二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
277 / 475

新たに

しおりを挟む
 「ドラゴンの卵なんて初めて見たよ」

 「ですよね。私もこれが初めてです」

 なんてことないようにエニシは言っているが、その卵を産んだ本人の落ち着きように逆に驚く。
 ルーの子を産んだと聞いたのはつい数日前。
 その前に何度か会っていたがそんな素振りも見せていなかったので驚き、いつの間に!?と思ったが彼にも予想外だったらしい。
 人とは違い腹の外で育てるのだと聞き、そういえばアイツはドラゴンだったかとその時思い出した。

 「意外に小さいんだね」

 あの巨体からして卵もさぞかしデカいのかと思っていたが、いざ見てみれば両手の平に収まるほどの大きさだった。

 「これでも大きくなったんですよ。最初は鶏の玉子ほどでした」

 そう言われればかなり成長しているのだろう……が

 「………殻がどうやったら成長するんだい?」
 
 中身が成長するのならば分かるが、卵の殻ごと大きくなるなど初めて聞いた。
 どういうことだと聞いてみれば、暫く悩んだ後可愛いらしい笑顔で分かりませんとあっさり言われた。
 仕方がないので許した。

 「時々子どもたちとお昼寝するんですけど、起きたら卵に抱きついて寝てるんですよ。とても可愛かったです」

 それは是非とも見たかったっ!!
 卵のことには驚いたが、体調にも問題もないようでよかったと一安心ーー

 「そんなっ!そんな貴重な瞬間に立ち会えなかっただなんて!」

 「………繋が驚くだろ。騒ぐんじゃないよ」

 ジンの突然の叫びに膝に乗る繋がきょとんとしていたが、大丈夫だと言ってやれば再びオヤツを食べ始めていた。
 騒ぐのは勝手だが孫たちの邪魔だけは許さない。

 「ご、ごめん。……けど私も見たかったなぁ」

 見られるものならマーガレットも見てみたいと思うが、そのために今から昼寝しろとは流石に言えない。
 
 「まぁ、また機会があったら。それでククルさんの方はどうですか?」

 「それなんだが……」

 今回エニシを呼び出したのは卵のこともそうだが、以前話したミソの販売についての話しもあったからだ。

 「ククルに聞いた話しどうにも芳しくないらしい。全くとは言わないが……やはり見た目がね。食べてみれば分かるとは思うんだが、珍しい調味料に手を出すのは誰でも難しくはあるだろうね」

 食べたことがあるマーガレットたちはその美味しさを知ってはいるが、知らぬ者には未知の食材だろう。

 「そうですか………あの、これからククルさんに会うことは出来ますか?」

 何か案があるのかもしれないと言われるまま連絡をとり呼び出せば30分たたずして駆け込んできたククルに皆が驚いた。

 「神からのお呼び出しと聞き急ぎ参上いたしました!お久しぶりです!」

 「「…………」」

 「お忙しい中ありがとうございます。その節はお世話になりました」

 ククルの奇行にも驚いたが、そのククルを気にすることなく普通に話しかけるエニシにもジンと2人驚いた。
 この子はどうすれば驚くのか。
 その内見られるだろうと自分を納得させながらも、これからのことについて話し合っていく。

 「ククルさんは飲食店は経営されていたりはしませんか?」

 「してないですね。私は専ら売る方を主にしてますので」

 「そうですか。なら小さくていいのでお店の中で試食出来るような場所を作ることは可能でしょうか?」

 「「「試食?」」」

 どういうことかと聞けば買う前にその味を知ってもらい購入意欲を上げてはどうかと言うことらしい。

 「けどそれで買ってもらえるかなんて保証出来ないんじゃないかい?食べてそれで終わりにでもなったら赤字にしかならないよ」

 マーガレットもジンと同じ意見だと頷く。

 「さっき言ってましたよね。知らないからこそ手が出ないと。ならば少量でも食べて味を知ってもらい、その時に一緒に調理方法も教えれば問題はないかと。最初こそ利益は出ないかもしれませんが波に乗れば元はとれると思います」

 確かにそれならいけるかもしれない。
 日によって調理法も変えればより効果的だと言うエニシに、ククルも真剣な顔で考え込んでいる。
 マーガレットたちは良い案だと思うが、商売に関しては知識がないため彼の意見を聞くしかない。

 「価格はそれなりにしているのですがそれでもですか?」

 「高いということであれば高過ぎなければ問題ないかと。基本味噌はそのままではなく薄めて使うことが多いのでそれほど早く消費することはないでしょう。保存方法なども教えば買う方も安心出来ると思います」

 味、調理法、保存方法。
 ある意味新しい商売方法だが客として見るなら有り難く大賛成だ。
 
 「………ふふ、ふふふ……はははははははっ」

 急に笑い出したククルに嫌な予感がし、サッとエニシを引き寄せ背に隠せば数秒前までエニシがいた場所にククルが倒れていた。
 やはり感動のあまり抱きつこうとしていたのだろう。

 「ーーなぜ邪魔するんですかっ!この感動を今伝えずいつ伝えろと!」

 「一生伝えなくていいよ」

 バネでも入っているんじゃないかというほど勢いよく跳ね起きてきたククルに恐怖しかない。
 しかしこれならば大丈夫そうだとホッと息をつくのだった。
 
 
 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...