242 / 475
変化
しおりを挟む
そろりそろり。
バレないようジンの背中に隠れながら進む。
「そこまで用心する必要はないんじゃないかな?」
「いえ、油断は禁物です。毎回そうやって拉致されているので」
繋を抱え周りをキョロキョロ見る姿は警戒心の強い猫のようで可愛い。
頼りにされることに何も文句はないので好きにさせているが、そこまで警戒しなければいけないほどあのバカは何をしたんだと考えてしまう。
「確かにあいつの野生の勘は時々恐ろしいものがあるからね。にしても毎回拉致とは……一度じっくり説教してやらないといけないようだね」
「それは後にしましょう。先にご飯を食べてからじゃないと力が出ませんからね」
さすが私の孫だね。よく分かってる。
「……というのは冗談で、先延ばしにすると繋のご機嫌が悪くなっちゃうので」
そう言われエニシの腕の中を見れば、早くしてとばかりに口を尖らせる繋の姿があった。
「みたいだね。ならさっさと行くよ」
隣で見ていたマーガレットも繋の表情に笑いつつレオナルドの部屋に向かうのだった。
レオナルドには事前に連絡はしておいたためすんなりと通された。
「約束のお鍋作ってきましたよ」
「それは楽しみだな」
「「…………」」
まさかのレオナルドの反応にマーガレットと2人顔を合わせて驚いた。
あのレオナルドが、いつも不機嫌顔で中毒とばかりに仕事ばかりしているレオナルドが嬉しそうに笑っている。
今まで食事など仕事の邪魔とばかり言っていたのに。
「あとこの子が娘の繋です。ほら、ちゃんと挨拶できますね?」
「けいです。こんにちは」
「そうか。私はレオナルドと言う。よろしく頼む」
夢……かな?
レオナルドが挨拶したよ?子どもに。
しかもちゃんと膝を曲げ繋の目線に態々合わせて。
マーガレットもかなり衝撃だったようで驚き固まっている。
「ママ、ごはんは?」
だがそんなジンたちをよそに挨拶を終えると支度を始めたエニシを慌てて手伝う。
「今回は魚にしておきました。野菜も沢山入れておいたのでいっぱい食べて下さいね」
「美味そうだな」
ジンたちも初めての料理に戸惑ったが、いざ食べてみればその美味しさに手が止まらないのだった。
「これは本当に美味しいね」
「この貝や魚も邪魔にならずにいい具合だね」
「これアズにぃとったのよ」
すごいでしょとばかりに胸を張る繋がとても可愛い。
自慢のお兄ちゃんなんだということがとてもよく分かる。
「すごいね。とても美味しいよ」
一つの鍋を皆で囲んで食べるということはしたことがなかったが、こうして食べてみるとまるで家族のようなその距離感にとても楽しく、そしてとても美味しかった。
最後にはご飯を入れ、味の染みた柔らかいご飯はサラサラと喉に流れていく。
「………あ、そういえばアル爺呼ぶの忘れてました」
「あんなヤツ呼ばなくていいよ。どうせうるさく騒ぐんだから邪魔にしかならない」
「そうさ。繋だって嫌だろうに。あと一年後ぐらいに誘ってやりな」
かなりのお預けをくらうアルバトロスに同情……はしなかった。
憎たらしい友人より、ジンは可愛い孫たちを選ぶのだった。
それに変にアルバトロスのかたを持って繋やエニシに嫌われたくない。
「あいつはいつもーーん?繋ちゃん?」
いつの間にかエニシの膝から下りた繋が足元まで来ていた。
「ケイね、じーじとばーばがいい」
???
どういうことかとエニシを見れば苦笑いしている。
「アル爺よりお2人の方がいいみたいですよ。2人がいればそれでいいということだと思います」
なにそれ!?可愛いすぎか!!
思わず抱き上げ頬を擦り寄せてしまった。
次は私だと言わんばかりにマーガレットも手を伸ばしてきたので渡してやればギュッと抱きしめていた。
「………君たちは本当に血の繋がりがないのか?」
「残念ながら」
そんなものなくとも君たちは私たちの家族だ!と声を大にして言いたい。
「記念に抱っこしてみますか?」
何の記念だろうか?
どうするのかとレオナルドを見れば眉間に皺を寄せ黙りこ込んでいる。
「ふふっ、噛んだりしませんよ?」
完全に面白がられている。
先日から狼の子を飼い始めたと聞いたが、今までにないレオナルドの変化にジンたちは驚きっぱなしだ。
「………いいだろうか?」
伸ばされた手に驚きエニシを見れば笑って頷かれ、繋を見ればきょとんとしていた。
「繋が可愛いから抱っこしたいんですって」
「いいよー」
二つ返事で頷くとさあ!と言わんばかりに両手を上げていた。
え、大丈夫か?とハラハラと見守っていれば……
「……それは抱っこじゃなくて高い高いです。ちゃんと腕に乗せて…そう、そうです」
脇下辺りを持ち上げたかと思えばそのまま固まってしまったレオナルドにエニシが抱っこの仕方を教えていた。
そのあまりの真剣な顔に声を抑えて笑う。腹筋が痛い。
「君にそっくりだな」
「それは顔ですか?性格ですか?」
「両方だな」
「……それは褒められているんですかね?」
「さぁ、どうだろうな」
これほど親しげに話す2人に驚いたが、レオナルドの顔を見ればそれが良い方向へ向かっているのが分かりマーガレットと2人ホッと胸を撫で下ろすのだった。
バレないようジンの背中に隠れながら進む。
「そこまで用心する必要はないんじゃないかな?」
「いえ、油断は禁物です。毎回そうやって拉致されているので」
繋を抱え周りをキョロキョロ見る姿は警戒心の強い猫のようで可愛い。
頼りにされることに何も文句はないので好きにさせているが、そこまで警戒しなければいけないほどあのバカは何をしたんだと考えてしまう。
「確かにあいつの野生の勘は時々恐ろしいものがあるからね。にしても毎回拉致とは……一度じっくり説教してやらないといけないようだね」
「それは後にしましょう。先にご飯を食べてからじゃないと力が出ませんからね」
さすが私の孫だね。よく分かってる。
「……というのは冗談で、先延ばしにすると繋のご機嫌が悪くなっちゃうので」
そう言われエニシの腕の中を見れば、早くしてとばかりに口を尖らせる繋の姿があった。
「みたいだね。ならさっさと行くよ」
隣で見ていたマーガレットも繋の表情に笑いつつレオナルドの部屋に向かうのだった。
レオナルドには事前に連絡はしておいたためすんなりと通された。
「約束のお鍋作ってきましたよ」
「それは楽しみだな」
「「…………」」
まさかのレオナルドの反応にマーガレットと2人顔を合わせて驚いた。
あのレオナルドが、いつも不機嫌顔で中毒とばかりに仕事ばかりしているレオナルドが嬉しそうに笑っている。
今まで食事など仕事の邪魔とばかり言っていたのに。
「あとこの子が娘の繋です。ほら、ちゃんと挨拶できますね?」
「けいです。こんにちは」
「そうか。私はレオナルドと言う。よろしく頼む」
夢……かな?
レオナルドが挨拶したよ?子どもに。
しかもちゃんと膝を曲げ繋の目線に態々合わせて。
マーガレットもかなり衝撃だったようで驚き固まっている。
「ママ、ごはんは?」
だがそんなジンたちをよそに挨拶を終えると支度を始めたエニシを慌てて手伝う。
「今回は魚にしておきました。野菜も沢山入れておいたのでいっぱい食べて下さいね」
「美味そうだな」
ジンたちも初めての料理に戸惑ったが、いざ食べてみればその美味しさに手が止まらないのだった。
「これは本当に美味しいね」
「この貝や魚も邪魔にならずにいい具合だね」
「これアズにぃとったのよ」
すごいでしょとばかりに胸を張る繋がとても可愛い。
自慢のお兄ちゃんなんだということがとてもよく分かる。
「すごいね。とても美味しいよ」
一つの鍋を皆で囲んで食べるということはしたことがなかったが、こうして食べてみるとまるで家族のようなその距離感にとても楽しく、そしてとても美味しかった。
最後にはご飯を入れ、味の染みた柔らかいご飯はサラサラと喉に流れていく。
「………あ、そういえばアル爺呼ぶの忘れてました」
「あんなヤツ呼ばなくていいよ。どうせうるさく騒ぐんだから邪魔にしかならない」
「そうさ。繋だって嫌だろうに。あと一年後ぐらいに誘ってやりな」
かなりのお預けをくらうアルバトロスに同情……はしなかった。
憎たらしい友人より、ジンは可愛い孫たちを選ぶのだった。
それに変にアルバトロスのかたを持って繋やエニシに嫌われたくない。
「あいつはいつもーーん?繋ちゃん?」
いつの間にかエニシの膝から下りた繋が足元まで来ていた。
「ケイね、じーじとばーばがいい」
???
どういうことかとエニシを見れば苦笑いしている。
「アル爺よりお2人の方がいいみたいですよ。2人がいればそれでいいということだと思います」
なにそれ!?可愛いすぎか!!
思わず抱き上げ頬を擦り寄せてしまった。
次は私だと言わんばかりにマーガレットも手を伸ばしてきたので渡してやればギュッと抱きしめていた。
「………君たちは本当に血の繋がりがないのか?」
「残念ながら」
そんなものなくとも君たちは私たちの家族だ!と声を大にして言いたい。
「記念に抱っこしてみますか?」
何の記念だろうか?
どうするのかとレオナルドを見れば眉間に皺を寄せ黙りこ込んでいる。
「ふふっ、噛んだりしませんよ?」
完全に面白がられている。
先日から狼の子を飼い始めたと聞いたが、今までにないレオナルドの変化にジンたちは驚きっぱなしだ。
「………いいだろうか?」
伸ばされた手に驚きエニシを見れば笑って頷かれ、繋を見ればきょとんとしていた。
「繋が可愛いから抱っこしたいんですって」
「いいよー」
二つ返事で頷くとさあ!と言わんばかりに両手を上げていた。
え、大丈夫か?とハラハラと見守っていれば……
「……それは抱っこじゃなくて高い高いです。ちゃんと腕に乗せて…そう、そうです」
脇下辺りを持ち上げたかと思えばそのまま固まってしまったレオナルドにエニシが抱っこの仕方を教えていた。
そのあまりの真剣な顔に声を抑えて笑う。腹筋が痛い。
「君にそっくりだな」
「それは顔ですか?性格ですか?」
「両方だな」
「……それは褒められているんですかね?」
「さぁ、どうだろうな」
これほど親しげに話す2人に驚いたが、レオナルドの顔を見ればそれが良い方向へ向かっているのが分かりマーガレットと2人ホッと胸を撫で下ろすのだった。
46
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる