二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
295 / 475

危ないでしょ?

しおりを挟む
 見てくれと買ったばかりだという髪飾りをエニシに見せるコリンを横目に見るとサヴァスたちに目配せし外に出る。
 コリンには何も言ってはなかったが彼女のことだ、自分たちが今から何をするつもりか気が付いているだろう。
 むしろそのためにエニシの気を引いてくれている。

 「そこのアンタたち。ちょっと私たちとお話ししようじゃない」

 「あ?誰だお前ら」

 目が合った瞬間分かった。
 こいつらは自分たちより下だと。
 Aランクになりたてなのか、それとも何か手を使いAランクになったのか。
 後者だとは思うが、それで全てを騙せると思うのはバカとしか言いようがない。

 「そんなことどうでもいいでしょ。それよりこんな所で何をしてるのかしら?今中にいる人でアンタたちなんかとお友達の人なんていないでしょ。一体誰を待っているのかしら?」

 「お前らにゃ関係ないな。それに、まだ友達じゃないってだけだ。出てきたらそれはもう仲良くさせてもらうさ」

 やはり予感は的中していた。
 狙ったのがギルマスたちかエニシかは分かってなかったが、今の言い方からしてエニシ狙いだったのだろう。
 どうやって仲良くするかは知らないが、これ以上あの子にこんな奴らを近づけさせるどころか視界にすら入れさせたくない。

 「あらあら面白い冗談だこと。アンタたちなんかたとえ土下座して頼み込んだってあの子に相手になんてされないわよ。まぁその前に姉である私が許しはしないけど」

 「いや、お前いつの間に姉になったんだ。というかなれるとしても兄貴だろ。お前男なーーいって!」

 「お黙りワンコロ。アンタなんかあの子に餌付けされてるじゃない」

 エニシに会う度飯はないかと聞き、人が良いため求められるまま渡すエニシはまるで飼い主のようだった。
 叩かれた頭を撫でつつも本人も自覚があるのか言い返してこないことから今後も治す気はないのだろう。
 自分もコリンも毎回それに便乗しているため治されても困るのだが。

 「確かにエニシの飯は美味いからな。今日もいっぱい貰ってしまってどちらが歳上か分からないな」

 うんうんと頷くサヴァスも自分から主張することはないが、エニシに薦められれば一緒に食べていることからかなり気に入っているのだろう。
 むしろ素直に言えない彼にエニシが気を遣って声をかけているというのが正しい。

 「そうね。いつも助けてもらっているんですもの。こういう時こそ歳上として助けてあげないとね」

 エニシならなんだかんだで自分で何とかしてしまいそうだが、今はギースたちがいるのだから態々エニシが手を下す必要はない。
 
 「さぁアンタたち。あの子が出て来てしまう前に決めてしまいましょう?今すぐここを離れて2度とあの子の前に姿を見せないと誓えるなら見逃してあげる。けどそれが誓えないなら私たちが相手をーーどうやら交渉決裂のようね」

 ニヤニヤと下品な笑みを浮かべこちらを見下すような男達の態度に立ち去る気はないのだと悟った。
 ならばやることは決まっている。

 「ねぇ、まだ相手があの子じゃなくギルマスたちなら私も許してたかも。…………いえ、やっぱダメね。あの人たちに何かあったらあの子が悲しむもの」

 ギースたちとて現役の冒険者だ。
 ギルマスたちの実力も、自分たちが敵わないことも分かっている。
 だからこそ狙われたとしても自分たちで対処するだろうが、それをエニシが知った時悲しむ姿を見たくなかった。

 「あの子は私をちゃんと見てくれた子なの。だからアンタたちなんかに渡さないわ。姉として守ってみせる。さぁ!かかってこいやぁ!」

 「………地が出てるぞ」

 バースが何か言っていたか知ったことではない。
 以前エニシに聞いたことがある。
 何故自分に何も聞いてこないかと。
 男である自分が話し方も服装も女性らしいものを身につけていることに何故何も言ってこないのだと。

 「?、ギースさんがそれを好んでそうしているのに私が何か言う必要がありますか?それにとても似合っていますし」

 そう、これはギースが好んでしているものだ。
 昔から女性に憧れがあり彼女たちのようになりたいと話し方や服装を普通の男ならしないことをしている。
 中傷を受けたことは1度や2度ではない。
 実の親にすら酷い悪態をつかれ家の恥晒しと追い出された。
 だがそれでもやめなかったのは意地と憧れが捨てられなかったからだ。
 そのおかげか今の仲間たちに出会うことが出来たが、それでもやはり最初は変な奴だと警戒されたものだ。
 だがエニシは初めて会った時こそ少し不思議そうな顔をしていたが何を言うでもなく普通に接してくれた。
 それがどれだけ貴重か誰にも分からないだろう。
 似合うとまで言ってくれたのには嬉しさしかない。

 「自分をそこまで磨けることはとても素晴らしいことだと思います。もちろんそれを貫き通すことも。もし普通ということを気にしているのであればそんな心配いりませんよ。だって生きてれば一人一人違うことなんて当たり前なんですから」

 散々普通ではないと言われてきた。
 だが彼は当たり前だと言う。
 
 「大丈夫。ギースさんはとても綺麗ですよ」

 そう言い微笑む彼に涙が止まらず無言で彼を抱きしめるのだった。


 あんな子の周りをこんなバカ共が歩き回っているなど姉として許してなるものか!
 さぁ覚悟しろよバカ共!



 



 

 
 

 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...