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お気になさらず
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「あ、あのっ!」
「はい?………ああ、お久しぶりです」
いつも通りギルドに向かうため町を歩いていれば、呼び止められ振り向いた。
見れば以前暴漢たちから助けた少女が歩いてきていた。
「あの……以前は助けていただき本当にありがとうございました!貴方のおかげで軽い怪我だけで済んで、もっと早くお礼を言いたかったのですが……」
「いいえ。当たり前のことをしたまでです。元気なようで安心しました」
下手に関わり彼女がまた男たちのことを思い出しては可哀想だろうと名前も何も聞かずにあの時は別れたのだ。
あれからどうなったか気にはなっていたが、マーガレットたちが何も言わないことから無事だろうとは思っていた。
「今日はお買い物ですか?素敵なワンピースですね。貴方にとてもお似合いです」
「あ……ありがとうございます」
可愛らしい黄色のワンピースは恥ずかしそうに照れる少女にとても似合っている。
だが話しを聞けば買い物に来ていたわけではなく、縁をずっと探してくれていたらしく何か問題でもあったのかと心配になった。
「もしかしてまだどこかに怪我を?すいません、うちの子が全て治したかと思ってたんですがーー」
「いえっ、ちがいます!怪我はあの女の子が治してくれました。まるで初めから怪我なんてなかったみたいに。本当にありがとうございました」
ならば良かったと安心したが、話すのに女性をいつまでも立たせておくのは申し訳ないだろうと近くの店に入ろうとし……
「ここら辺は貴方には少し向かないかもしれませんね。どうしましょうか」
貴族である彼女を町中の店に入れるには少々気が引けた。
どうしようかと迷っていれば知り合いがやっているという喫茶店まで案内してくれるという。
明らかに敷居が高そうな店構えに若干不安になった。
金銭的なものではなくテーブルマナーを。
お紅茶のお上品な飲み方など自分に出来ただろうか?
「あの?どうされました?」
「いえ。素敵なお店ですね」
不思議そうな少女に笑って誤魔化し、なるようにしかならないかと開き直ると店に入る。
「あの、先程も申しましたが以前は助けていただき本当にありがとうございました」
丁寧に頭を下げてお礼を言われたが、縁的には当たり前のことしかしていないためそこまで言われては何とも気まずい。
どうか気にしないでほしいと言うが、何やら興奮しているのか何かお礼がしたいと少女に言われ戸惑う。
「本当にお気になさらず。貴方が無事だったことが何よりです」
「いえ!是非お礼を!両親も礼をしたいと申しておりましたので良ければ一度我が家にーーー」
「そこまで仰っていただけて嬉しいですが本当にお気になさらず」
貴族の屋敷など心臓に悪い。
庶民を自負する縁はのんびりまったり暮らして生きたいのだ。
だがそんな縁の想いとは裏腹に是非にと薦めてくる少女にどうしたものかと悩む。
何か提案しない限り少女は引かないだろう。
「………では一つお願いをしても構いませんか?」
「喜んで!」
貴族のお嬢様がそんな居酒屋の店員みたいな返事でいいのだろうか?
「では申し訳ないのですがもしお知り合いの方に鍛冶屋の方がいれば紹介していただきたいのですが」
「…………え?鍛冶屋、ですか?」
予想外の言葉だったのだろう。
きょとんと何を言われたか分からないという表情だ。
「作ってほしいものがありまして。数も必要なため腕のいい方を探していたのですが、もし宜しければ教えていただけませんか?」
鍋もそうだが、網や包丁など作ってほしいものはたくさんある。
とくに急いでもいなかったためまた今度でいいかと後回しにしていたのだが、良い機会かもとお願いしてみた。
「………本当にそんなことで宜しいのですか?」
「はい。教えていただければとても嬉しいです」
彼女にはそんなことかもしれないが、縁には必要なものであり悩んでいたことなので手を貸してもらえるのであればとても助かる。
お願い出来ないかと頼んでみれば、何やら複雑そうな表情ではあったが後日紹介してもらえることになった。
縁は場所さえ教えてもらえればあとは自分で行くと言ったのだが、何故か少女は納得してくれず一緒に行くと言って聞かなかったのだ。
少女が見て楽しいものでもないと思うのだが。
来週紹介してもらえることになり、約束した少女は嬉しそうに帰っていった。
「そんなに鍛冶屋に興味があったんですかね?彼女」
「…………うん。エニシはそのままでいてね」
「はい?」
それまで黙って隣で話しを聞いていたエルだったが、呆れたように縁を見てくる。
何のことだと聞いてはみたが何でもないとしか言われず結局何かは分からないのだった。
「お刺身も夢ではなくなったかも」
やはり刺身ならば切れ味のいい包丁でなければならない。
こちらでは包丁といってもナイフなようなもので、切るというより千切るという感じがして刺身をするにも無理があったのだ。
「オレは美味いなら何でもいい」
「それが一番難しいんですよ」
家族のためにも頑張ろうと思う縁であった。
「はい?………ああ、お久しぶりです」
いつも通りギルドに向かうため町を歩いていれば、呼び止められ振り向いた。
見れば以前暴漢たちから助けた少女が歩いてきていた。
「あの……以前は助けていただき本当にありがとうございました!貴方のおかげで軽い怪我だけで済んで、もっと早くお礼を言いたかったのですが……」
「いいえ。当たり前のことをしたまでです。元気なようで安心しました」
下手に関わり彼女がまた男たちのことを思い出しては可哀想だろうと名前も何も聞かずにあの時は別れたのだ。
あれからどうなったか気にはなっていたが、マーガレットたちが何も言わないことから無事だろうとは思っていた。
「今日はお買い物ですか?素敵なワンピースですね。貴方にとてもお似合いです」
「あ……ありがとうございます」
可愛らしい黄色のワンピースは恥ずかしそうに照れる少女にとても似合っている。
だが話しを聞けば買い物に来ていたわけではなく、縁をずっと探してくれていたらしく何か問題でもあったのかと心配になった。
「もしかしてまだどこかに怪我を?すいません、うちの子が全て治したかと思ってたんですがーー」
「いえっ、ちがいます!怪我はあの女の子が治してくれました。まるで初めから怪我なんてなかったみたいに。本当にありがとうございました」
ならば良かったと安心したが、話すのに女性をいつまでも立たせておくのは申し訳ないだろうと近くの店に入ろうとし……
「ここら辺は貴方には少し向かないかもしれませんね。どうしましょうか」
貴族である彼女を町中の店に入れるには少々気が引けた。
どうしようかと迷っていれば知り合いがやっているという喫茶店まで案内してくれるという。
明らかに敷居が高そうな店構えに若干不安になった。
金銭的なものではなくテーブルマナーを。
お紅茶のお上品な飲み方など自分に出来ただろうか?
「あの?どうされました?」
「いえ。素敵なお店ですね」
不思議そうな少女に笑って誤魔化し、なるようにしかならないかと開き直ると店に入る。
「あの、先程も申しましたが以前は助けていただき本当にありがとうございました」
丁寧に頭を下げてお礼を言われたが、縁的には当たり前のことしかしていないためそこまで言われては何とも気まずい。
どうか気にしないでほしいと言うが、何やら興奮しているのか何かお礼がしたいと少女に言われ戸惑う。
「本当にお気になさらず。貴方が無事だったことが何よりです」
「いえ!是非お礼を!両親も礼をしたいと申しておりましたので良ければ一度我が家にーーー」
「そこまで仰っていただけて嬉しいですが本当にお気になさらず」
貴族の屋敷など心臓に悪い。
庶民を自負する縁はのんびりまったり暮らして生きたいのだ。
だがそんな縁の想いとは裏腹に是非にと薦めてくる少女にどうしたものかと悩む。
何か提案しない限り少女は引かないだろう。
「………では一つお願いをしても構いませんか?」
「喜んで!」
貴族のお嬢様がそんな居酒屋の店員みたいな返事でいいのだろうか?
「では申し訳ないのですがもしお知り合いの方に鍛冶屋の方がいれば紹介していただきたいのですが」
「…………え?鍛冶屋、ですか?」
予想外の言葉だったのだろう。
きょとんと何を言われたか分からないという表情だ。
「作ってほしいものがありまして。数も必要なため腕のいい方を探していたのですが、もし宜しければ教えていただけませんか?」
鍋もそうだが、網や包丁など作ってほしいものはたくさんある。
とくに急いでもいなかったためまた今度でいいかと後回しにしていたのだが、良い機会かもとお願いしてみた。
「………本当にそんなことで宜しいのですか?」
「はい。教えていただければとても嬉しいです」
彼女にはそんなことかもしれないが、縁には必要なものであり悩んでいたことなので手を貸してもらえるのであればとても助かる。
お願い出来ないかと頼んでみれば、何やら複雑そうな表情ではあったが後日紹介してもらえることになった。
縁は場所さえ教えてもらえればあとは自分で行くと言ったのだが、何故か少女は納得してくれず一緒に行くと言って聞かなかったのだ。
少女が見て楽しいものでもないと思うのだが。
来週紹介してもらえることになり、約束した少女は嬉しそうに帰っていった。
「そんなに鍛冶屋に興味があったんですかね?彼女」
「…………うん。エニシはそのままでいてね」
「はい?」
それまで黙って隣で話しを聞いていたエルだったが、呆れたように縁を見てくる。
何のことだと聞いてはみたが何でもないとしか言われず結局何かは分からないのだった。
「お刺身も夢ではなくなったかも」
やはり刺身ならば切れ味のいい包丁でなければならない。
こちらでは包丁といってもナイフなようなもので、切るというより千切るという感じがして刺身をするにも無理があったのだ。
「オレは美味いなら何でもいい」
「それが一番難しいんですよ」
家族のためにも頑張ろうと思う縁であった。
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