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鍋とは?
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「調理用の鍋じゃと?」
「はい」
アルスたちと別れアル爺に鍋が売っている場所を聞こうと訪ねてきたのだが、調理用と言った途端一気に気落ちしていた。
どうやら回復薬などの作り方に縁が興味を持ったと思い喜んでいたらしい。
「お婆ちゃんに聞いたらアル爺の方が詳しいと言われて。出来れば浅めで大きいものがいいんですけど」
「あるにはあるが……料理なぁ」
そんなことよりちょっと手伝わんかと誘ってくるアル爺に笑ってしまう。
「今度機会があれば。お仕事の邪魔をしても申し訳ないのでどこで売っているかだけでも教えてもらえればいいので」
態々城に来いというからどうしたのかと思えば、アル爺はお城の薬学科なるところで働いていたらしい。
どうりでしょっちゅうお城で会うなぁと思っていた。
「なに?鍋が欲しくて来たんじゃないんか?」
「?はい、そうです。なのでお店を教えて欲しいんです」
不思議そうに見てくるアル爺を縁も不思議そうに見つめる。
え?なんだろう?
「貴方がアルバトロス様に鍋をもらいに来たと思ってたんですよ」
「……ああ!なるほど、お店じゃなく鍋自体をもらいにきたと思っていたと……いや、そんなことしませんよ。お仕事に使うものでしょ?そんなホイホイ人にあげちゃ駄目ですよ。宰相様も頑張っているんですからアル爺も頑張って下さい」
アル爺の私物ならば使うからこそ買ったわけであり、お城の物だとしたら尚更勝手に渡しては駄目だろう。
そんなことしないと縁が言えば、2人はキョトンとしたあと突如笑い出した。
なんだ?なんだ?というか貴方はどちら様?
普通に会話していたが、途中から話しに参加してきたこの方は誰だろう?と縁が見つめていれば笑いを堪え男性が挨拶してきた。
「申し遅れました。私、アルバトロス様の部下のフィール・ダレンと申します。どうぞダレンとお呼び下さい」
「態々ありがとうございます。私は縁と申します。いつもアル爺、じゃないアルバトロス様にはお世話になって…」
「お前さんはアル爺で構わんわい。そんなことより、欲しいものがあるなら持っていけばいい。そっちにあるのは城のじゃなく儂が趣味で作ってもらったもんじゃからな。使いづらくてほとんどが失敗作じゃが」
調合ようにと色々試行錯誤したようだが、やはり元からある形が一番いいとなったらしい。
ならばと積み上がる失敗作こと鍋を見せてもらう。
「浅くて広めの……あ、エルこれなんてどうですか?」
「どうですかって言われても…どんな料理作ろうとしてのかオレ分かんないんだけど」
そりゃそうだ。
それを教えるためにも作ろうとなったのにエルが答えられるわけがなかった。
ごめんと謝ると丁度良さそうなものを探していく。
「これ形はいいんですけど大きさがなぁ。こっちは持ち手がないし、これは深過ぎですね。みんなで食べるのに丁度いい大きさで……あ、これ、アル爺これがいいです!」
これだ!と笑って鍋を掲げれば3人とも苦笑いしていた。
鍋をもらって喜ぶ変な子だとでも思われてしまったらしい。
「上手く出来るか分かりませんけど、出来たらアル爺も一緒に食べましょうね」
「そうじゃな。お前さんの料理は美味いし楽しみに待っとるぞ」
希望のものも手に入れ縁はご機嫌で城を後にするのであった。
あとは具材探し!
「随分変わったお孫さんですね」
不要なものとはいえ、あそこまで喜んでくれるとは思っていなかった。
「面白いじゃろ?例の飴もあの子が考えたもんじゃ」
「っ!そう、ですか」
さすがアルバトロスの孫だと感心していたダレンだが、実際は血も繋がっていない赤の他人であるということを知らないのであった。
そもそもアル爺と親しげに呼ばれていたことと、孫と言ったのを否定しなかったアルバトロスが悪い。
「あの宰相も気に入っておるくらいじゃ。その内また何かやらかしてくれるかもな」
すでにやらかした後だということを知らない2人である。
「最初来ると聞いた時はどんな常識がない子かと思ってましたが……」
いくらアルバトロスの孫とはいえ、就業時間に遊びにくるなどどうなんだと嫌味の一つでも言ってやろうかと思っていたのだが、きちんと挨拶し逆にあのアルバトロスに仕事しろと言うとは思っていなかった。
その上タダであげようと思っていたものをそんな簡単に渡しては駄目だと怒られる始末。
なにより処分に困っていた鍋をあれほど嬉しそうに持っていくとは思わなかった。
「あの子が持ってきてくれる薬草も随分質がよくてな。仕事がしやすくて助かるわい」
そう機嫌よく言うアルバトロスには驚いた。
普段から人を褒めることがそうそうないのもあるが、薬草のことになると少しのキズでも許さんとばかりに怒鳴る男が持ってきてくれて助かると言うとは。
これは下手なことを言わずに済んでよかったと胸を撫で下ろすダレンであった。
「はい」
アルスたちと別れアル爺に鍋が売っている場所を聞こうと訪ねてきたのだが、調理用と言った途端一気に気落ちしていた。
どうやら回復薬などの作り方に縁が興味を持ったと思い喜んでいたらしい。
「お婆ちゃんに聞いたらアル爺の方が詳しいと言われて。出来れば浅めで大きいものがいいんですけど」
「あるにはあるが……料理なぁ」
そんなことよりちょっと手伝わんかと誘ってくるアル爺に笑ってしまう。
「今度機会があれば。お仕事の邪魔をしても申し訳ないのでどこで売っているかだけでも教えてもらえればいいので」
態々城に来いというからどうしたのかと思えば、アル爺はお城の薬学科なるところで働いていたらしい。
どうりでしょっちゅうお城で会うなぁと思っていた。
「なに?鍋が欲しくて来たんじゃないんか?」
「?はい、そうです。なのでお店を教えて欲しいんです」
不思議そうに見てくるアル爺を縁も不思議そうに見つめる。
え?なんだろう?
「貴方がアルバトロス様に鍋をもらいに来たと思ってたんですよ」
「……ああ!なるほど、お店じゃなく鍋自体をもらいにきたと思っていたと……いや、そんなことしませんよ。お仕事に使うものでしょ?そんなホイホイ人にあげちゃ駄目ですよ。宰相様も頑張っているんですからアル爺も頑張って下さい」
アル爺の私物ならば使うからこそ買ったわけであり、お城の物だとしたら尚更勝手に渡しては駄目だろう。
そんなことしないと縁が言えば、2人はキョトンとしたあと突如笑い出した。
なんだ?なんだ?というか貴方はどちら様?
普通に会話していたが、途中から話しに参加してきたこの方は誰だろう?と縁が見つめていれば笑いを堪え男性が挨拶してきた。
「申し遅れました。私、アルバトロス様の部下のフィール・ダレンと申します。どうぞダレンとお呼び下さい」
「態々ありがとうございます。私は縁と申します。いつもアル爺、じゃないアルバトロス様にはお世話になって…」
「お前さんはアル爺で構わんわい。そんなことより、欲しいものがあるなら持っていけばいい。そっちにあるのは城のじゃなく儂が趣味で作ってもらったもんじゃからな。使いづらくてほとんどが失敗作じゃが」
調合ようにと色々試行錯誤したようだが、やはり元からある形が一番いいとなったらしい。
ならばと積み上がる失敗作こと鍋を見せてもらう。
「浅くて広めの……あ、エルこれなんてどうですか?」
「どうですかって言われても…どんな料理作ろうとしてのかオレ分かんないんだけど」
そりゃそうだ。
それを教えるためにも作ろうとなったのにエルが答えられるわけがなかった。
ごめんと謝ると丁度良さそうなものを探していく。
「これ形はいいんですけど大きさがなぁ。こっちは持ち手がないし、これは深過ぎですね。みんなで食べるのに丁度いい大きさで……あ、これ、アル爺これがいいです!」
これだ!と笑って鍋を掲げれば3人とも苦笑いしていた。
鍋をもらって喜ぶ変な子だとでも思われてしまったらしい。
「上手く出来るか分かりませんけど、出来たらアル爺も一緒に食べましょうね」
「そうじゃな。お前さんの料理は美味いし楽しみに待っとるぞ」
希望のものも手に入れ縁はご機嫌で城を後にするのであった。
あとは具材探し!
「随分変わったお孫さんですね」
不要なものとはいえ、あそこまで喜んでくれるとは思っていなかった。
「面白いじゃろ?例の飴もあの子が考えたもんじゃ」
「っ!そう、ですか」
さすがアルバトロスの孫だと感心していたダレンだが、実際は血も繋がっていない赤の他人であるということを知らないのであった。
そもそもアル爺と親しげに呼ばれていたことと、孫と言ったのを否定しなかったアルバトロスが悪い。
「あの宰相も気に入っておるくらいじゃ。その内また何かやらかしてくれるかもな」
すでにやらかした後だということを知らない2人である。
「最初来ると聞いた時はどんな常識がない子かと思ってましたが……」
いくらアルバトロスの孫とはいえ、就業時間に遊びにくるなどどうなんだと嫌味の一つでも言ってやろうかと思っていたのだが、きちんと挨拶し逆にあのアルバトロスに仕事しろと言うとは思っていなかった。
その上タダであげようと思っていたものをそんな簡単に渡しては駄目だと怒られる始末。
なにより処分に困っていた鍋をあれほど嬉しそうに持っていくとは思わなかった。
「あの子が持ってきてくれる薬草も随分質がよくてな。仕事がしやすくて助かるわい」
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普段から人を褒めることがそうそうないのもあるが、薬草のことになると少しのキズでも許さんとばかりに怒鳴る男が持ってきてくれて助かると言うとは。
これは下手なことを言わずに済んでよかったと胸を撫で下ろすダレンであった。
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