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叶うなら
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泣き声が聞こえた。
誰の声かは分からない。
繋ではない。真と愛依でもない。
だがまるで呼ばれているような気がし足を向けた。
「どうしました?迷子になってしまいましたか?」
蹲り泣く幼子の姿に迷子かもしれないと驚かせないようソッとどうしたのかと声をかければ、ふいに上げた顔に見覚えがあった。
「……ルー?」
「ーーママっ!」
そう呼び飛びついてきたのは、まるでルーを小さくしたような姿。
「ママ、ママ、ママっ」
「ルー?その姿はどうしーー」
何でそんな姿になっているのだと慌てて尋ねようとし、しかし合わせたその瞳が自分と同じ色なのに気付いた。
ずっと変だなとは思っていた。
先程目を覚ましてから誰にも会わず、自分とこの子の声しか初めから聞こえていなかった。
「随分ルーに似たようですね。瞳の色は私ですけど」
その容姿も、縁に抱きつき甘える姿もパパであるルーにかなり似ていた。
ああこれは自分の子なのだと実感すると、愛しさから縋り付いてくるその小さな身体を抱き上げギュッと抱きしめる。
「寂しくて呼んでいたんですね。大丈夫、ここにいますよ」
「ママ……」
何故、どうしてと疑問は浮かぶが寂しいと泣く我が子の姿に大丈夫だからと言い抱きしめてやる。
「本当にそっくりですね。みんなもきっと驚きますよ」
「ママいっしょ」
ここまでパパに似るのは初めてかもしれないと逆に嬉しくなってくる。
縁に似ている繋たちが嫌なわけではないが、どうせなら自分ではなく好きな人たちの姿に似てほしいという想いもあったのだ。
「泣き顔もそっくり。可愛い」
ルーの小さい時もこんな感じだったのかと感慨深い。
これはロンもさぞかし可愛いがっただろうと可笑しくなってくる。
そのせいであれほど変な性格になったのかもしれないが。
「外で会えるのが楽しみですね。待ってますからゆっくり大きくなりなさい。ママはずっとそばにいますよ。分かるでしょ?」
「うん」
まさか産まれる前に会えるとは思っていなかったが、おかげで会える楽しみも増した。
卵から孵るのは早くて1年ほどとロンには聞いていたのでその日が待ち遠しい。
「大きくなって今度はドラゴンの姿も見せて下さいね。パパもカッコいいドラゴンなので楽しみです」
ちょくちょく乗せてもらってはいるが、髪色と同じで赤い鱗はとても綺麗でカッコいい。
これほど似ているならばさぞかしカッコよくなるだろう。
「大好きですよ。そばにいますからね」
薄れゆく意識に別れが近いのが分かると、最後に腕に力を込め安心させるように背を撫でる。
これ以上寂しくならないように願いながら額にキスを贈るのだった。
「おはよう。まだ寝ててもいいよ」
目が覚め、今度は現実かと分かったのはあの子とは違い大人びたその表情を見たからだった。
「本当にそっくり」
「ん?何が?」
「何でもありません。それより長いこと寝てしまってたみたいですね。そろそろご飯の準備をしないと」
すでに陽が傾き見える景色は夕方ぐらいだろう。
元気に遊び回っていた子どもたちのためにもご飯を作らなければと立ち上がる。
「オレも手伝う!」
「ありがとう。なら一緒に作りましょう」
ルーから手伝いたいと言うのは珍しいなと思いながらも頑張ろうとしてくれているのだろうと感謝する。
「ルーは自分似がいいですか?それとも私に似た子がいいですか?」
結果は分かっていてもどうだろうと歩きながら聞いてみれば即縁似がいいと言われた。
それは残念と笑いながらも、縁はルーに似ていたことが嬉しかった。
「小さいドラゴンというのも私は見てみたいですけどね」
「え~、オレに似てもきっと可愛くないよ」
十分可愛らしかった。
ドラゴン姿も楽しみである。
「オレと同じ顔がエニシにくっついてるなんてやだ」
私はとても楽しいです。
やだと言いながらもきっと産まれれば喜び可愛がるだろう。
似ているからこそ自分の子なんだと尚更実感してくれるかもしれない。
「ルーのお母様たちにも会ってみたかったです」
「エニシなら母さんとも気が合ったかも。いや、可愛がられたかな。オレも兄貴もゴツ過ぎる!可愛くない!ってよく言われてたから」
「…………」
予想外な母親だった。
ドラゴンは元々体格のいい者ばかりだったらしく、可愛いらしい子が欲しいと嘆いていたらしい。
確かに今日あった我が子は可愛かったが、成長し今のルーのようになるのかと思えば可愛いとは言い難い。
「きっと生きてたら泣いて喜んでたよ」
………それは素直に喜んでいいのだろうか?
この兄弟もよく分からないと思っていたが、やはり母親もそれなりに変わっていたらしい。
女の子ならまだしも男であるルーたちに可愛さを求めるとは。
「……寂しいですか?」
「オレ?うーん……今はもう寂しくない、かな。だってみんながいるもん」
両親が亡くなり、大勢の仲間が死に悲しくなかったわけがない。
あれほど子を求めていたのもその穴を埋めようとしてのことだろう。
だが今はもう縁がいる。
ロンがいる、アレンたちがいる、繋たちもいる。
だからもう寂しくないと笑うルーに縁も微笑むのだった。
誰の声かは分からない。
繋ではない。真と愛依でもない。
だがまるで呼ばれているような気がし足を向けた。
「どうしました?迷子になってしまいましたか?」
蹲り泣く幼子の姿に迷子かもしれないと驚かせないようソッとどうしたのかと声をかければ、ふいに上げた顔に見覚えがあった。
「……ルー?」
「ーーママっ!」
そう呼び飛びついてきたのは、まるでルーを小さくしたような姿。
「ママ、ママ、ママっ」
「ルー?その姿はどうしーー」
何でそんな姿になっているのだと慌てて尋ねようとし、しかし合わせたその瞳が自分と同じ色なのに気付いた。
ずっと変だなとは思っていた。
先程目を覚ましてから誰にも会わず、自分とこの子の声しか初めから聞こえていなかった。
「随分ルーに似たようですね。瞳の色は私ですけど」
その容姿も、縁に抱きつき甘える姿もパパであるルーにかなり似ていた。
ああこれは自分の子なのだと実感すると、愛しさから縋り付いてくるその小さな身体を抱き上げギュッと抱きしめる。
「寂しくて呼んでいたんですね。大丈夫、ここにいますよ」
「ママ……」
何故、どうしてと疑問は浮かぶが寂しいと泣く我が子の姿に大丈夫だからと言い抱きしめてやる。
「本当にそっくりですね。みんなもきっと驚きますよ」
「ママいっしょ」
ここまでパパに似るのは初めてかもしれないと逆に嬉しくなってくる。
縁に似ている繋たちが嫌なわけではないが、どうせなら自分ではなく好きな人たちの姿に似てほしいという想いもあったのだ。
「泣き顔もそっくり。可愛い」
ルーの小さい時もこんな感じだったのかと感慨深い。
これはロンもさぞかし可愛いがっただろうと可笑しくなってくる。
そのせいであれほど変な性格になったのかもしれないが。
「外で会えるのが楽しみですね。待ってますからゆっくり大きくなりなさい。ママはずっとそばにいますよ。分かるでしょ?」
「うん」
まさか産まれる前に会えるとは思っていなかったが、おかげで会える楽しみも増した。
卵から孵るのは早くて1年ほどとロンには聞いていたのでその日が待ち遠しい。
「大きくなって今度はドラゴンの姿も見せて下さいね。パパもカッコいいドラゴンなので楽しみです」
ちょくちょく乗せてもらってはいるが、髪色と同じで赤い鱗はとても綺麗でカッコいい。
これほど似ているならばさぞかしカッコよくなるだろう。
「大好きですよ。そばにいますからね」
薄れゆく意識に別れが近いのが分かると、最後に腕に力を込め安心させるように背を撫でる。
これ以上寂しくならないように願いながら額にキスを贈るのだった。
「おはよう。まだ寝ててもいいよ」
目が覚め、今度は現実かと分かったのはあの子とは違い大人びたその表情を見たからだった。
「本当にそっくり」
「ん?何が?」
「何でもありません。それより長いこと寝てしまってたみたいですね。そろそろご飯の準備をしないと」
すでに陽が傾き見える景色は夕方ぐらいだろう。
元気に遊び回っていた子どもたちのためにもご飯を作らなければと立ち上がる。
「オレも手伝う!」
「ありがとう。なら一緒に作りましょう」
ルーから手伝いたいと言うのは珍しいなと思いながらも頑張ろうとしてくれているのだろうと感謝する。
「ルーは自分似がいいですか?それとも私に似た子がいいですか?」
結果は分かっていてもどうだろうと歩きながら聞いてみれば即縁似がいいと言われた。
それは残念と笑いながらも、縁はルーに似ていたことが嬉しかった。
「小さいドラゴンというのも私は見てみたいですけどね」
「え~、オレに似てもきっと可愛くないよ」
十分可愛らしかった。
ドラゴン姿も楽しみである。
「オレと同じ顔がエニシにくっついてるなんてやだ」
私はとても楽しいです。
やだと言いながらもきっと産まれれば喜び可愛がるだろう。
似ているからこそ自分の子なんだと尚更実感してくれるかもしれない。
「ルーのお母様たちにも会ってみたかったです」
「エニシなら母さんとも気が合ったかも。いや、可愛がられたかな。オレも兄貴もゴツ過ぎる!可愛くない!ってよく言われてたから」
「…………」
予想外な母親だった。
ドラゴンは元々体格のいい者ばかりだったらしく、可愛いらしい子が欲しいと嘆いていたらしい。
確かに今日あった我が子は可愛かったが、成長し今のルーのようになるのかと思えば可愛いとは言い難い。
「きっと生きてたら泣いて喜んでたよ」
………それは素直に喜んでいいのだろうか?
この兄弟もよく分からないと思っていたが、やはり母親もそれなりに変わっていたらしい。
女の子ならまだしも男であるルーたちに可愛さを求めるとは。
「……寂しいですか?」
「オレ?うーん……今はもう寂しくない、かな。だってみんながいるもん」
両親が亡くなり、大勢の仲間が死に悲しくなかったわけがない。
あれほど子を求めていたのもその穴を埋めようとしてのことだろう。
だが今はもう縁がいる。
ロンがいる、アレンたちがいる、繋たちもいる。
だからもう寂しくないと笑うルーに縁も微笑むのだった。
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