二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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 急ぎ家まで戻るとジークたちにも説明し思い付く限りの準備をする。

 「必要な物は俺たちが用意するから縁とルーは卵に付いててやれ」

 ジークの言葉に甘え部屋に入るとタオルを敷き詰めたベッドの上に卵をそっと寝かせた。
 隣を見ればルーも緊張してるようでそわそわと部屋中を歩き回っている。

 「ルー、来て」

 それはセインたちの時にも見たもので微笑ましかったが、そう彷徨かれては縁が落ち着かないため呼び寄せると卵を眺める縁の椅子になってもらう。

 「夢の中での記憶が残っているかは分かりません。けどあの子であることは変わりませんから一緒に頑張っていきましょう」

 「うん」

 夢の中での出来事はどこまで覚えているか、はたまた全くなくなっているのかは聞いてみないことには分からない。
 それでも何かが変わるわけではなく、愛しい我が子を大切に育てていきたい。

 「産まれる時はどちらの姿なんですかね?ドラゴンですかね?それとも夢で会った姿かな?」

 「ドラゴンじゃない?人型なら卵の必要なかったはずだから」

 それもそうか。
 少し考えれば分かったはずだがやはり縁も緊張していたらしい。
 ルーに寄りかかり卵を見つめる。

 「そういえば何度か遊びましたけど性別を聞いたことがありませんでした。ルーは分かります?」

 「男」

 なんとも簡潔な言い方である。
 何故分かったのか聞いてみれば可愛いけど縁に抱っこされるのを見て妬いたからと言われ笑ってしまった。

 「そんなことで?本当ですか?」

 まさかそんなことで性別が分かるのかとルーを見るが真剣な顔で頷かれ笑いが止まらない。
 縁はどちらでも構わないが、ルーは容姿が自分に似てしまったためせめて性別は女がよかったと嘆いていた。

 「ならこの子の次は女の子がいいですね」

 「次?」

 きょとんとするルーの胸に背を預けると微笑み見上げる。

 「まだ先は長いですからね。私も女の子が欲しいので頑張りましょう?」

 「……え?あ…あのそれって…うん!うん、オレ頑張るから!」

 何も1人の番に子が1人しか出来ないというわけではない。
 人間である縁の寿命は彼らに比べ短いが、その中でも残せるものはたくさんあるはずだ。
 その1つが子であり、縁が産み皆で育てることで次へと想いを繋いでいってくれる。
 
 「きっと男の子より女の子の方が大変ですよ。頑張って下さいねパパ」

 「うん!頑張る!」

 ちがう意味でまた落ち着きがなくなってしまったが、心配し不安になるよりはいいだろう。
 それから数時間ジークたちも集まり皆で卵を見守っていたが何故かうんともすんとも言わない。
 やはりまだ早かったのではないかとロンが言ってきたが、縁は首を振り卵を見つめ続ける。

 「みんなここで待ってますからね。大丈夫ゆっくりでいいんです。ゆっくり……ゆっくり…ゆっくりでいいから、頑張って」

 縁には分かっていた。
 卵の中で自身の子が必死に頑張っているのを。
 だからこそ焦らずゆっくりでもいいからと応援する。
 ママ、ママと呼ぶ声が聞こえたが手は出さない。
 代わりに頑張れと優しく語りかけ呼ぶ声に応えてやる。

 「………ねぇ、ルー」

 「なに?」

 「この子の名前。もし本当にルーが言う通り男ならショウというのはどうですか?空高く飛ぶ、空を翔るという意味です。誰より元気に、誰よりも空高く、誰よりも皆を照らしてくれる子に育って欲しい」

 どうだろうかと見上げれば、これ以上ないほど優しい顔で微笑まれた。

 「いいね。すごくカッコよくていい名前」

 「ドラゴンとしてもこれ以上ないほど相応しい名前だ」

 ルーだけでなくロンも賛成だと頷いてくれた。
 
 「なら後は産まれるのを待つだけですね。頑張って、ショウ

 この子はどれぐらい大きくなるだろう?
 この子はどれだけ可愛いだろう?
 容姿はルーだが縁にはどれだけ似るだろう?
 大きくなったら縁を乗せてくれるだろうか?
 長い時間の中、しかし決して退屈ではなく子の未来を考える。
 途中繋たちが待ちきれず寝てしまいジークたちが隣の部屋に寝かせに行ってくれた。

 「ルーもそろそろ卒業しましょうか」

 「え?」

 「私の名前。呼び方は変わりませんけど意味を知らなかったでしょう?」

 それはセインたちにも話した縁の名前の意味。
 そんなこと知らずとも呼び方には変わりはないが知ったことで何かを感じてくれたら嬉しいと思う。
 ルーたちには知らない響きだろうが何と名付けてもいい中何故そう付けたのか、どういう想いが込められているのか。
 たった名前1つ。
 けれど親から貰う初めての贈り物。
 
 「人と人を繋ぐ線。ルーに出会えた奇跡。縁と縁が繋がって今の私があるんです。もちろんこの子ともきっと繋がっている」

 「……縁。縁、か。いい名前だね」

 今はもういないが、短い思い出の中で愛してくれた両親の想いを番である彼らが理解してくれたことが嬉しい。
 
 「大好きですよルー」

 「オレも大好きだよ、縁」

 振り返り頬にキスすればルーもお返しにと額にキスしてくれようとした瞬間ーー

 「あ、動いた」

 「え?」

 見れば先程まで微動打にしてなかった卵が急に激しく震え始めるのだった。

 「だから男だって言ったんだよ」

 ルーが何やら呟いていたが卵を見つめるのに集中していた縁には聞こえていないのだった。


 

 

 

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