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慣れ
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今日も今日とてとても天気のいい日なのだが……
「あの……外に出たいんですけど」
「ダメ!ダメダメダメ!また倒れたらどうすんの!」
たった一度倒れたぐらいでそれは大袈裟過ぎやしないだろうか?
しかも倒れたといっても軽い立ち眩み程度で、意識がなくなったわけでも地面と仲良しになったわけでもない。
「もう大丈夫ですよ。それにこの子だってきっと外の新鮮な空気を吸いたいはずです」
ポンポンと叩いたのは前掛けのように首から下げられた袋。
その中には先日産まれたばかりのルーの子であるドラゴンの卵が入っているのだが、こうして産まれてみればルーも心配が増したようで毎日のように動くなじっとしてて言い縁の後ろを追いかけ回してくる。
「そ、そうかもしれないけど……」
「弱っ」
隣でエルが呆れたように言い合う縁たちを眺めていた。
「お前弱すぎだろ。なんでそう簡単に言い負かされてんだよ」
「だって~。嫌われたくないんだもん」
「いい大人がもんとか言ってんじゃねぇよ」
いい具合にエルと言い争いを始めたので、これは好機とそっと部屋を後にするのだった。
そのまま庭に向かうと楽しそうに走り回っている子どもたちを横目にブランコに乗り揺られる。
「ルーまであんなに過保護になるなんて予想外でした」
あれだけ躊躇っていたのに、いざ産まれてみればやはりルーも心配にならざるを得ないのだろう。
無関心よりはいいのだが、動きまで制限されては縁も辛い。
「確かに安静にしてた方がいいんでしょうけどね」
ルーたちには大丈夫だと言ってはいたが、本当は若干身体が重く怠い日々が続いている。
だがそれもたぶんだが理由には思い当たるため言っていないのだ。
「いっぱい食べて大きくなりなさい」
袋越しに卵を撫でれば、嬉しいとばかりに吸われた魔力に頭がふらついた。
以前にロンが言っていた通り、この卵はこうして直接触れることをしていなくとも常に少量の魔力を吸い取っている。
それだけならば縁も無駄に魔力があるため問題はないのだが、時々まるでご飯の時間とばかりにそれなりの量を持っていかれるのだ。
すぐに回復はするが耐えられずフラついた瞬間をこの前ルーに見られた。
真っ青になりながら駆け寄ってきたルーにすぐ様ベッドに運ばれ、まるで病人のように世話された。
「パパも貴方に会えるのを楽しみに思ってくれているんですよ」
彼も彼なりに頑張ってパパになろうとしているのだ。
ならば少々の怠さなど問題ではなく、一緒に頑張っていきたい。
体調のことをルーに言わないのはあまり心配されたくないというのもあるが、そのことで子どもを産むことを怖がり躊躇って欲しくなかったからだ。
縁とて産むことに不安も痛みもあれど子どもが出来ることも家族が増えることも喜びしかない。
痛い思いをさせたくないと躊躇われるのは縁が望むものではないのだ。
「貴方はどっちに似ますかね?頼もしいパパたちも、優しいお兄ちゃんたちもいますよ。楽しい毎日が待ってます」
きっと戸惑いながらも嬉しそうに子どもを抱っこするルーの姿が目に浮かぶ。
ロンも我が子のように甘やかすだろう。
これほど愛されていることに時々怖くなるが、それも温かいその手で抱きしめられるだけで消えてなくなる。
「私は恵まれてますね」
「何がだ?」
「リル?帰ってきたんですね」
おかえりなさいと言えば、一緒キョトンとしながらもにこやかにただいまと返してくれた。
「長いお出かけでしたね。怪我もないようで安心しました」
彼に敵う敵などそういないと思うが、やはり帰ってきて安全を確認するまで安心は出来なかった。
確かめるようにその巨体を抱きしめれば、頬に触れるふわふわの感触に癒される。
「子はどうなった?」
「元気ですよ。さっきもいっぱいご飯を食べて今は眠っているのか静かです」
「そうか。だが無理はするな。其方の番たちには言っておらぬのだろう?」
従魔契約しているせいか、縁の魔力が時々一気に持っていかれていることにリルは気付いていた。
その原因にもすぐ思い当たったらしく、しかしルーたちに何も言わない縁を責めることはせず無理をするなと心配してくれる。
「ええ。けど立ち眩み程度なので大丈夫ですよ」
「それで転けて卵を落としでもしたらどうする。其方は少々ぬけているところがあるのだから気をつけろ」
フェンリルから見ても縁はぬけていると思われているらしい。
まだそれほど長い付き合いでもないのによく分かっているものだ。
「その時はお願いしますね。リルが頼みです」
「……暫くは我も外出は控えよう」
自分で何とかしろと言わないリルに微笑むと、そのふわふわの毛を久しぶりに堪能するのだった。
「あの……外に出たいんですけど」
「ダメ!ダメダメダメ!また倒れたらどうすんの!」
たった一度倒れたぐらいでそれは大袈裟過ぎやしないだろうか?
しかも倒れたといっても軽い立ち眩み程度で、意識がなくなったわけでも地面と仲良しになったわけでもない。
「もう大丈夫ですよ。それにこの子だってきっと外の新鮮な空気を吸いたいはずです」
ポンポンと叩いたのは前掛けのように首から下げられた袋。
その中には先日産まれたばかりのルーの子であるドラゴンの卵が入っているのだが、こうして産まれてみればルーも心配が増したようで毎日のように動くなじっとしてて言い縁の後ろを追いかけ回してくる。
「そ、そうかもしれないけど……」
「弱っ」
隣でエルが呆れたように言い合う縁たちを眺めていた。
「お前弱すぎだろ。なんでそう簡単に言い負かされてんだよ」
「だって~。嫌われたくないんだもん」
「いい大人がもんとか言ってんじゃねぇよ」
いい具合にエルと言い争いを始めたので、これは好機とそっと部屋を後にするのだった。
そのまま庭に向かうと楽しそうに走り回っている子どもたちを横目にブランコに乗り揺られる。
「ルーまであんなに過保護になるなんて予想外でした」
あれだけ躊躇っていたのに、いざ産まれてみればやはりルーも心配にならざるを得ないのだろう。
無関心よりはいいのだが、動きまで制限されては縁も辛い。
「確かに安静にしてた方がいいんでしょうけどね」
ルーたちには大丈夫だと言ってはいたが、本当は若干身体が重く怠い日々が続いている。
だがそれもたぶんだが理由には思い当たるため言っていないのだ。
「いっぱい食べて大きくなりなさい」
袋越しに卵を撫でれば、嬉しいとばかりに吸われた魔力に頭がふらついた。
以前にロンが言っていた通り、この卵はこうして直接触れることをしていなくとも常に少量の魔力を吸い取っている。
それだけならば縁も無駄に魔力があるため問題はないのだが、時々まるでご飯の時間とばかりにそれなりの量を持っていかれるのだ。
すぐに回復はするが耐えられずフラついた瞬間をこの前ルーに見られた。
真っ青になりながら駆け寄ってきたルーにすぐ様ベッドに運ばれ、まるで病人のように世話された。
「パパも貴方に会えるのを楽しみに思ってくれているんですよ」
彼も彼なりに頑張ってパパになろうとしているのだ。
ならば少々の怠さなど問題ではなく、一緒に頑張っていきたい。
体調のことをルーに言わないのはあまり心配されたくないというのもあるが、そのことで子どもを産むことを怖がり躊躇って欲しくなかったからだ。
縁とて産むことに不安も痛みもあれど子どもが出来ることも家族が増えることも喜びしかない。
痛い思いをさせたくないと躊躇われるのは縁が望むものではないのだ。
「貴方はどっちに似ますかね?頼もしいパパたちも、優しいお兄ちゃんたちもいますよ。楽しい毎日が待ってます」
きっと戸惑いながらも嬉しそうに子どもを抱っこするルーの姿が目に浮かぶ。
ロンも我が子のように甘やかすだろう。
これほど愛されていることに時々怖くなるが、それも温かいその手で抱きしめられるだけで消えてなくなる。
「私は恵まれてますね」
「何がだ?」
「リル?帰ってきたんですね」
おかえりなさいと言えば、一緒キョトンとしながらもにこやかにただいまと返してくれた。
「長いお出かけでしたね。怪我もないようで安心しました」
彼に敵う敵などそういないと思うが、やはり帰ってきて安全を確認するまで安心は出来なかった。
確かめるようにその巨体を抱きしめれば、頬に触れるふわふわの感触に癒される。
「子はどうなった?」
「元気ですよ。さっきもいっぱいご飯を食べて今は眠っているのか静かです」
「そうか。だが無理はするな。其方の番たちには言っておらぬのだろう?」
従魔契約しているせいか、縁の魔力が時々一気に持っていかれていることにリルは気付いていた。
その原因にもすぐ思い当たったらしく、しかしルーたちに何も言わない縁を責めることはせず無理をするなと心配してくれる。
「ええ。けど立ち眩み程度なので大丈夫ですよ」
「それで転けて卵を落としでもしたらどうする。其方は少々ぬけているところがあるのだから気をつけろ」
フェンリルから見ても縁はぬけていると思われているらしい。
まだそれほど長い付き合いでもないのによく分かっているものだ。
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「……暫くは我も外出は控えよう」
自分で何とかしろと言わないリルに微笑むと、そのふわふわの毛を久しぶりに堪能するのだった。
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