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案外
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悪くはない。
悪くはないのだが、いかんせん慣れない。
腹を満たした子狼はそのまま眠りについたのだが、何を思ったか仕事を始めようとしたレオナルドの膝にエニシが眠る子狼を乗せてきた。
「おい」
「その大きさなら邪魔にはならないでしょう?」
ならないが気にはなる。
だがにこにことこちらを見てくるエニシに、邪魔だと下ろそうとすれば何を言われれるか分からないため諦めることにした。
「そういえばこの前アル爺に呼ばれて会いにいったんですけどお城で働いていたんですね」
「………知らなかったのか?」
サラサラと手を動かしながらも話しをするのは難しくなく、仕事の話しではないこともありイライラするということもない。
「この前初めて知りました。で、お鍋をもらってきたんですよ」
は?鍋?
あまりに話しが飛びすぎて手が止まってしまった。
「こちらでは鍋料理というものがないんですね。なので中々欲しい鍋が見つからなくて、探していたらアル爺が譲ってくれました。今度宰相様も一緒にお鍋しましょうね」
「…………そうだな」
それしか言えなかった。
一瞬鍋を食べるのか?と思ったが、鍋料理というぐらいならば鍋を使った調理法なのだろう。
まさか鍋に齧り付くとは考えにくい。
「宰相様は味噌味でも大丈夫ですか?」
「……みそとは何だ?」
彼との会話は楽しいのだが、時々話しが飛びすぎていて意味が分からない時がある。
「あ、言ってませんでしたっけ?この前エリックたちとご飯を食べましたよね?その時に飲んでいたスープに使っていた調味料なんですけど……美味しくなかったですか?」
いや、あれは美味かった。
しっかりと味があるのに変に口に残らずあっさりしており、どこかホッとする味だったのを覚えている。
「美味かった。あれを使って調理するということか?」
「そうです。簡単に言えばあの味噌汁の規模を鍋の大きさに変えたものですね。魚やお肉を入れたり、野菜も入れて煮込むんです」
それは……旨そうだな。
何か希望の具はあるかと聞かれ、野菜多めが良いと言えば笑って頷いてくれた。
「お肉はエルたちが頑張って獲ってきてくれたので、明日は海に行って魚を捕まえてこようかと思います。魚介はいい出汁が出るので楽しみにしていて下さいね」
「期待してる」
まるで夫婦の会話のようで笑ってしまったが、こうして何ともない話しをしながら仕事をするのも悪くない。
なにより自分のために美味しいものを作ってくれようとしていると分かるため純粋に嬉しい。
「うちの子も味噌が大好きなんですよ。あ、そうそう今度連れてくることになったので挨拶に来ますね。ふふ、覚えてます?私が初めてお城に来た時にずっと泣いてた子ですよ」
そういえばそんなことがあった気がする。
もう遠い昔に感じるのはあまりに彼が自分の中に自然に溶け込んでいるからだろう。
あの時ずっと泣いていた子かと、もうそれなりに大きくなっているかもしれないと感慨深いものである。
「私に似たのか呑気というか何というか。たぶん宰相様にもすぐに懐きますよ」
「…………」
レオナルドは自身の容姿をよく分かっているつもりだ。
整っている方だとは思うが、決して子どもに好かれるものではない。
鋭い瞳に高身長な体格は幼い子どもからすれば怖いと思われることがある。
実際王子たちにも幼い頃怖いと泣かれた。
あの時は役に立たぬだろうと好かれなくてもどうでもいいと思っていたが、友人の子ともなると怯えられたらどうしようと考えてしまう。
「マーガレットさんたちにはかなり懐いているんですけど………アル爺が未だに嫌われてるんですよね。最初に会った時に驚かせてしまったせいですが」
「ぶふうっ」
何をやったんだクソジジイ。だがいい気味だ。
いつもレオナルドを揶揄って遊んでいることを思えば、可哀想とも手助けしてやろうとも思わない。
その子どもとは仲良くなれそうな気がした。
「そうだ。この前報告がてら聞いたが模擬戦変更案は君の提案らしいな。フレックが楽しそうに話していた」
「あぁ。あれからどうなりました?」
言うだけ言って帰ってしまい申し訳なかったと頭を下げるエニシに良くやったと褒めてやる。
「あいつらはどうか知らんが私はずっと意味がない不要なものだと思っていたが、あれならばやる価値はあるだろう」
隊長同士戦い一番を決めるなど何と馬鹿らしいことか。
そんなものなくとも強くなれと思っていたが、その姿を人々に見せ安心とお金を集めようとは考えたものである。
「貴族連中もかなり乗り気のようだ。参加の申し込みが早くも来ている」
「それは良かったです。少しでも役に立てなら提案した甲斐がありました」
少しどころではない。
周りもそうだが、何より隊員たちの士気が上がっている。
自身の実力を見せつける絶好の機会なのだから。
「ただ一つ忠告があります。賭け事だけは厳しく取締った方がいいです」
「何故だ?」
「そのせいで勝敗を決めることになっては意味がないからです。彼らは彼らの意志を持って戦い勝利しなければ」
なるほど。
金で勝ち負けを決めるのではなく、全てが彼らの意志と実力で決めなければ意味がない。
忠告通りそのための人員も数に入れ計画を練るのだった。
悪くはないのだが、いかんせん慣れない。
腹を満たした子狼はそのまま眠りについたのだが、何を思ったか仕事を始めようとしたレオナルドの膝にエニシが眠る子狼を乗せてきた。
「おい」
「その大きさなら邪魔にはならないでしょう?」
ならないが気にはなる。
だがにこにことこちらを見てくるエニシに、邪魔だと下ろそうとすれば何を言われれるか分からないため諦めることにした。
「そういえばこの前アル爺に呼ばれて会いにいったんですけどお城で働いていたんですね」
「………知らなかったのか?」
サラサラと手を動かしながらも話しをするのは難しくなく、仕事の話しではないこともありイライラするということもない。
「この前初めて知りました。で、お鍋をもらってきたんですよ」
は?鍋?
あまりに話しが飛びすぎて手が止まってしまった。
「こちらでは鍋料理というものがないんですね。なので中々欲しい鍋が見つからなくて、探していたらアル爺が譲ってくれました。今度宰相様も一緒にお鍋しましょうね」
「…………そうだな」
それしか言えなかった。
一瞬鍋を食べるのか?と思ったが、鍋料理というぐらいならば鍋を使った調理法なのだろう。
まさか鍋に齧り付くとは考えにくい。
「宰相様は味噌味でも大丈夫ですか?」
「……みそとは何だ?」
彼との会話は楽しいのだが、時々話しが飛びすぎていて意味が分からない時がある。
「あ、言ってませんでしたっけ?この前エリックたちとご飯を食べましたよね?その時に飲んでいたスープに使っていた調味料なんですけど……美味しくなかったですか?」
いや、あれは美味かった。
しっかりと味があるのに変に口に残らずあっさりしており、どこかホッとする味だったのを覚えている。
「美味かった。あれを使って調理するということか?」
「そうです。簡単に言えばあの味噌汁の規模を鍋の大きさに変えたものですね。魚やお肉を入れたり、野菜も入れて煮込むんです」
それは……旨そうだな。
何か希望の具はあるかと聞かれ、野菜多めが良いと言えば笑って頷いてくれた。
「お肉はエルたちが頑張って獲ってきてくれたので、明日は海に行って魚を捕まえてこようかと思います。魚介はいい出汁が出るので楽しみにしていて下さいね」
「期待してる」
まるで夫婦の会話のようで笑ってしまったが、こうして何ともない話しをしながら仕事をするのも悪くない。
なにより自分のために美味しいものを作ってくれようとしていると分かるため純粋に嬉しい。
「うちの子も味噌が大好きなんですよ。あ、そうそう今度連れてくることになったので挨拶に来ますね。ふふ、覚えてます?私が初めてお城に来た時にずっと泣いてた子ですよ」
そういえばそんなことがあった気がする。
もう遠い昔に感じるのはあまりに彼が自分の中に自然に溶け込んでいるからだろう。
あの時ずっと泣いていた子かと、もうそれなりに大きくなっているかもしれないと感慨深いものである。
「私に似たのか呑気というか何というか。たぶん宰相様にもすぐに懐きますよ」
「…………」
レオナルドは自身の容姿をよく分かっているつもりだ。
整っている方だとは思うが、決して子どもに好かれるものではない。
鋭い瞳に高身長な体格は幼い子どもからすれば怖いと思われることがある。
実際王子たちにも幼い頃怖いと泣かれた。
あの時は役に立たぬだろうと好かれなくてもどうでもいいと思っていたが、友人の子ともなると怯えられたらどうしようと考えてしまう。
「マーガレットさんたちにはかなり懐いているんですけど………アル爺が未だに嫌われてるんですよね。最初に会った時に驚かせてしまったせいですが」
「ぶふうっ」
何をやったんだクソジジイ。だがいい気味だ。
いつもレオナルドを揶揄って遊んでいることを思えば、可哀想とも手助けしてやろうとも思わない。
その子どもとは仲良くなれそうな気がした。
「そうだ。この前報告がてら聞いたが模擬戦変更案は君の提案らしいな。フレックが楽しそうに話していた」
「あぁ。あれからどうなりました?」
言うだけ言って帰ってしまい申し訳なかったと頭を下げるエニシに良くやったと褒めてやる。
「あいつらはどうか知らんが私はずっと意味がない不要なものだと思っていたが、あれならばやる価値はあるだろう」
隊長同士戦い一番を決めるなど何と馬鹿らしいことか。
そんなものなくとも強くなれと思っていたが、その姿を人々に見せ安心とお金を集めようとは考えたものである。
「貴族連中もかなり乗り気のようだ。参加の申し込みが早くも来ている」
「それは良かったです。少しでも役に立てなら提案した甲斐がありました」
少しどころではない。
周りもそうだが、何より隊員たちの士気が上がっている。
自身の実力を見せつける絶好の機会なのだから。
「ただ一つ忠告があります。賭け事だけは厳しく取締った方がいいです」
「何故だ?」
「そのせいで勝敗を決めることになっては意味がないからです。彼らは彼らの意志を持って戦い勝利しなければ」
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金で勝ち負けを決めるのではなく、全てが彼らの意志と実力で決めなければ意味がない。
忠告通りそのための人員も数に入れ計画を練るのだった。
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