二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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感謝を貴方に

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 子どもたちを見ている内に眠ってしまったのだろう。
 気持ち良さそうにブランコに寄りかかり寝る姿はいくら見ていても見飽きることはない。
 この美しい人が自分の番かと思うと胸がいっぱいになる。
 怒られたことは多々あれど殆どが自分の行いのせいであるため苛立ったことなどなく、ちゃんと出来ないことがあっても頑張ってくれてありがとうと言ってくれるため次こそは頑張ろうと思える。

 「オレもっと頑張るから」

 ジークたちのようにガッシリとした体格ではない。
 ロンのように気を遣えるわけではない。
 エニシのように全てを受け入れられる器でもない。
 全てにおいて皆に劣っている自分だが、彼を想う気持ちだけは誰にも負けていないはずだ。
 
 「ありがとう。そばにいさせてくれて」

 本来なら自分は番になるどころか、近寄ることすら許してもらえなかっただろう。
 殆ど自分の我儘と粘り強さにエニシが根負けしたというのが正しい。
 それでも今はこうして誰よりそばでその寝顔を見られているのだがら頑張ってよかったと心から思えた。

 「ありがとう。子どもを産んでくれて」

 それこそ最初はその容姿と子どもを身籠れる体質に近づいたが、彼を知るにつれ離したくなくなり、自分のものにしたいと思った。
 産めないかもしれないと分かっても離れたくないと思った瞬間分かった。
 彼に惹かれているのだと。
 彼がいればそれだけでいいのだと。
 彼の存在が自分が生きてきた理由だったんだと。

 「ありがとう。オレを好きになってくれて」

 そばにいられればそれでいいと思っていた。
 それでも受け入れ大好きだと言われた時は泣きたいくらい嬉しくて、彼を絶対離しはしないと誓った。
 子どもまで出来たとなればもう何も怖くない。
 …………エニシに嫌われること以外は。

 「好き。大好き」

 他に伝え方は分からないが、自分が出来る中で精一杯愛を伝えていきたい。
 
 「子どもはエニシに似ててほしいなぁ。オレに似ちゃったら自分の子だって分かってても嫉妬しちゃいそう」

 大人気ないと分かっていても、その人は自分のだと言いたくなってしまうかもしれない。
 内面も含めエニシに似ることを切に願う。

 「エニシはそんなことないって笑ってたけどさ、オレはエニシほど綺麗な人見たことなかったよ」

 以前彼に聞いたことがあった。
 どうしたらエニシみたいに綺麗になれるの?と。
 それはその容姿のことだけでなく、性格であり内面のこと。
 一瞬きょとんとした後声を上げて笑われた時は何か変なことを聞いただろうかと首を傾げたものだ。

 「そんなことありませんよ。ルーにはどう見えているかは分かりませんが、私はそんなお綺麗な人間じゃないですよ」

 逆に怠け者の面倒くさがりだと言われ驚いた。

 「本来の性格は、ね。私だってやらなくちゃいけないと分かっていてもやりたくないと思うことだってそりゃありますよ。けどそうもいかない時だってあるでしょ?だからやってるだけで出来るならやりたくないこともそれなりにあります」

 何を頼まれても笑顔で引き受けている印象しかなかった。
 
 「あとは子どもたちの手前下手な行動は出来ませんからね。それに私は結構偏った性格ですから綺麗なんてとてもじゃありませんが言えません」

 意味が分からず聞けば、くすくすと笑いながらも教えてくれた。

 「だって私は自分が気になる人、気に入った人にしか優しくしようとは思いませんから。自分の手の届く範囲までしかしようとは思わない」

 無限に、誰にでも分け隔てなく優しく接するなど無理だと言われた。
 
 「私にも合う合わない、好き嫌いぐらいありますよ。今まで出会ってきた多くの人の中で、今も付き合いがある人たちが私の許せる範囲の人たちなんです。彼らは私に何かを強要する人たちではないですから」

 自分を縛っていいのは家族だけだと言うエニシはとても笑顔だった。
 いくら仲が良いと言っても、エニシの中で優先されるのは自分たち家族だと言われ嬉しかった。

 「何があってもそれは変わりません。それこそ皆がルーを嫌ったとしても。ね?偏っているでしょ?」

 全てを受け入れているとはとんでもないと笑う姿に、またエニシの新たな一面を見た気がした。
 
 「人それぞれ考え方が違いますからね。ルーがそう言ってくれたのは嬉しいですよ。私の行動がルーには合っていたということでしょう」

 にこやかにそう言い頬に触れられた手は自分が知る他の誰より温かいのであった。

 「エニシ言ってたよね。人それぞれだって。色んなエニシをこれから知っていったとしてもオレはきっと変わらないよ。オレの中のエニシはずっと綺麗なまま変わらない」

 自分を受け入れてくれた彼が綺麗ではないわけがない。
 これだけ惹かれて止まないのも、愛しく思えるのもこの世界でただ1人彼だけなのだから。

 「愛してる。オレの番」

 起こさないようそっとその寝顔にキスを贈るのだった。
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