのは流石隊長だと言うべきか。
「あの、まだ何もされていませんから」
「ならこれからする気ですか!?土下座で謝りなさい!」
「あの人ってあんなだったっけ?」
疲れのせいなのか言動がおかしい。
以前との差にエルが引いている。
隊長の手を借り何とか宥めると、とりあえず話しを聞くため皆で腰を下ろす。
「それで貴方は何でエニシさんを呼んだんですか?私には何も言わず!」
「あ?言ってなかったか?」
今回のことは隊長の勝手な発案だったらしい。
「ほら言ってただろ?魔石を使えばこの前みたいなこと出来るって。だからよ、もらってきたから教えてくれ」
突然呼ばれた理由は分かったが、何故それを縁に聞くのだろうか?
確かに言った。魔石を使えばと。
だがそれを使い剣を作る方法など知るわけがない。
チラリと副隊長を伺えば頭を抱え机に突っ伏していた。
「分かりません」
「あ?」
正直に答えれば何言ってんだとばかりに睨まれた。
「確かに以前魔石を使えばいいのではないかと言いましたが、私はそれが作れるとは言った覚えはありません」
「………なんだよそれ」
それはこちらの台詞なのだが。
勝手に勘違いして連れてこられた挙句、出来ないのかよと文句を言われても困る。
「ですが考える努力はしましょう」
「マジか!!」
一気に機嫌が良くなった隊長ににっこりと笑みを向けると机に積み重なる紙の束を指差す。
「なのでそれまでお仕事でもして待っていて下さいね」
「え?」
「げっ」
副隊長は驚きに顔を上げ、隊長は嫌そうに顔を歪める。
「い、いやフレックがいるから俺は……」
「まさか隊長ともあろう方が部下に仕事を押し付け、部外者であるはずの私には魔法を使って剣を作れと強要し、自身はやりたいことだけやるというわけではありせんよね?」
「………」
顔を逸らすのは図星なのだろう。
「そんなこと、ありませんよね?」
「い、いやな、俺はこういうのはどうにも苦手で……」
「だからしなくていいと?出来る人がやればいいじゃないかと?それで成り立っているなら構いませんが、明らかに疲れた顔をしている副隊長さんにそれが出来ているとは思えませんが」
「………ふ、ふふ、ふふふ、あははははははっ」
突然腹を抱え笑い出した副隊長に縁たちだけでなく隊長まで驚いた。
「や、ヤバい。た、隊長が説教されてる!あははははは」
どこが笑いのツボだったのかは分からないが、ヤバいヤバいと言いながら笑い転げている。
「ほら、隊長さんのせいですごいことになってますよ」
「俺のせいか!?」
副隊長の様子に流石に申し訳ないと思ったのか嫌々ながらも席につき大人しく仕事をし始めた。
「出来る人に任せることはいいことでもありますが、それで自身が怠けるのはよくないと思います。実際、こんなに副隊長さんが疲れるまで頑張っても何も知らない上の方々は隊長さんを評価するだけで副隊長は評価されないんですよ」
「「………」」
それでも構わないというなら話しは別だが、上にいる者たちは結果しか見ないのだ。
その過程でどんなことがあり誰が頑張ったか、頑張ってくれたかまでは評価されない。
「………悪かった」
「いえ、私もそこまで考えてませんでしたから」
「そういう時はありがとうと言う方がいいですよ。感謝するという意味もありますが、貴方の頑張りを知っている、認めているという意味でもありますから」
感謝するということは何があったか知っているからこそ言える言葉であり、それを認めた上でしてくれてありがとうということなのだ。
「そうだな。いつもありがとなフレック」
「いいえ。これも仕事ですから」
「坊主もありがとな」
「ちゃんとした自己紹介がまだでしたね。今更ではありますが縁と申します」
遅まきながらお互いに自己紹介するのであった。
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