二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
283 / 475

聞いたことない

しおりを挟む
 「ルイお前どうした!?」

 突如現れた自分の弟はいつの間にやら小さくなっていた。
 驚きに確かめるように頭や顔に触れるが、本人に自覚はないのかブンブンと首を振られた。

 「なんだ?何か変な魔法にでもかかったのか?お前のことだ、いつか何かやらかすとは思ってたんだ」

 「オレどんだけ信用ないの?」

 「信用を得られるほどの何かをお前がしたことがーーーん?」

 きょとんとこちらを見上げてくる小さな弟が声を発した様子はない。
 ならば誰がと後ろを振り向けばーー

 「………随分成長が早いな」

 「いや、オレ縮んでないからね。慌てんの分かるけどよく見てよ」

 珍しくも自分より落ち着いている弟の姿に冷静になった。
 
 「ほんとそっくりだね。でも目はエニシだ。嬉しい」

 今まで見たことがないほど穏やかに子どもの頭を撫でる弟の姿に、漸く縮んだと思っていた弟がエニシとの子なのだと理解した。
 なんでそんなに落ち着いているんだとか、なんでそう簡単に受け入れられるんだとか突っ込みたいとことは多々あるが嬉しそうに微笑む弟はとても幸せそうで言えなかった。

 「言ってた通りだな。間違いなくお前の子だ」

 誰がどう見ても彼の子だと自信を持って言えるだろう。
 ちがうところがあるとすれば、その瞳の色が母親であるエニシに似たところぐらいだろう。

 「パパあそぼ」

 「いいよ」

 にこりと笑った子どもはパパと呼ぶとルイの手を引く。

 「おーちゃんも」

 「お、おーちゃん?俺、のことか?」

 差し出された小さな手は明らかに自分に向けられているが、おーちゃんと呼ばれる意味が分からなかった。

 「おじちゃんだからおーちゃんなんじゃない?でしょ?」

 「おーちゃんいこ」

 そう!と頷き握られた手は思ったより温かく、そしてとても小さかった。
 謎の発想にああ本当にこの子はルイの子なんだなと実感した。
 機嫌がいいのかフフフフフ~ン♪と鼻歌を歌う子どもに手を引かれながらも待っていたエニシの元に向かえば、これまた楽しそうに笑う表情にどうやら先程までの会話を聞かれていたらしいと恥ずかしくなった。

 「言った通りだったでしょ?」

 「……ああ」

 まんまと罠にハマってしまったような複雑な心境だった。

 「慌ててる兄貴面白かった」

 余計なことは言わなくていい。

 「誰だって驚くだろこれは!」

 「ええ。私も初めて見た時はロンとそう変わりない反応をしてしまいました」

 あっさり肯定されてしまえばこれ以上怒るにも怒れない。
 それから皆で追いかけっこをし遊ぶと、先に疲れて休んでいたエニシの隣にロンも腰かける。

 「可愛いでしょ?」

 「中身までアイツに似てくれなければいいがな」

 突然のおーちゃん呼びにその兆しはあったが。
 可愛いか可愛くないか聞かれれば勿論可愛いのだが、それではルイのことを可愛いとも言っているようで恥ずかしく素直に言えなかった。

 「ーー前に弟のことを頼むとロンは言っていましたね。私が生きている限り頑張ります。なのでロンにはあの子のことをお願いできますか?」

 なにやら不穏な言い方に聞こえ、何かあったのかと聞けば何もないと笑われた。

 「私が産みましたけど私は人間なのであの子の苦労を、竜族である貴方たちの苦労を全てを分かってあげることはできません。だからこそロンやルーにそこを支えてあげてほしいんです」

 「………当たり前だ」

 今こうして触れあえてはいるが、実際卵が孵化しあの子に会えるのはもう少し先だ。
 産まれてみないことには分からないが、今この瞬間のことも記憶に残っているかは分からない。
 分からないことがあるならば、自分が何かあの子にしてやれることがあるのだとすれば喜んで手を貸そう。

 「ありがとな」

 「ん?」

 ずっと言えなかった言葉。

 「ありがとう、ルイを番にしてくれて。ありがとう、ルイの子を産んでくれて。ありがとう………家族になってくれて」

 両親が仲間が生き絶えていく中、弟と2人不安がなかったと言えば嘘になる。
 長男として、ルイの兄貴としてしっかりしなければと頑張ってきたが、何をするのにも空回りばかりで上手くいかなかった。
 そんな中エニシに出会い、ルイが番になり、その上子まで授かった。
 もう感謝しかない。
 懐かしくも新しい家族にルイ以上にロンも嬉しかった。

 「こちらこそ。ロンにはいつも子どもたちがお世話になってますからね。この前は一緒に追いかけっこをしてもらったと真と愛依が喜んでました」

 あの双子は獣人だけあって体力が有り余るほどある。
 そんな2人に人間であるエニシがついていけるはずもなく、その代わり付き合わされるのが父親であるジークやエルにロンだったりする。

 「あの子はルーの子です」

 「?、そうだな」

 何を当たり前のことを言うのかと首を傾げる。

 「で、ルーにそっくりだと言いましたけどそれってロンにも似てるってことでもあるんですよ。ふとした時にああこの2人兄弟なんだなって2人を見ていて思うことがありますから」

 「………」

 「可愛さが増すでしょ?」

 ふふふと楽しそうに笑うエニシに恥ずかしくも嬉しく感じてしまうのだった。

 

 
 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...